Yahoo!ニュース

家康、秀吉、信玄、清少納言ゆかりの名湯へ!「歴史好きにおすすめの温泉地」5選

高橋一喜温泉ライター/編集者

現在、名湯と呼ばれる温泉地には、長い歴史を持つところが多い。温泉地の歴史が長ければ長いほど歴史上の人物と関わりがあり、その人物にまつわるエピソードや名所も残っているものだ。

温泉旅行の楽しみのひとつは、長い時を経て人々を癒やしてきた温泉地の歴史に触れることである。実際、寺社仏閣など歴史を感じさせるスポットも多い。

そこで今回は、歴史に興味のある人におすすめの温泉地を5カ所紹介したい。

有馬温泉(兵庫県)

関西が誇る名湯・有馬温泉は歴史が深いうえに、アクセスがよいので訪れる客も多い。日本三古湯のひとつに数えられ、『日本書紀』や『風土記』にも記述がみられる。豊臣秀吉が愛した湯としても語られる。細いつづれ折りの坂道が続く湯本坂は、昔ながらの風情を残す石畳の通りで、浴衣姿での散策が絵になる。行基が建立した温泉寺や秀吉がつくった露天風呂などの遺構など、歴史を感じさせるスポットも多い。赤茶色の湯はパンチが効いた濃厚湯。各旅館のほか共同浴場「金の湯」で堪能できる。

下部温泉(山梨県)

山あいに佇む素朴な温泉地で、1200年の歴史をもつ古湯。武田信玄の「隠し湯」としての歴史をもち、傷を負った兵たちが湯治したという。歓楽的要素のない温泉街は、昭和の時代から時が止まってしまったのように静か。昔から湧く20~30度代のぬる湯が特徴で、温冷交互浴に励む湯治客も多い。夏場には最高である。源泉にこだわるなら足元湧出で、信玄ゆかりの「古湯坊源泉館」がおすすめ。信玄が発行した温泉許可証などの資料も残る。

熱海温泉(静岡県)

熱海温泉は徳川家康が愛した温泉として知られる。征夷大将軍に就任した翌年には、熱海で7日間の湯治を行ったという記録がある。2人の息子も同行して湯浴みを楽しんだという。江戸時代、大量の湯が噴き出していた「大湯間歇泉」など家康ゆかりの歴史スポットも多い。多くの観光客が訪れる有名温泉地で再開発も進んでいるが、歴史的建造物のほか、昭和レトロ喫茶なども点在しているので、ふらふら街歩きをしていると時間を忘れてしまう。

別所温泉(長野県)

鎌倉の北条氏とゆかりのあることから「信州の鎌倉」と呼ばれる温泉地で、国宝の安楽寺八角三重塔をはじめ、古寺古塔が多い。温泉街には昔ながらの和風旅館や共同浴場があり、情緒ある景観を維持している。また、平安時代には木曾義仲が入湯したという伝説も残る。門前町としても栄えてきた温泉街には歴史を感じさせるスポットが点在しており、散策が楽しい。

榊原温泉(三重県)

津市にある歴史ある温泉地。現在では10軒弱の宿が軒を連ねる。清少納言が『枕草子』の中で有馬温泉、玉造温泉に並ぶ「三名泉」の一つとして挙げたとされる。京都から伊勢神宮へと向かう道の通過点に位置するため、参拝前に身を清める「湯ごり」の場として重宝されたという。老舗宿の「湯元榊原舘」は甘い硫黄の香りがする透明湯で、源泉かけ流し。なかでも源泉風呂には32度のぬる湯が100%かけ流しにされており、湯の個性が際立つ。加温湯と交互に浸かると至福の気持ちよさだ。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3900超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『スーパーJチャンネル』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

高橋一喜の最近の記事