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レフティーズ・ソウル・コネクション インタビュー/オランダからのディープなファンク、来日目前

山崎智之音楽ライター
Lefties Soul Connection

オランダの首都アムステルダムからのリアルなグルーヴが、日本にファンキー旋風を巻き起こす。ファンク、ソウル、レア・グルーヴ、ジャズ、ヒップホップなどジャンルの壁を乗り越え、ダンスフロアからクラブ・シーンまでを股にかけて踊らせてきたレフティーズが2014年10月、遂に初来日公演を行うことになった。

DJシャドウのカヴァー「ORGAN DONOR」で一躍注目を集めるなど、古くて新しいバンド・サウンドをリードするハモンド・オルガン奏者アルヴィズに、初の日本上陸に向けての抱負を語ってもらおう。

●レフティーズの音楽性は、どんなものだと説明しますか?

エッジの効いた、生のファンクだ。ガレージや地下室でチープな機材を使って録ったようなサウンドが好きなんだ。ニューオリンズ・スタイルから多大な影響を受けていて、ミーターズはもちろん、プロフェッサー・ロングヘアーやドクター・ジョン…ベティ・ハリスのレコードからもインスパイアされてきた。それにロックの要素もあるし、どう説明すればいいか判らない。少なくとも、洗練されたスムーズな音楽ではないよ。オランダや外国のマスコミにもいろんな呼び名で形容されてきたけど、的を射ていると思ったのは“ガレージ・ファンク”かな。ソウル(魂)とエネルギーと汗でいっぱいのファンクだ。

●バンドはどのように結成したのですか?

元々俺はソウルやファンクが好きだったんだ。決定的だったのは、ケブ・ダージの最初のコンピレーション『レジェンダリー・ディープ・ファンクVol.1』だった。彼はディープ・ファンク・ムーヴメントの創始者だったDJで、このコンピレーションをきっかけにレアなシングルを買い漁ったりするようになったんだ。それから間もなく『ソウル・ジャズ・レコーズ』が『ニューオリンズ・ファンク』ってコンピレーションを出して、それまで入手困難だったシングルの音源が容易に聴けるようになった。それで後にワックスウェル・レコーズを開く友人と一緒に『ストラット・イン』というクラブ・イベントを始めた。DJがソウルやファンク、ハウス、ブレイクビーツなどのレコードをかけたり、ライヴ・バンドも出演するなど、にぎやかなイベントだったよ。そのライヴ部門のバンドがレフティーズだったんだ。俺とオンノ・スミット(ギター)が、自分たちでソウルやファンクをプレイしたくなったんだ。初期のライヴにはMCもいたりして、すごく混沌としていたよ。そうして活動していくうちに『メルティング・ポット』のオリヴァーと出会って、より“バンド”らしい活動を中心にするようになったんだ。

●レフティーズ・ソウル・コネクションというバンド名はどんな所から得たのですか?

バンド結成当初、4人のメンバーのうち3人が左利きだったんだ。左利き(レフティーズ)がソウルで結びつく(コネクション)という意味なのさ。俺とギタリストのオンノ、それから結成当時のベーシストが左利きだった。あと、昔のマイナー・ソウル・バンドみたいな名前にしたかったんだ。ラリー・エリス&ザ・ブラック・ハマーみたいな、ね。たまに「レフティーズっていうことは、左翼なの?」と訊かれることもあるけど、俺たちは政治的なバンドではないよ。

●あなた自身がハモンド・オルガンを弾くようになった経緯を教えて下さい。

初めて手にした楽器はギターだったけど、11歳か12歳の頃、祖母が弾いていたオルガンに興味を持ったんだ。ハモンドではなく、ヤマハのオルガンだったけどね。そして14歳のとき、ハモンド・オルガンと出会ったんだ。ジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリンのような、ロックのレコードにハモンドが入っていて、ギターやヴォーカルよりもそのサウンドに耳を奪われたんだよ。

●影響を受けたオルガン奏者は?

祖母以外で、だよね(笑)?Dr.ロニー・スミスにはフィーリングがあった。彼はダイナミックなプレイで、少ない音数でファンキーさを出していたし、ルー・ドナルドソンとの共演も素晴らしかったよ。それからもちろんアート・ネヴィルから多大な影響を受けた。

●DJシャドウの「ORGAN DONOR」をカヴァーしたことでも注目を浴びましたが、どんなきっかけがあったのですか?

クラブ・カルチャーと関わっていると、さまざまなタイプの音楽と接する機会があるんだ。誰かにDJシャドウのオリジナルを聞かせてもらって、面白い曲だと思って、他のメンバーにも聞かせてみた。それで曲のベーシックな部分だけを生かして、自分たちのオリジナルな要素を加えていったんだ。「ORGAN DONOR」をカヴァーしたのは、ヒップホップ・サイドを一歩掘り下げてみたかったこともあった。レフティーズはヒップホップ・グループではないけど、1990年代のヒップホップ“黄金時代”のサウンドが好きなんだ。ビースティ・ボーイズやジュラシック5のように、クールなファンクをサンプリングしたヒップホップは好物だ。クラブ・シーンではB-BOY系のDJとも交流してきたし、俺たちのライヴ演奏に乗せてラッパーがラップするという経験もあった。そんなさまざまなスタイルがクロスオーヴァーしたのがこの曲だったんだ。

●2014年10月の来日公演はどんなものになるでしょうか?

1,000%のライヴで観客に向きあっていく、生のライヴ・パフォーマンスを見せるよ。俺たちのライヴはサンプリングやリズム・マシンはない。音量もかなり大きいから、スムーズなジャズ・バンドを期待したら驚くだろうな。60年代ファンクとロック・コンサートを合わせた感じで、新旧のナンバーを取り混ぜたショーになるよ。

●女性ヴォーカリストのミシェル・デヴィッドは日本公演には同行しないのですか?

ミシェルはレフティーズの準メンバーで、いろんな活動をしているんだ。今回は演劇の活動のスケジュールが入っていて、日本には行けないんだよ。でも、そのぶん俺たちがパワフルなライヴを見せるつもりだ。彼女は来年レコーディングするニュー・アルバムには参加する予定だし、2回目の日本公演には参加してもらう。まずは初めてのジャパン・ツアーを成功させたいね。

【Lefties Soul Connection Japan Tour 2014】

●10月1日(水)

名古屋BOTTOM LINE

開場18:00/開演19:00

※オープニング・アクト:Ordinary Stance / sunagimo

問い合わせ:名古屋BOTTOM LINE

www.bottomline.co.jp

●10/2(木)横浜・THUMBS UP

※オープニング・アクト:ズクナシ

開場18:00/開演19:00

問い合わせ:THUMBS UP

http://stovesyokohama.com

●10/3(金)渋谷・duo MUSIC EXCHANGE

開場18:00/開演19:00

問い合わせ:M&Iカンパニー

www.mandicompany.co.jp

音楽ライター

1970年、東京生まれの音楽ライター。ベルギー、オランダ、チェコスロバキア(当時)、イギリスで育つ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、一般企業勤務を経て、1994年に音楽ライターに。ミュージシャンを中心に1,300以上のインタビューを行い、雑誌や書籍、CDライナーノーツなどで執筆活動を行う。『ロックで学ぶ世界史』『ダークサイド・オブ・ロック』『激重轟音メタル・ディスク・ガイド』『ロック・ムービー・クロニクル』などを総監修・執筆。実用英検1級、TOEIC945点取得。

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