スペシャルオリンピックス:And you?:知的障害者のスポーツ大会、そしてあなたは
■スペシャルオリンピックス2016新潟
ご存知でしたか? 先週日本のスペシャルオリンピックス冬季大会が新潟で開催されたことを。
参加者は、アスリート(知的障害のある競技者)650名、ボランティア3,000名、ファミリー・応援団6,000名、その他大会役員などを含めて、合計10.240名。大会の名誉総裁は、高円宮妃久子殿下という、大きな大会です(2016年第6回スペシャルオリンピックス日本冬季ナショナルゲーム・新潟)。この大会によって、世界大会への出場者が決まります。
全国ニュースにはほとんどならず、大会会長の有森裕子さんやサポーターの安藤美姫さんが登場した部分などが少し報道された程度でしたが。
追記:報道首都圏で、取り上げてもらえました。
@nhk_shutoken 2月17日
【あすの「おはよう日本」(関東甲信越)】
今月、新潟県で知的障害のある人たちのスポーツの祭典「スペシャルオリンピックス」が開かれます。フィギュアスケートに出場する齋藤舜さんの挑戦を追いました。総合テレビ午前7時45分過ぎに放送予定です。
■スペシャルオリンピックスとは:パラリンピックとの違い
パラリンピックは身体障害者のスポーツ大会で、スペシャルオリンピックスは知的障害者のスポーツ大会です。パラリンピックは随分有名になって多くの報道もありますが、スペシャルオリンピックスも忘れて欲しくありません。
パラリンピックが正式にIOC(国際オリンピック委員会)と協定を結んだのは、2000年のシドニーオリンピックの時ですが、スペシャルオリンピックスの方は1968年にアメリカで始まって世界に広がり、1988年にはIOC協定を結び、「オリンピック」の名称を使っても良いことになりました。これって、すごいことです。かなり格の高い大会とも言えますね。
夏冬の大会を交互に2年ごとに開くのも、本家オリンピックよりも早くスペシャルオリンピックスが最初に始めた方式でした。
日本では、1980年に委員会ができましたが後に解散、その後1994年に再び「スペシャルオリンピックス日本」が設立され、活動は全国に広がっています。2005年には長野で冬季世界大会が開かれています。
パラリンピックは、身体に障害のある選手達が「世界最高水準の技術とスピードを競い合う国際競技大会」です。一方、スペシャルオリンピックスは、参加者みんなにメダルの可能性があるように、工夫されています。
競技は競技者のレベル別に行われます。みんなに優勝の可能性がありますし、参加者全員が表彰されます。
■スペシャルオリンピックスの考え
スペシャルオリンピックスの「ス」は、「スペシャルオリンピック」につけた複数形のsです。
スペシャルオリンピックは、知的障害者の社会的自立を目指しています。スペシャルオリンピックは、4年に一度の大会だけではありません。スペシャルオリンピックは、知的障害のある人たちに、それぞれの住む地域で年間を通じて日常的にスポーツのトレーニング・プログラムを提供します。
そのすべての競技会がスペシャルオリンピックなのだという考えから、複数形のSがついて、「スペシャルオリンピックス」と言う名称になっています。そして、このような日常的活動を行っていない国では、スペシャルオリンピックスの正式な委員会を作ることができません。
またスペシャルオリンピックスでは、健常者との相互理解、共に歩むことを重視しています(統合・ユニファイド)。そして多くのボランティアが、様々な形で競技会に関わります。参加したボランティアの皆さんは、多くのことを学び、深い感動を体験しています。
■スペシャルオリンピックスの精神
・スペシャルオリンピックス競技会精神
「スペシャルオリンピックスで大切なものは、最も強い体や、目を見晴らせるような気力ではない。大切なものは、各個人のあらゆる障害に負けない精神である。この精神なくしては勝利のメダルは意味を失う。しかしその気持ちがあれば決して敗北はない。」(創設者 ユニス・ケネディ・ シュライバー:故ケネディー大統領の妹)
・スペシャルオリンピックス・アスリート宣誓
「私たちは、精一杯力を出して勝利を目指します。たとえ勝てなくても、がんばる勇気を与えてください。」
「参加することに意義がある」って言っていないんですね。競技スポーツですから、勝利を目指します。勝利至上主義ではありませんが、でも頑張ります。
実際に競技を観戦していても、「行け!」「休むな!」「頑張れ!」と声援が飛びかいます。アスリートたちのレベルは様々で、すごい人もいますが、初級者レベルの人もいます。
でも、どのアスリートも懸命に闘っています。スペシャルオリンピックスの精神は、知的障害者に限ったことではないでしょう。私たちすべての人が、持つべき精神なのだと思います。
高い能力を持つ人が大きな大会に参加するのは、大変です。初級者がみんなの前に出るのも大変です。どちらもチャレンジです。スペシャルオリンピックス冬季大会では、スケートをすごく速く滑れる人もいます。転びやしないかとハラハラする人もいます。
上手にフィギアスケートを滑る人もいます。初級者もいます。でもその人が、国際大会規格の大きなリンクで、大勢の観客の前で滑ることは大変です。
これまでどれほど練習を積んできたことでしょう。そしてこの大会が、どれほど大きな経験になっていることでしょう。家族や協力者が、どれほどその人を支えてきたことでしょう。
今回の大会でも、アスリートたちが分刻みで出場してきます。舞台裏では、どれだけのボランティが支えていることでしょう。
機会が与えられている人は幸せです。そして、すべての人に機会が与えられるべきです。
■And You?:そしてあなたは、何ができますか?
スペシャルオリンピックス新潟のホームページを見ると、「And you?」のページがあります。
ボランティアとして参加する人、寄付をする人、応援に来る人、公式グッズを買う人、地域で支える人、ネットでスペシャルオリンピックスについて発言する人。様々な協力方法があります。
■スペシャルオリンピックスの「スペシャル」について
スペシャルって、普通に日本語にすれば「特別」でしょうか。スペヤルゲストとか、スペシャランチといえば、いつも以上に素晴らしいもののように感じます。
スペシャルって、「特殊」とも訳しますね。「特殊学級」の特殊です。スペシャルゲストはとても良いことなのに、障害者への特殊教育や「特殊学級」はあまり良いイメージを持たれませんでした。現在では、「特別支援学級」と呼ばれています。
スペシャルって、特有、独特、かけがえのない、大切なといった意味で使われることもあります。
竹内まりやさんの『毎日がスペシャル』は、毎日海外やディスニーランドに行く話ではありませんが、日常的な毎日がかけがえのない大切な日々だと歌っています。
絵本『たいせつなきみ』の原題は、「You are Special(ユー・アー・スペシャル)」です。この絵本は、たとえ特別優れた能力を持っていなくても、人は誰もがかけがえのない大切な存在なのだと伝えています。
*次回の日本でのスペシャルオリンピックスの大会は、2年後の夏の大会です。開催地は、まだ決まっていません。