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中国で屋根が崩落した体育館 建設は2018年だった 原因は豪雪か、手抜き工事か

中島恵ジャーナリスト
雪の中、屋根が崩落したジャムス市の体育館(中国メディアより筆者引用)

中国東北部、黒竜江省ジャムス市郊外で11月6日夜、体育館の屋根が崩落し、中にいた7人のうち3人が死亡した。

7月に同じく黒竜江省チチハル市でも体育館が崩落する事故が起き、11人が死亡したばかりだったが、わずか4カ月の間に再び悲劇が起きた。

地元では、豪雪のほか、おから工事(強度が不足している手抜き工事)が原因ではないか、との怒りの声があがっている。

例年より早い大雪だった

屋根の崩落事故が起きたのはジャムス市郊外の広場の一角にある体育館。当日はジャムス市だけでなく、省都ハルビンや隣接する吉林省などでも例年より早く大雪が降り、ハルビンでは国内線がほぼ欠航となるほどの悪天候だった。

ジャムス市でも午後から雪が降り続き、夕方からは豪雪警報が発令されたが、体育館内には7人の中学生が残っていた。

午後7時過ぎ、突然、体育館の屋根が崩落。7人のうち3人は自力で脱出して無事だったが、4人が取り残され、救助活動の末、病院に運ばれたものの、そのうち3人が死亡した。

2018年に完成したばかりだったことが判明

地元当局は体育館が所属する健康クラブの責任者を拘束するとともに、調査チームを立ち上げ、原因究明に乗り出したが、現時点で、同体育館は老朽化しているわけではないことがわかった。

2017年に着工し、2018年に竣工したばかりで、しかも、使用を開始してまだ3年しか経っていなかったのだ。

体育館は2階建てで面積は約2500平方メートル、屋根はコンクリート製。バスケットボールのほか、バドミントン、卓球などができる屋内施設として、多くの住民が利用していた。

現地報道によると、体育館の建設会社の代表は地元建設局を退職した50代の元幹部の男性と、同じく地元環境保護局の幹部だった妻。夫婦は公務員としての地位やコネを利用して、地元で10年以上前から不動産開発を行っていたとされ、現在、事故の原因調査とともに、建設を巡る裏事情などの情報も噴出している。

安全点検は行っていたというが……

地元では、今年7月に同じく黒竜江省チチハル市第34中学校の体育館が崩落した事故を受け、建物の安全点検を実施しており、同体育館もその対象だった。

また、2020年にも市内の建物の安全点検が実施されたという記録が残っているが、SNSでは「どうせ形だけの点検だったのではないか」「実際には点検を怠っていたのだろう」との批判が起きている。

また、事故原因として、屋根が豪雪の重みに耐えられなかったのではないか、との見方も出ている。中国気象網の報道によると、約20センチの雪が積もると、屋根には1~2トンの重圧がかかる。同体育館にも、当時数トン以上の重圧がかかったとみられるが、調査チームは現在、屋根にどのような耐雪資材が使われていたのか調査を続けている。

保護者たちの悲痛な声

事故から3日以上が経ち、現地では、建設会社や行政の責任を問う声とともに、保護者たちの悲痛な声が報道されている。

死亡したある中学生の保護者は「子どもの受験や、将来の結婚に向けて、さまざまなことを計画していたが、まさか、我が子の葬式を行うことになろうとは夢にも思わなかった」とコメント。

別の保護者は「夫とは離婚するつもりだった。私にはこの子だけしかいなかったのに、これからどうやって生きていけばいいのか」と悲嘆にくれた。

中国では2008年の四川大地震以降、このような事故が起こるたびに、手抜き工事の問題が噴出し、「人災ではないか」と指摘されている。

SNSでは「これは氷山の一角。この国のすべての建物の耐震性に不安を感じる。いつ、どこに、どんな危険があるかわからない」といった投稿がいまも続いている。

参考記事:

中国チチハル市の中学で体育館の屋根が崩壊 なぜ保護者らは激しく怒ったのか?

ジャーナリスト

なかじま・けい ジャーナリスト。著書は最新刊から順に「中国人が日本を買う理由」「いま中国人は中国をこう見る」(日経プレミアシリーズ)、「中国人のお金の使い道」(PHP研究所)、「中国人は見ている。」、「日本の『中国人』社会」、「なぜ中国人は財布を持たないのか」「中国人の誤解 日本人の誤解」、「中国人エリートは日本人をこう見る」(以上、日経プレミア)、「なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?」、「中国人エリートは日本をめざす」(以上、中央公論新社)、「『爆買い』後、彼らはどこに向かうのか」、「中国人富裕層はなぜ『日本の老舗』が好きなのか」(以上、プレジデント社)など多数。主に中国を取材。

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