歴史ある街の片隅で「地味ぃ~に営業しとります」。週3日営業のその味は存在感抜群。これぞ本物の町中華。
筥崎宮が見守る街の片隅で
日本三大八幡宮のひとつで有名な〈筥崎宮〉のお膝元にある、歴史ある街並の箱崎。その筥崎宮から昔ながらの商店街へと向かう〈ふれあい通り〉の一角にある「竜勝軒」。地元に愛され50年以上。昔ながらの佇まいで、懐かしい町中華メニューがいただけるお店。ただ、週に3日、しかもお昼の11時~14時までの3時間営業というのもレア。それもまた食べたくなる魅力。この通りには、あの人気店「春陽軒」もあり、箱崎の風情ある風景を楽しめるのも良いです。
アットホームな雰囲気で、地元民のみぞ知る、まさに知る人ぞ知る名店です。昔ながらの赤を基調としたカウンター席。これがまた昔ながらの年季が入った空間でいいですね。昭和レトロな古き良き懐かしい雰囲気で、これぞ本物の町中華だと勝手に思ってます。
テーブル席もあり、テーブルや椅子もそのままに歴史を感じます。年季が入っているとはいえ清潔感があり、お手入れが行き届いています。そして魅力は、つい食べたくなる昔ながらの中華メニュー。日替わりランチなんかもありますが、やはり名物メニューを食べたい、ということでいただいてみました。
だるめん
まずは「竜勝園」のオリジナル、そして名物メニューはこちら。〈だるめん〉とはいわゆるあんかけちゃんぽん。熱々のあんかけは卵の色合い鮮やかで、湯気が立つ熱々の仕上がりです。
ベースのちゃんぽんは豚骨オンリーだそう。優しくあっさりとしたスープの味が、まろやかなあんかけの味わいと見事にマッチします。
そこから顔を見せる太麺はもちもちのちゃんぽん麺。熱々のあんかけとスープの味わいを引き込みながらとっても美味しい。
野菜もたっぷりで、とろ~り熱々のあんかけと交わって、とっても美味しくヘルシーにいただけます。
だるめんには白飯が欲しい。ごはんは、小と大が別メニューでいただけます。
麺を食べ干したら、残ったあんかけとスープにごはんをドボン。これがまた美味しい。もともとの味わいが美味しいので、白ごはんにもバッチリあうんです。
たいぴえん
あの熊本名物と言われる太平燕が食べれるのはすごい。「竜勝軒」では、〈たいぴえん〉というメニューです。この表現も可愛いですね。福岡で太平燕を食べれるお店ってなかなかないので、最初に訪れた時はびっくりしました。
太平燕とは
熊本の中華料理店や家庭でも定番の一品で、春雨をメインに、炒めた野菜や豚肉、エビ、たけのこ、かまぼこ、しいたけなどを入れた具沢山の中華風春雨スープのことで、その上にはゆで卵を揚げたものがのっているのが特徴である。
中国福建省福州の家庭で盆や正月、その他の祝い事など特別な日に食べるスープ料理がルーツとされている。明治時代後期、福建省から長崎、熊本にわたってきた華僑が伝えたといわれるが、中国の高級食材の燕の巣の代わりに揚げたゆで卵(表面にしわがでた様が、燕の巣のイメージ)をフカヒレの代わりに春雨を使って作ったスープが始まりという説がある。福州(現在の福建省都)ではこの卵を太平卵(タイピーノン)と呼び、それを食べられると安泰に暮らせると伝えられており、縁起のよい料理とも言える。※農林水産省HPより引用
鶏ガラオンリーだというあっさりしたスープ。麺には春雨。先代が長崎でも修業した経歴があるともお聞きしました。熊本名物でもありますが、確かに長崎でも同じようなメニューがあります。長崎の町中華では。〈春雨スープ〉として提供していたりもしますね。
スープには鶏の旨味に野菜や豚肉の旨味も加わり、奥深い味わいへと。ヘルシーなメニューでもある〈たいぴえん〉は、女性にもオススメですね。
たっぷりの野菜に豚肉、そしてエビちゃんも。具材もたっぷり美味しい。
長崎パリパリ皿うどん
こちらは限定の長崎をルーツとする〈長崎パリパリ皿うどん〉。出会うことができたなら食べたいメニューです。
あんかけの味わいがとっても美味しくて、パリパリ麺にじわっとあんかけが混ざっていく、それが美味しいのです。
野菜もたっぷりで、熱々のあんかけが、だんだん麺と馴染んでパリパリの麺がが柔らかくなります。その食感も楽しみながら、後半はソースをかけて味変を楽しむ。それが長崎風の皿うどんのいただき方です。
皿うどん(ソフト)
こちらは麺が太麺もちもとの皿うどん。野菜たっぷりのビジュアルは変わりませんが、麺が変わればまた違う。お好みで選んでみてはいかがでしょう。
いわゆる博多風の皿うどんといえるでしょうか。もちもち太麺の皿うどんは、またあんかけとのバランスも良く美味しい。
ぎょうざ
そしてお店の名物のひとつである餃子。これがまた美味い。餃子単品でもいいですし、ごはんとセットでもいただける。他のメニューとあわせていただいてもいいですよ。餡の味わいが良く、カラシが添えてあるのも特に。タレにお酢をちょいと混ぜて、カラシをつけて食べるのが最高。
すーぱいこ
いわゆる酢豚です。これも長崎では〈スーパイコ〉と呼ばれる文化があります。これもまた長崎の所以ではないでしょうか。カリッと揚がった豚肉に、甘酢あんの味わいが絶品。これはご飯がすすむメニューですね。
カウンター前にはノーマルのコショウにブラックペッパー。このカウンターで一人いただく町中華メニューが最高なんです。軽く一杯も、お店の混み具合にもよりますが、いただいたりできます。
箱崎という歴史ある街の片隅で「地味ぃ~に営業しとります」と可愛く入口に掲げられています。このあたりからも、お店を営む人柄がにじみ出ています。そのお味の存在感は抜群。なのですが、現在は女将さんが料理はワンオペ。なかなか注文が続くと時間がかかることもあります。でもそれもご愛嬌。最近は行列になることもしばしば、それも当然のお味とメニューです。筆者の中で、いやいやたくさんの人々から、これからも愛され続ける名店であることは間違いありません。
竜勝園
住所:福岡県福岡市東区箱崎2丁目5−28 浜地ビル
営業時間:11時00分~14時00分
定休日:月~木(金曜から週末のみ営業)
アクセス:箱崎宮前駅より徒歩3分
駐車場:近隣有料