三つの伝承から生み出される伝統の味。あっさりながらコクがある豚骨スープに辛ダレをあわせた一杯。
創業1992年
久留米で1992年に創業し、現在は4店舗を構える「一味ラーメン」。当初はプレハブから始まったそうで、創業地の北野本店、久留米合川店、鳥栖店、太宰府店と展開し、着実に久留米ラーメンとしての地位を築いてきたお店。その中の「太宰府店」へお伺いしました。県道112号線沿いの大宰府Jボウルというレジャー施設に隣接し、施設の駐車場を共用で使えるようです。交通量や人の流れも多い好立地で、車で訪れても安心ですね。
この「一味ラーメン」には、三つの伝承があるそうです。
壱、秘伝の味作り
弐、感謝の味作り
参、研鑽の味作り
恒に変わることない味と、お客様のみならず家族やご先祖様にも感謝と尊敬の気持ちを忘れず、常に己を磨き続け、多くの人に愛される「あじのある人間」となるよう日々精進する。そんな想いが込められているようです。
この三法を守り精進することで、「一味」の味が生まれるそうです。
味に対する想いもですが、企業理念としても素晴らしいですね。
お店に入ると、縦長に向かい合わせのカウンター席が並び、その脇には小上がりの座敷席があります。この大宰府店は2010年にオープンしたようで、白いテーブルにオレンジの椅子で色鮮やかな店内。結構キャパもあり、お一人様からご家族まで幅広い客層です。
ラーメン(味玉トッピング)
メニューは、豚骨ベースのラーメンに、のりやネギなどのトッピングメニューが揃います。そして「一味」といえば〈ホルモン〉も有名。これも久留米の流れを感じさせますね。今回は、ラーメンに味玉をトッピングしていただきました。(※通常の味玉は1個を2つに割ったものですが、今回、切り目が悪かったということで、半玉サービスでいただきました)
まろやかでコクのある豚骨スープですが、スッキリといただける仕上がり。ネギが散りばめられ、隠れていますがチャーシューもあります。そして特徴的なのが真ん中の「薬味」と呼ばれる辛味ダレが真ん中に加えられているのが特徴的です。この〈薬味〉はヌキから3倍まで選べて、こちらはその3倍です。この仕上がりは、いわゆる〈小郡系〉と呼ばれる系統のラーメンとも言えるでしょう。
少し甘さも感じ、クリーミィな味わいですが、この〈薬味〉を混ぜるとピリッとした刺激が加わり、味がギュッと引き締まり、さらにコク深くなります。そこに低加水の細麺ストレートの麺が歯切れ良く絡みます。コシもあり味わいも良い麺です。
ネギに隠れたチャーシューは、脂感控えめでさっぱり。そしてネギのシャキシャキの食感がまた美味しい。
最初のまろやかで甘味ある優しい豚骨が、〈薬味〉が加わることでグッと旨味がアップ。この薬味は様々なスパイスを組み合わせているという「一味」オリジナル。最後まで飲み干せる旨いスープです。そして丼に描かれる店名には太陽のようなマークも描かれています。これもまた、小郡系で見かけることがありますね。
卓上にはホルモン辛子なるものが。これをかけていただくのが美味しいのだとか。そして餃子のタレも。サイドには、餃子や焼飯などもありますよ。
窓側に広がる座敷席。ピークタイムは行列となり、お客さんが途切れることなく訪れています。開業当時のプレハブのお店も行列が絶えなかったとか。そこから堅実に味を広め、現在の4店舗は全て人気店となっています。
県道112号線沿いのオレンジ色に赤い看板の箱型の建物が目印です。「伝承・三法一味」の精神で、変わることなく守り続ける創業からの味。食材・製法・衛生・サービス・教育の全てにおいて精進し続ける。そして「旨いラーメン」を提供することでお客様を笑顔で満足に、という想いこそが一味の精神。この一杯から、旨さだけではなく、様々な想いも伝わる美味しいラーメンでした。