「今の時期、何をすればいい?」と聞く就活生に真面目に長く答える~コスパのいい就活2021卒#1
就活生の質問に鬱陶しいくらい丁寧に答える
あちこち、就活取材に回り、その一環で学生の就活相談やらエントリーシート添削やらを続けて18年(付言すれば無料)。まあ、色々な質問を受けてきました。おかげでネタ切れになることはなく。
今回から、そうした相談のうち、よくある相談を中心に回答したものをまとめた「コスパのいい就活」シリーズを始めます。えー、すぐ終わるか、それとも続くかは読者、特に就活生次第。
シリーズタイトルは、効率重視で、というわけではありません。ある程度は効率も大事です。が、就活取材を続けていると、学生が考える効率、コスパと採用担当者の発想、相当ズレている部分があります。そのあたりを修正した方がいいんじゃないの、というアドバイスも込めて、このタイトルにしました。
結果的には、学生からすれば「それ、相当、非効率なんじゃないの?」というアドバイスも含むこともあるので念のため。
さて1回目となる今回は「今の時期、就活は何をすればいいですか?」。
これ、就活シーズンに限らず、3年生夏のインターンシップ時期でも、1・2年生からもよく質問を受けます。
社会人からすれば「それくらい、自分で考えなよ」と思う方が多いですし中にはそう回答してしまう方もいます。
結論から言えば、その通りなんですが、なぜ就活生がそうした質問に至るのか、そして、自分で考えるプラスアルファでどうすればいいのか、以下、回答していきます。
「何をすればいい?」質問の背景にあるもの
「今の時期、何をすればいいですか?」という就活生の質問、その背景にあるものは主なところで3点あります。
その1:本当に何をやればいいか分からないから、誰か社会人に指示して欲しい
その2:アドバイスが多すぎて、何を優先すればいいか、分からない
その3:一応、自分なりにこうしたい、という考えはある。が、それが他の就活生と違いすぎたり、間違った方向に進んでいるのは不安だ
その1は完全に他力本願。指示されたことをやるだけでいいなら、新卒採用なんかやる意味がありません。アルバイト採用でいいのですから。
ただ、このパターンの就活生は多くはありません。10人いたら1人くらい。
このパターンに当てはまる就活生は、誰かに依存するだけでは就活うまく行かないよ、と伝えておきます。
一番、多いのが、その2。
合同説明会に企業説明会・セミナー、あ、今の時期だと1日インターンシップ。それから、大学主催の就活ガイダンスや新聞社主催の就活セミナー…。
就活関連のイベント・セミナーはいくらでもあります。
で、大体は自分の体験に基づく話か、自分が所属する企業・団体のビジネスにつながる話か、どちらかとなります。
そのため、自己分析を大事と考えるキャリアセンター職員による就活ガイダンスだと「自己分析が最優先」と話します。
適性検査をビジネスとしている就職情報会社などのセミナーだと「適性検査対策が一番」。
スーツや化粧品をビジネスとする企業のセミナーだと「身だしなみが大事」。
新聞社主催なら「新聞を読もう」。
就活本を出している出版社なら「うちの就活本が最高」。
面接対策に慣れている人なら「面接が大事」。
で、大学ジャーナリストを自称するイシワタリのセミナーだと「大学ジャーナリストの記事や本が一番」…。
何のことはない、私含め社会人は自分の都合しか話しません。
という前提を学生の方が割り切って聞く必要があります。
その3は、その2と重複する学生が多いですね。学生生活はゼミなどの勉強であれ、アルバイトであれ、サークルであれ、自分一人になる、ということがそれほど多くはありません。集団で動く機会の方が多め。多少、違う方向に行っても、同じ集団に属する他の学生(または先輩アルバイトや教員など)が軌道修正をしてくれます。
ところが、就活となるとどうでしょうか?いくら仲が良くてもバラバラとなります。しかも、就活を進める際、軌道修正をしてくれる人はほとんどいません。中には大学キャリアセンター・就職課職員、という学生もいます。が、就活シーズンともなると、混雑していて、そう簡単に相談に乗ってもらえません。
つまり、今までの学生生活と異なり就活は、急に孤独になるわけで、不安になるのは当然です。その不安から「今の時期、何をすればいい?」の質問につながるのです。
プラスアルファで重要なのは中途半端、最優先、孤独
では、「今の時期、何をすればいい?」に回答していきましょう。
ま、冒頭にも書いた通り、結論は「自分で考えよう」です。
と言うのも、就活生、一人ひとりが何をすべきか、異なるからです。
何を当たり前、と思う就活生にはプラスアルファで重要な3点をお伝えしておきましょう。それが「中途半端」「最優先」「孤独」の3点です。
まずは、「中途半端」から。
これは、正確には中途半端さを許容できるかどうかです。
間違ったコスパ
何か一点のみに集中し、他をやらない
正しいコスパ
中途半端さがあっても、同時並行で進める
間違ったコスパ、間違った効率重視に走る就活生は、自己分析だけ、適性検査対策だけ、など、何か一点だけに集中します。で、他のことは何もしない、と。
これ、大学受験ですとか、大学入学後だと定期試験やレポートなどだと、それなりに有効な戦略です。
ところが。就活や社会人生活となると、この一点突破がそもそもできなくなります。業界・業種を問わず、同時進行で複数の仕事を抱えるからです。これをマルチタスクと言います。
学生でもマルチタスクに慣れていると、一点集中という発想に走りません。多少、中途半端さがあっても、同時に進めようとします。
一方、マルチタスクに慣れていない学生は、就活でも一点突破でどうにかしようとしてしまいます。
一時的にうまく行ったとしても、長い目で見ると就活がうまく行かなくなるリスクを秘めています。
多少、中途半端さがあって気持ち悪いと思っても同時に進めることを強くお勧めします。
「中途半端」と矛盾する「最優先」
2点目は「最優先」。これは1点目の「中途半端さの許容」と矛盾すると考える就活生も多いでしょう。が、実はそうではなく。
同時進行であっても、どの時期に何を最優先するのか、色々考えること。
たとえば、就活の最初期段階なら自己分析が必要でしょう。選考が始まる時期なら適性検査対策も重要です。最終選考あたりなら時事問題を聞かれる機会も増えます。
企業によっては適性検査の難易度が高いこともありますし、グループディスカッションだってあります。
このあたり、就活生全員に当てはまるマニュアルはありません。同時進行で色々と手を出す中でも今は何を最優先にするのか、就活生それぞれが考える必要があります。
この「最優先」、見方を変えれば、「対策に充てる時間は短くても長期的に続けた方がいいもの」を考える作業とも言えます。
最後は一人で失敗も込みで
3点目は「孤独」。これも、正確には「孤独の受容」「協業と孤独の両立」です。
今までは一人ではなく誰かが一緒でした。もっと言えば、指示を出してくれる人(ゼミ教員、先輩アルバイト、親などなど)に従ってさえいれば良かったのです。が、社会人生活ともなれば、自ら考えて行動することが求められます。就活はその前段階であり、こちらも同じ。
そのためには、最後は一人で考えて決断し行動しなければなりません。他の人はどうなんだろう、誰か指示してくれないかな、ではダメなんです。
と言って、何でも一人よがりならいい、というものでもありません。会社員はもちろん、私のようなフリーランスでも多くの人と協同で仕事を進める必要があります。
就活生も、一人で全部抱えるのではなく、大学就職課・キャリアセンターや就活カフェ、各企業のセミナー・インターンシップ、OB訪問など必要に応じて相談していくといいでしょう。それが「協業と孤独の両立」です。
なお、「孤独」とは、何か失敗したときでも、自分なりに受け止める、ということも含みます。
え?失敗は嫌だ?失敗したら頭を抱える?
うんうん、そうですよね。失敗があるからこそ、次に進むわけで。
そのあたり、気になる方は、こういうイベントが面白そうです。
来週開催ですが、気になる方はお申し込みを(29日締め切りとありますが、直近でも可能とのこと)。
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