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スーパーボウル直後にスタート。ドラマ「24」の新たな主人公は、この男!

斉藤博昭映画ジャーナリスト
「24 レガシー」の主役を任されたコーリー・ホーキンズ(写真:REX FEATURES/アフロ)

24-TWENTY FOUR-」といえば、ジャック・バウアー。演じてきたのは、キーファー・サザーランド。2001年からアメリカで放映され、日本にもその人気は飛び火し、2014年のシーズン9(リブ・アナザー・デイ)まで製作されていた。物語がリアルタイムで進行する作りが特徴で、これだけ長い間、人々を魅了し続けているTVシリーズも珍しい。

その「24」が、ある意味で大改革を行って、新作を誕生させた。2月5日(日本時間では2月6日)、「24-TWENTY FOUR- レガシー」の第1話が北米で放映された。しかもスーパーボウルの後という、最高の時間に! 同シリーズにかけられた期待感が強く伝わってくる。

しかし、ジャック・バウアーの姿は、そこにはない。アメリカの連邦機関であるCTUの捜査官が、テロリストと戦う物語の基本は変わらないが、新たな主役が立てられたのである。その名は、エリック・カーター。元陸軍特殊部隊の兵士で、中東のイエメンでテロリストのリーダー、ビンカリードを殺害することに成功。やがて敵の手下による復讐が始まり、素性を隠していたエリックとその家族に魔の手が迫る。さらに衝撃のテロ計画が明らかになり……という展開。設定は、シーズン9の3年後。エリックとCTUによるテロの阻止が、全12話=12時間で進行していく。

注目が集まるのは、何といってもエリックを演じる俳優だ。コーリー・ホーキンズ。映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』で実在の音楽プロデューサーのドクター・ドレーを演じ、ドラマ「ウォーキング・デッド」もシーズン6から出演しているが、まだまだ知名度は低い。そんな彼が新たな「24」の主役というのは、まさに「抜擢」という言葉がふさわしい。

キーファー・サザーランドは今回、製作総指揮として関わっているものの、出演の予定はない。キーファーも現在、50歳。さすがにキレのあるアクションには限界があるだろう。では新主人公、コーリー・ホーキンズはどうか? これが、予想以上の身体能力なのである。第1話での、敵が押し入ってきた室内でのスピーディでしなやかな動きは、まるで野生動物のよう。現在28歳。肉体が最も生き生きと動く時期とはいえ、銃を構えるポーズのカッコよさなども惚れぼれするほど。気になるのは顔の作りで、ハンサムというより、クセのあるツラ構えで、一度見たら忘れない個性なのだが、好き嫌いは分かれるかもしれない。まぁ、キーファーも正当派イケメンではなかったが……。ただ、野獣のようなマスクは、物語やキャラクターにぴったりで、リアル感はあるだろう。

今回、黒人俳優が「24」という人気シリーズの主役となるのは、過剰なまでに多様性=ダイバーシティを求める時代の流れに乗ったからだろうか。いずれにしても、シリーズが完全に一新された印象ではある。コーリー・ホーキンズは、3月25日公開の『キングコング:髑髏島の巨神』にも出演。2017年のホープと言っても過言ではない。

バッグを斜め掛けにするなど、ジャック・バウアーへのオマージュも織り込み、おそらくこれから12話までの間に、「24」シリーズ過去作とのリンクがあちこちに仕掛けられるのは確実だ。CTUのメンバーも一新されたが、トニー・アルメイダは再び登場するとのこと。ちなみに撮影は、現在もアトランタで続行しており、もしかしてキーファーの特別出演なんてサービスもあるのではないか?

この「24-TWENTY FOUR- レガシー」、日本ではFOXチャンネルで、2月7日から放映/配信スタートする。第1話を観る限り、内容とスピード感において、これまでのシリーズファンを納得させる仕上がりになっている。あとは新キャストがどこまで観る者を引きつけるか。12話が終わる頃、その判断がはっきりするだろう。

映画ジャーナリスト

1997年にフリーとなり、映画専門のライター、インタビュアーとして活躍。おもな執筆媒体は、シネマトゥデイ、Safari、スクリーン、キネマ旬報、VOGUE、シネコンウォーカー、MOVIE WALKER PRESS、スカパー!、GQ JAPAN、 CINEMORE、BANGER!!!、劇場用パンフレットなど。日本映画ペンクラブ会員。全米の映画賞、クリティックス・チョイス・アワード(CCA)に投票する同会員。コロンビアのカルタヘナ国際映画祭、釜山国際映画祭では審査員も経験。「リリーのすべて」(早川書房刊)など翻訳も手がける。連絡先 irishgreenday@gmail.com

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