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今回も株式市場急落の影にインテル入ってる?

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 9月4日の日経平均株価は一時前日比1800円超の下げ幅となり3万7000円を下回った。引けは1638円安の3万7047円となり、下げ幅は歴代5番目の大きさとなった。

 この下落の要因として3日の米国株式市場で半導体大手エヌビディアの株価が急落したことが挙げられている。

 エヌビディアの株価急落の要因としては、エヌビディアが米司法省から反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで情報提供を命じられたとの報道があり、警戒感が強まったことなどが指摘された。

 エヌビディアの株価急落を受けて米国株式市場でハイテク株が軒並み売られ、ダウ平均は反落し626ドル安、ナスダックは577ポイント安となった。

 これを受けて、4日の東京株式市場では、東京エレクトロン、アドバンテストなど半導体関連株などが大きく売られたのである。

 さらに半導体絡みで注意すべき別のニュースが流れていた。

 3日のロイターによると、7月の世界全体(全社)の半導体売り上げが前月比11.1%減少したというIBSセキュリティーズのリポートを嫌気して、3日の米国株式市場では半導体株が大きく売られたと。

  この半導体株のなかには米半導体大手のインテルも入っており、インテル株も急落した。急落したというか8月29日以降戻り掛けていたが、その分が再び下落してしまったというべきか。

 インテル株は年初から約60%下落してダウ平均構成銘柄の中で下落率が最大となっていた。

 この株価低迷によって、ダウ工業株30種平均の構成銘柄から外されるとの観測が高まっていると報じられた(3日付ロイター)。

 インテルの株価下落による全体の株価に与える影響はエヌビディアの比ではないかもしれない。しかし、「インテル」そのものがCPUそのものを指す用語となっているように、象徴的な企業であることは間違いない。

 実はこのインテルの株価が8月1日から2日にかけて、ストンと下落したことが、8月5日の東京株式市場のクラッシュのひとつの要因となっていた可能性がある。

 インテルの株価が8日2日の米株式市場で前日終値に比べ約26%下落。2日の相場下落の要因は雇用統計を受けての景気への不安だけでなく、インテル・ショックによる半導体株が下落し、ハイテク株全波に売りが入ったことも影響した。

 8月3日付の日本経済新聞によると、『前日に発表した業績悪化と1万5000人の人員削減を受け、売りが広がった。同社の時価総額は1日で4分の3に目減りし、株式市場全体で売りが膨らむなか「インテル・ショック」とも言える状況になっている』。

 今回のインテル株の下落による影響はそれほど大きくなかったかもしれない。しかし、インテルがダウ工業株30種平均の構成銘柄から外されるとの観測による心理的な影響はそれなりにあったのではなかろうか。今回も株式市場急落の影にインテルが入っていた可能性がある。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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