世界のスマートスピーカーやAR・VRの市場規模実情をさぐる(2019年公開版)
新技術を用いた新しい商品として注目を集めているスマートスピーカーや、ARやVRと呼ばれる疑似現実技術による商品。その市場規模の実情を、総務省が2019年7月に公開した、2019年版となる最新の「情報通信白書」の内容から確認する。
最初に示すのは、世界のスマートスピーカーのスマートフォンの市場規模。2018年までが確定値で2019年以降は予想値。データの一次ソースはアメリカ合衆国の情報調査機関IHS Markitのテクノロジー部局IHS Technologyとなっている。今件はあくまでも市場規模≒出荷台数で、該当年に出荷された台数であり、その時点で利用されている台数ではないことに注意。
収録データは2015年以降のみだが、IT系企業の大手がこぞって展開を始めたのは2014年のアマゾンによる「Amazon Echo」がきっかけ。現在ではアマゾン以外にグーグル、アップル、マイクロソフト、ソニー、LINEなどがそれぞれ独自のスマートスピーカーを展開している。単純に利便性の提供だけで無く、利用者の生活の囲い込みをすることで多様なデータの取得、そして経済活動そのものを把握できることから、期待は非常に大きなものと思われる。
2021年における予想値は年間1.8億台。2018年時点の0.7億台の2倍以上。あるいはこれすらも、まだ甘い予想かもしれない。
続いてARやVRと呼ばれる疑似現実技術関連市場。似ているようで別物だが、ざっと説明すると次の通り。
・AR…Augmented Reality(拡張現実)
現実世界の情報に仮想情報を加えて反映させていくもの。メインは現実世界の情報。「ポケモンGO」が好例。アニメではARの概念がよく分かるものとして「電脳コイル」が知られている。
・VR…Virtual Reality(仮想現実)
コンピューターなどを用いて疑似的な仮想空間を生成し、利用者がその空間に存在しているかのような体験をさせる技術。HMD(Head Mounted Display、ヘッドマウントディスプレイ)が使われることが多い。
ARとVRとではVRの方が利用者ベースでの利用ツールが多くなり支出額が大きくなることから(ARは概して利用者がすでに持っている他のデジタルツールでの活用となる)、実情・予想値でもVRの方が大きな市場規模を示している。
AR・VRともに大きく成長中で、今後もそのペースが継続することが予想されているのには違いない。
白書では「消費者向けのエンターテイメント向け以外でも、企業で利用が広がっており、例えば、不動産分野で物件を、旅行分野で旅先を疑似体験するもののほか、他の分野でも訓練や教育、3次元空間でのナビゲーションなどに活用されている」とし、単にエンターテインメント部門だけでなく実用部門でも実績をあげ、今後も領域を拡大していくことが期待できると記されている。
インターネットやスマートフォンのように一定の普及率を示すことで、その普及を前提とした新たな企画や商品、サービスの参入も容易になり、それは市場の相乗効果的な広がりにつながっていく。市場規模の広がりとともに、どのような世界が展開されるのか、それもまた今後が楽しみな話ではある。
■関連記事:
4マス全体への業種別広告費の10年間の変化をさぐる(変化率や特定業種動向)(2018年分)
(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。