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「PUI PUI モルカー」新シリーズ放送発表への嬉しい驚きと絶妙なスピード感

小新井涼アニメウォッチャー
「とびだせ!ならせ! PUI PUI モルカー」入場特典(筆者撮影)

先週火曜日、アニメ「PUI PUI モルカー」の新シリーズがこの秋から放送されることが発表され、注目を集めました。

昨年1月期に放送された本作は、放送開始と共にSNSで盛り上がり、朝の子供向け番組内で放送された1話2分半程の作品ながら、大人達から海外のアニメファンまで幅広い層を夢中にさせた2021年の話題作です。

それだけ人気だったのだから、続編も作られるであろうことはある程度予想されていたものの、今回のニュースは、通常の続編決定の発表以上の驚きを伴うものでもありました。

■『もう新作が!?』という驚き

今回の発表で何よりも驚くべき点は、新シリーズ製作の発表のみならず、その放送予定時期までが既に決まっており、さらにそれが今年の秋クールであったことです。

前述の通り、本作の第1シリーズが放送されていたのは昨年1月期。

通常、テレビアニメの新シリーズ放送までには、(分割2クール等でない限り)制作期間等もあるため、少なくとも2年程は間が空くことがほとんどです。

それにもかかわらず、放送終了からたったの1年半で新シリーズ放送という報には、嬉しいのと同時に『もう新作がみられるの!?』と、内心驚いた方も少なくないと思います。

とはいえ1話2分半程で、第1シリーズでは全12話を合わせても30分強のショートアニメだったのだし、1話30分のテレビシリーズよりは時間もかからないのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし本作は、アニメはアニメでもストップモーションアニメ。1コマごとに、実写のパペットなどを少しずつ動かして撮影し動いているようにみせる作品であるために、1日がかりでも制作できるのは数秒程の、膨大な時間と作業を必要とする作品なのです。

単純に手描きアニメとどちらが大変かといった比較はできませんが、本作の第1シーズンの制作自体にも1年半程時間を要したとのことで、ただでさえあれだけ活き活きとしたモルカー達の動きが見事に表現されている作品、好評を受けて新シリーズが製作されるとしても、やはり制作するにも2年程は期間が空くのでは…とも考えられました。

それがまさかの、こんなに早く放送予定が発表され、その時期も今年の秋という異例のスピードであったことは、そうした予想を超えた驚きの発表でもあったのです。

■スピード感の妙

思い返すと、本作「PUI PUI モルカー」は、第1シリーズ放送当時から、そうした驚きの“スピード感”がある作品でした。

放送開始後、SNSを中心に話題が広がると、放送前から決まっていたグッズ販売やコラボに加えて、放送途中からは更に幅広いグッズ展開や様々なコラボを実施。

放送終了後も、そうした展開に加えて映画館での期間限定上映展覧会等も実施され、コンスタントに新しい情報が発信され続けていました。

また本作をはじめ、前述の通り新作テレビシリーズの放送までには通常2年以上間が空くことが多いとはいいつつ、近年の「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」などは、途中劇場版の公開を挟むことで、実質2年以内に絶えず新作の映像作品を発表し続けるペースを保っています。

ほぼ毎クール新作アニメが50本以上誕生し、トレンドの入れ替わりも激しい昨今、放送終了後もファンの盛り上がりを保つためには、そうして絶えず様々な施策を行い、その間に新作の告知をし、次の放送・公開に至るといった、わんこそば的な供給とスピード感が、より重要になってきているのかもしれません。

アニメウォッチャー

北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 まんたんウェブやアニメ誌などでコラム連載や番組コメンテーターとして出演する傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。

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