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経産大臣らと書店界の第2回車座会合、6月12日開催。作家の今村翔吾さんが語った思いとは…

篠田博之月刊『創』編集長
車座会合での今村翔吾さん(代表撮影)

 4月17日に続いて、斎藤健・経済産業大臣と書店関係者の車座会合が6月12日に開催された。出席したのは斎藤大臣のほかに上川洋子・外務大臣、盛山正仁・文科大臣の3人と、書店側からは作家であり3つの書店を経営する今村翔吾さん、ブックセラーズ&カンパニーの宮城剛高社長、福井県敦賀市の柴田智之まちづくり観光部補佐、ちえなみきの笹本早夕里店長などだった。

 街の書店がどんどん消えていっている現実を何とかしようという取り組みだが、ブックセラーズ&カンパニーの話や福井県敦賀市の話もなかなか興味深い内容だった。詳細は改めて報告したいと思うが、ここで今村さんの発言の最後の部分を紹介したい。

車座会合の出席者たち(代表撮影)
車座会合の出席者たち(代表撮影)

《出版界を変えていくというのは、大きく二つの要素があると思います。

一つは今日皆さんが語ってくださるような実績であったり、僭越ながら僕の「ほんまる」みたいなことも踏まえた、それぞれ各々の活動ということと、もう一つは業界全体が力を結集して、一歩でも歩み寄ることです。

 企業なので自分たちが生き残りに走るのは仕方がないことなんですけど、このままでは出版界には未来がもうないです。

今回、国が、経産省が動いてくれるというのは本当にありがたいことです。しかしそれはあくまで後押しと捉えて、本当に変えていかなければならないのは、我々、中の人間だということを、もう1回肝に銘じなければならないなと、そういうふうに思ってます。

 最後に、昨日、SNSで、とある書店さんがたまたまこういうツイートをされました。そのまま読ませていただきますが、「今村翔吾さんの『塞王の楯』ありますか?と息を切らし来店した女子高校生がいた。まもなく文庫が出るから待っている?と聞くと、ぜひ単行本が欲しいですと。図書館で読んだのですが、あまりにも素晴らしすぎて、こんな読書体験したことがなくて、もう欲しくなっちゃって、と……。今日届いたよ」と。

僕がこれに対して、大切な1冊になる、光栄ですと伝えてくだされば幸いです。そして、これからもあなたのような多くのたった1人のために書いていきますと書いたんです。そしたら、女子高生は、その場で感涙…涙してたらしいです。

皆さん、ここに集まってる皆さん、大体大なり小なりこういう体験、若い頃にあったんじゃないでしょうか? 出版業界に入ろうと思った人間、僕も含めて、みんなこういう体験あったはずなんです。

で、今変われないと、もう二度と変われないんじゃないかなと僕は思ってます。あの頃の、本にキラキラ目を輝かせてた頃の自分を思い出し、次世代のために書店を残す、青くさいかもしれないですけど、この1点で出版界は繋がって変えていけなければ、もう滅んでも仕方ないのではないかなと思うほどです。

私は必ず今年が「書店復活の元年」になると信じてます。》

齋藤大臣(中央)と今村さん(代表撮影)
齋藤大臣(中央)と今村さん(代表撮影)

 下記記事に書いたように、書店が姿を消している現実に対する「反撃」を唱える今村さんのこのところの活躍がすごい。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/3fad46ddb94bb81036cae05725b590368784ef9e

「出版の灯を絶やさないための反撃」を唱える作家・今村翔吾さんの最近の活躍はすごい

 今回の車座会合でも、斎藤・上川両大臣の間の席で、今村さんは熱弁をふるった。他の人の発言も含めて詳細は近々報告しよう。

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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