コンサドーレの前半戦をデータで振り返る 昨季とは異なる3つの得点パターンとは?
北海道コンサドーレ札幌は明治安田生命J1リーグの2019年シーズン前半戦を8勝3分け6敗、勝ち点27の6位で折り返した。
怪我人が続出してベストなフォーメーションが組めない中でも、しっかり勝ち点を積み上げて上位争いに食い込めているのは、今年で就任2年目となるミハイロ・ペトロヴィッチ監督(通称:ミシャ)の独特なサッカースタイルが、チームに浸透してきている成果と言えるだろう。
昨季と比べてミシャの攻撃的スタイルがどのような進化を遂げているのか、得点パターンのデータを用いて分析する。
得点パターンの3つの変化
昨季はリーグ戦34試合で48得点だったのに対し、今季は前半戦17試合で23得点。1試合平均1.4ゴールと、ほぼ同じペースで得点を積み重ねている。
2018シーズンと2019シーズンの前半戦との得点パターンをグラフ化すると、以下のようになる。
大きく分けると3つの変化が見て取れる。ひとつひとつ解説する。
札幌はセットプレーからの得点がJ1でトップ
昨季はセットプレー(PK、直接FKを含む)からの得点が全体の25%だったが、今季は39%に増えた。セットプレーからの得点数は第17節時点で清水と並んで、J1トップの数字だ。
J1屈指のプレースキッカー、福森晃斗の存在のみならず、今季加入したMFルーカス・フェルナンデスもCKで精度の高いキックを蹴ることができる。セットプレーのバリエーションが増えたことがひとつの要因と言えよう。
また、セットプレーで2得点した第16節の鳥栖戦後に、監督会見でミシャは以下のようなコメントを残している。
浦和時代は「CKの練習はしない」と明言していたミシャが、札幌を指揮するようになって、フロント側の提言を受け入れる柔軟性を持ったと考えられる。そういう意味では、この変化はコーチングスタッフの努力の賜物と言えるだろう。
クロスからの得点は減少
続いてクロスからのゴールは、2018シーズンは27%あったのに対し、今シーズンは9%と激減している。
減った要因としては、昨季にクロスのターゲットとなっていた都倉賢(187cm)がC大阪に移籍し、190cmのジェイ・ボスロイドも前半戦は負傷離脱の期間が長かったため、と考えられる。
スルーパスからの得点は増加
変化したポイントの3つ目は、スルーパスからのゴール数だ。昨季は全体の6%だったのが、今季は13%と倍増している。これは裏への抜け出しを得意としている快足FW鈴木武蔵の加入が一番の要因と言える。
負傷離脱組が復帰する後半戦に期待
昨季から主力メンバーの一部が入れ替わったことで、得点パターンに変化が表れるのは自明と言える。
更に先週、怪我で離脱していた駒井善成と宮澤裕樹が揃って全体練習に合流したことで、後半戦に向けて戦い方にバリエーションを持たせることができるだろう。
今季の目標であるACL出場権獲得を目指して、後半戦の追い上げに期待したいところだ。