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【杉並区】日本一熱いおしぼりから始まるおもてなし。自慢の蒸し料理とグラス490円の地酒に感涙!

酔街草エディター・ライター(東京都杉並区)
*お酒は二十歳になってから

猛暑続きだった夏もようやく終わりを迎え、秋の空気への入れ換わりを実感する今日この頃。

いよいよ温かい日本酒と肴が恋しくなってだろうか、今宵は迷う事なく『酒場ななめ』へと足が向いている。

JR荻窪駅の南口に出て「仲通り商店街」に入り、最初の角を左折して5分ほど歩くと、住宅地との境界に店の目印である「蒸」と大きく描かれた提灯が忽然と現れる。

暖簾を潜り、「いらっしゃ~い!」と威勢の良い掛け声のハーモニーに導かれ、カウンターに着席するや否や「日本一熱いおしぼりで~す!」と、湯気の立った熱々の蒸しおしぼりが手渡される。

いつもながらの儀式とは心得ていても、油断するとつい指を離してしまいそうなくらい熱く、確かに”日本一熱いおしぼり”であることに嘘偽りはない。

まずは、ビールで喉を潤してメニューに目を通す。お通しが生野菜たっぷりのサラダというのもヘルシーで嬉しい。

店内は木の温もりを感じさせる昭和レトロな落ち着いた雰囲気。入り口付近に人数調整可能なテーブル席、中央にカウンター10席、奥にもテーブル席が数席ある。
店内は木の温もりを感じさせる昭和レトロな落ち着いた雰囲気。入り口付近に人数調整可能なテーブル席、中央にカウンター10席、奥にもテーブル席が数席ある。

タイル張りの調理場の端に鎮座するのが煮込み用の大鍋。食欲を掻き立てる濃厚な匂いが呑兵衛にはたまらないはず。その脇には大小の蒸籠が常にスタンバイ状態。
タイル張りの調理場の端に鎮座するのが煮込み用の大鍋。食欲を掻き立てる濃厚な匂いが呑兵衛にはたまらないはず。その脇には大小の蒸籠が常にスタンバイ状態。

『酒場ななめ』がオープンしたのは2017年の11月。店主の土井利通さんは、八王子でのアルバイト時代から飲食に携わり、老舗イタリア料理店での修行を経た後、聖蹟桜ヶ丘に蒸籠(せいろ)蒸しが売りの店を共同で立ち上げ、6年半後に独立して荻窪に店を構えるに至っている。

土井さんは、中華蒸籠を万能調理器のように使いこなす腕前も確かだが、なかなかひょうきんな性格の持ち主。それが数名の女性従業員の華やかさとも渾然一体となって、店全体の雰囲気が和やかになっているのかも知れない。

ちなみに店名の『ななめ』の由来について、酔街草は店の入り口前の敷居が斜めになっているからとばかり思っていたのだが、かつて土井さんの髪型が斜めだった事からと聞いて、思わず吹き出してしまった。

新鮮な刺身がリーズナブルな値段!

超熱おしぼりとの格闘が終わった頃を見計らって(?)お勧めされるのが「本日のお刺身」。それぞれ単品でも頼めるのだが、ここは盛り合わせといきたい。

一人前780円(税別・以下同)という価格も破格で、「開店以来、日本酒と刺身は値上げをしていません。赤字覚悟のサービスですよ(笑)」と、土井さんは胸を張る。

他にも「本日のおばんざい」やオリジナルの一品料理など本日のおすすめが手書きのメニューに並ぶ。どれもこれも酒の肴として楽しめるものばかりだ。

3大名物は試す価値あり!

定番メニューがなかなか侮れない。肉豆腐以外は蒸籠を駆使したご自慢の蒸し料理。「出汁巻き玉子」ならぬ「出汁蒸し玉子」のふんわり感にも驚くはずだ。初めて訪れるなら、まず3大名物にトライしてみてはいかがだろう。

3大名物~その1~「肉豆腐」(680円)。

牛すじと豚あばら肉をクツクツと長時間煮込んだ逸品。頼めば写真のようにお一人様用に量を加減してもらえる。

3大名物~その2~「骨付鳥」(1本580円)。

予め蒸籠で2時間蒸してあるため、箸を入れるとほろっと解れる柔らかさ。「歯が無くても食べられる!」とシニア世代にも人気だとか(笑)。

3大名物~その3~「10品目の蒸したて温野菜」(880円)。

新鮮な野菜をホクホクでいただくことが出来る。3種類の自家製ソースが付いて、彩りも鮮やか。こちらも頼めばハーフサイズに変更可能だ。

レモンサワー好きにはたまらない?

ドリンク類も豊富に揃っており、しかもリーズナブルな価格設定。レモンサワーの種類が多く、ノンアルコールも可能とあって、呑めない人でも楽しめるようにとの気配りが良い。

ユニークなのが、洒落の利いたオリジナルの標語がプリントされたグラス。思わずクスッと笑ってしまいそうなものばかり。

店主の土井さんが思いついたものや、中には客からの提案で採用したものもあるそうだ。他にどんな標語があるのか、好奇心に駆られてついついグラスを重ねてしまいそう。

ワンコインなら呑まなきゃ損!

酔街草のお気に入りが「今酔の日本酒」シリーズ。何と言っても、純米吟醸クラスの銘柄も”グラス490円”という安さに感激なのだ。

巷の居酒屋なら倍近くの値段はとられるだろう全国の銘酒も、ワンコインで惜しげも無く提供してもらえるのは本当にありがたい。

まずは、冷やで『会津 名倉山(純米吟醸)』から。米の甘みと酸味のバランスがとれてスッキリとした後味は刺身相手に最適だ。

お次はこの店ならでは醍醐味である「蒸し燗」を徳利(650円)でいただく。熱燗とは違って酒全体がまろやかになり、確かに吟醸酒でも問題は無い。

土井さんの故郷が静岡県掛川市の酒との事で、『開運』だけはデフォルトで置いているそうだ。そう言えば『開運』の蔵元は「土井酒造」だったような・・・。

次回、関係があるのか聞いてみたい。

ボリューミーなおつまみも多数!

人気の「ポテトサラダ」は、まるでタワー状態!これで580円なのにも驚く。もちろん、少なめに調整してもらえるのでご安心をば。

こちらも人気の高い『鯖缶のネギマヨ焼き バケット付き」(780円)。缶詰をそのまま器にする大胆不敵さが何とも言えず、しかも格別に旨い!

蒸し料理とくれば欠かせないのが「小籠包」(1個100円)。”一個から百個まで”という触れ書きも凄いが、酔街草には締めとして2個が限界だった。

ユーモアたっぷり!

写真でお見せできないのが残念だが、女性従業員は、皆、お揃いの法被姿でとても鯔背。勘定書にも手書きのコメントが添えられていて、オジさん達のハートはさぞ鷲掴みされていることだろう。

余談になるが、彼女たちの肌が皆あまりにも艶々しているので、”これは蒸し料理のミストの成せる技?”と、勝手な想像を巡らせているのだが、如何なものか・・・。

土井さんのひょうきんな性格はこんな所にも・・・。人気店とあって早い時間から満席になる事が多いのだが、SNSでフォローしておけば「お席少し空いてきましたよ~♪」というプッシュ通知も貰えるので便利だ。

気配りに溢れた荻窪の隠れた名店

勘定を済ませて玄関を出ると、土井さんを先頭に手の空いた従業員が店の前まで見送りに出て来てくれる。もちろん、気恥ずかしいと言うよりも、ちょっとした料亭風の気分になれて悪いはずはない。

「日本一熱いおしぼり」然り、こういった細やかな気配りが『酒場ななめ』の隠し味なのだろう。帰りの遅くなった女性が独りでも安心して通える店として、覚えておいて損はないはずだ。

さてさて、今宵も大満足~ご馳走様でした!

酒場 ななめ

住所:東京都杉並区荻窪4-25-10

電話番号:03-6915-1719

アクセス: JR荻窪駅南口より徒歩5分

営業時間: 月・水・木・金・土・日 17:30 ~24:00

火曜定休

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エディター・ライター(東京都杉並区)

中央線沿線の街並みとお酒をこよなく愛する、元・雑誌編集者です。長年に渡って杉並区の荻窪に在住。居酒屋、グルメに関する話題・スポットをはじめ、季節のイベントなどを中心に、皆さんの役に立つ情報を発信して行きます。

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