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カナダ本拠地チームの悲劇 ブルージェイズに続き開幕目前のラプターズがホームレスに?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
トロントでの公式戦実施を希望しているラプターズのマサイ・ウジリ球団社長(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【12月22日開幕で慌ただしいNBAのオフシーズン】

 11月5日に実施された選手会の投票により、NBAが提示してきた2020-21シーズンの12月22日開幕が正式に承認された。

 この結果、トレーニングキャンプが12月1日からスタートすることになり、各チームとも短いオフシーズンの中で準備を進めていかねばならなくなった。

 開幕日までのオフシーズンの主な日程は、以下のようになる。

 11月18日:ドラフト実施

  同20日 :FA選手との交渉解禁(東部時間の午後6時から)

  同22日:FA選手との契約解禁(東部時間の午後12時1分から)

 12月 1日 :トレーニングキャンプ開始

  同11日 :プレシーズン試合開始

  同22日 :2020-21シーズン開幕

 米メディアによれば、10月11日まで戦いレイカーズをNBA王者に導いたレブロン・ジェームズ選手は、十分な休養時間を得られないまま新たなシーズンに臨むため、今でも12月22日開幕に疑義を呈しているようだ。

【現在も続くカナダとの国境問題】

 だが選手会の投票で承認されてしまった以上、すでに12月22日開幕ですべてが動き始めている。それに伴い、MLB同様の問題も顕在化している。

 MLBと同じ全30チームで構成されているNBAは、MLBで唯一カナダを拠点にしているトロント・ブルージェイズがあるように、やはりトロントを拠点にしているチームが存在している。トロント・ラプターズだ。

 北米で新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、カナダ政府は米国からの入国を制限しており、現在も入国者は2週間の隔離措置が義務づけられている。

 MLBが7月にシーズンを開幕するに当たり、ブルージェイズはカナダ政府に対し、トロントの本拠地球場の使用とチームの移動を入国制限の対象外にして貰えるよう求めていたが、結局許可が降りず、チーム傘下3Aのバファローが使用する球場を本拠地にするしかなかった。

 10月に入ってから米国、カナダともに感染数が再び増加傾向にあり、入国制限を解除できるような状況にないことを考えれば、やはりラプターズもブルージェイズと同じ境遇に置かれそうなのだ。

【最終決定権はカナダ政府に】

 スポーツ専門サイトの「the Score」が報じたところでは、ラプターズは現時点でホーム試合をどこで実施するかを正式発表していない。

 ただマサイ・ウジリ球団社長はトロントの地元紙に対し、以下のように発言しているようだ。

 「我々は、ここトロントで新たな日常が送れることを強く希望している。ファンを迎え入れることができなかったとしても、やはり来シーズンは我々のアリーナでプレーしたい。

 もちろん安全かつ責任感を持ち、スマートに実施したいと思っている。それ以外に方法はない。公共衛生が最重要事項だ」

 やはりブルージェイズと同様にトロントでの公式戦実施を希望しており、検討を続けているようだ。だが最終決定権はカナダ政府に委ねられており、彼らの決定を待つしかない。

【代替地の第一候補はタンパ?】

 その一方で、トロントに代わる米国内の代替本拠地も検討が始まっている。

 現時点でルイビル、カンザスシティ、ナッシュビル、ニューワーク、タンパベイ──が候補に挙がっている。なかでもNHLのライトニングが使用しているアリーナが、有力候補になっているようだ。

 果たしてカナダ政府はどのような決定を下すのか。またトロントでの公式戦実施が認められなかった場合、ラプターズはどこを本拠地にするのか。

 遅くともプレシーズン試合が始まる12月上旬までには、ラプターズから正式発表があるだろう。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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