ムカデとの遭遇、梅雨に増えるのはなぜ? 意外な生態と対策
ムカデのことを怖いと思っている方は多いと思います。私もその1人です。私はまだかまれたことはないのですが、飼っている猫がかまれてしまい、前脚が酷く腫れてとても痛そうだったことを思い出します。かまれるのも怖いし、見た目も足がたくさんあって気持ち悪いですよね。今の梅雨時期になるとムカデに遭遇する機会が増えてしまいます。
油断していたらばったり遭遇……という場面に備えて、ムカデの生態と対処方法をまとめました。
身近に見かけるムカデはどんな生活をしているの?
日本では約150種類が生息していますが、日本でヒトや動物をかんで傷を負わせる種類は、主にオオムカデ科に分類される体長5-20cmの大型種です。中でも、トビズムカデ、アオズムカデ、の2種が私たちの身近にいる種となります。
ここでは、いちばんポピュラーなトビズムカデのライフサイクルをご紹介します。
越冬したムカデは春の最低気温が15度を超えるころから活動を開始しています。その後、5月上旬から2ヶ月の間、繁殖期を迎えます。繁殖期のムカデは1年のうちでもっとも徘徊し、人家へ侵入することもあり、かまれるという咬傷(こうしょう)被害がおこります。
梅雨の時期のムカデは、子孫を残す相手を探すため、餌を探すため、また、降水等で棲み処(すみか)を追われるために、行動範囲が著しく広がります。ということは、ちょうど今の時期に多く見ることとなります。
ムカデはいわゆる交尾はせず、雄と雌が出会うと、雄は精子の入った袋(精包)を落とし、雌はそれを拾って受精します。その後、雌ムカデは産卵するために、外敵の少ない湿気のある静かな環境を探します。住宅付近を徘徊するムカデも同じような産卵場所を探しているので、敷地内の庭に石や砂利、芝生があるとその下に外から侵入してきます。
雌は、10個から数十個の卵を産みますが、卵が孵化(ふか)して幼体になり、自分で生活できるようになるまでずっと子供の世話をしています。その間約1ヶ月。ムカデのお母さんは、飲まず食わずで必死にわが子を守っています。ムカデの母性はすごいです!
ムカデはなぜ人をかむの?
そんな母性の強いムカデですが、なぜ人をかむのでしょう?実は、ムカデが自ら人を襲うことはありません。ムカデがヒトや動物をかむのは、自分の安全を確保するための防衛本能なのです。偶発的に人と触れてしまった時に身を守るためにかみます。知人がキャンプで海辺に行った時に、サンダルを履いた瞬間、足の親指をかまれました。これは、ムカデがたまたまサンダルに潜んでいて、それに気付かず履いた結果、驚いたムカデが身を守るために防衛してかんだと考えられます。自ら攻撃することはないので、1回かんだ後は猛烈な勢いで走り去ります。
そんなムカデに対処するにはどうしたらいいでしょう?
シーン別にご紹介します。
家の中でムカデを見つけた時は?
ムカデの素早い動きを瞬時に止めることが大切です。凍結剤の入った殺虫スプレーを使用することで、ムカデの動きを瞬時に止めることができ、殺虫成分で駆除もできます。
家の外でムカデを見つけたら?
外にいるムカデを家の中に入らせないようにするには、家の周囲に侵入防止の粉剤をまいておくことをお勧めします。粉剤には雨水をはじくものもあり、梅雨でも使用できます。
家の周りに隠れているムカデには
ムカデは家の周りに潜んでいることも多く、家の中に入って来る前に対処したいもの。生きた昆虫を餌として食べることが多いのですが、樹液などもなめています。ムカデに食べさせて駆除する毒餌(どくじ)剤を家の周囲に置いておくことで隠れたムカデにも対処できます。粉剤をまくのが嫌な方にもお勧めです。
私は、この仕事に就くまでは、害虫のことに興味はなく、ただ怖がっているだけでした。でも、害虫を正しく知ることで、むやみやたらに怖がることもなくなりました。また、本当に怖がらないといけない虫についても正しい知識が付き、虫がいても快適な生活を送れるようになりました。このYahoo!ニュース個人の場で、害虫についての知識や対処方法を今後も発信させていただきます。