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ウクライナ、1機6500万円の水中神風ドローン「Marichka」開発:動画公開

佐藤仁学術研究員・著述家
水中神風ドローン「Marichka」(Euromaidan Press)

2023年9月にウクライナのボランティアのエンジニアが開発している水中ドローン(unmanned underwater vehicle:UUV)「Marichka」の動画が公開された。6メートルの真っ黒な筐体で約1000キロメートルを航行できる。動画を見ても周囲にいる人間との大きさを比較して、その大きさがわかる。潜水艦や艦隊、海軍基地などへの攻撃や監視・偵察にも使用できる。英国メディアの「ザ・テレグラフ」によると、この水中ドローン「Marichka」は1機で433,000ドル(約6500万円)と報じている。同紙では「underwater suicide drone(水中自爆ドローン)」と形容している。

ドローンは空中からの監視・偵察や攻撃が多いが、水中で敵軍の艦船の監視や攻撃を行う水中ドローンも戦場では重要である。水中攻撃ドローンは標的の艦隊や艦船をめがけて突っ込んでいき爆破させる。いわゆる「水中神風ドローン」である。

空を飛ぶドローンは民生品の安価なドローンで偵察や監視、さらに爆弾をつけてロシア軍に投下して殺傷したり戦車を破壊したりすることもできる。安価な空を飛ぶドローンに比べると、水中神風ドローンで1機約6500万円はかなり高価である。

水中神風ドローンは敵軍の艦隊や海軍の基地などに攻撃して爆破すると基本的に再利用はできない。だが破壊力は大きい。上空のドローンから爆弾を投下したり、ドローンごと突っ込んでいき爆発させる標的は戦車や軍事施設、塹壕のロシア兵など様々だが、水中神風ドローンの標的は潜水艦や艦隊、海軍の基地などで標的も大型である。そのため破壊力のある水中神風ドローンが必要である。

▼ウクライナで開発された水中神風ドローン「Marichka」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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