混乱をさけたければ『軽減税率』はすべて『内税表示』で政府指導せよ!
KNNポール神田です。
ついに2019年10月1日よりの消費税10%の増税で、日本ではじめての『軽減税率』制度と『政府ポイント還元』が同時にはじまる…。
この図表を、一度じっくりと確認してみてほしい…。
このキャッシュレスによるポイント還元は、東京五輪前の来年2020年の6月までの9ヶ月間。約270日間続く。そして『軽減税率』はこれから法律が改正されない限り続く…。
持ち帰りか持ち帰りでないか?食品なのか食品でないのか?高級品なのか?
参議院選挙の結果によっては…、もしかしてまた消費税は延期?にの期待むなしく、消費税の増税が来月の10月1日(火曜日)から始まる。日夜、『軽減税率』の問題点というか考え方の方向性がようやく明確になってきた。遅すぎないか?しかし、そのされど『2%』の違いをめぐって、疑問が紛糾している。想定している『軽減税率』と『現場でのオペーレーション』の乖離が大きく見られるからだ。
すき家と松屋は、店内の食事の本体価格を調整し、店内と持ち帰りの値段を同等にすると発表した。日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)も価格を調整し、同一価格で提供する。つまり増税分を企業側が負担する方式を採用したのだ。
特に現金の場合は8%で1円玉の処理が残ってしまうと、『現場でのオペーレーション』は釣り銭対応で1円玉まで対応しなければならなくなる。食券の自販機においても全機種対応することを考えると、本体価格で価格を調整したほうがはるかにメリットが出てくる。人的負担が高いからだ。一方、吉野家はすき家と松屋と明確に、店内と店外で料金をわける軽減税率を採用する。
■高い消費税率と軽減税率が細分化されている国での運用のほとんどは『税込み』表示
消費税を増税したけれども、『軽減税率』を導入する混乱をなくす一つの解決策は、『税込み表示』の徹底である。例えば、筆者が滞在していたポルトガルの消費税では、23%、13%、6%と3段階に『軽減税率』が別れている。これはかなり混乱しそうだ。しかし、まったく混乱しない。それはすべて『税込み表示』だからである。買い物のレシートを見てはじめて税率がわかる。
クリームチーズは必須食品6%で、ベーコンは高級品で23%となる理由はわからないが、買う時には表示価格のみで判断するので、軽減税率を意識することはほとんどなかった。
また、店頭では特売効果を狙うため9や8の桁を抑えたプライス表示が多くなり、高い税金の負担を感じることがない(業者側の企業努力のたまものだが…)。日本では、いつも買った金額に外税が足され、購入後に消費税をこれだけ払ったのかという心理が常に働くのだ…。
日本以上に高い消費税の国々は、このように消費者に税負担を意識させない『内税方式』の努力が行われている。少なくとも景気を支えるのであれば、『外税方式』ではなく『内税方式』にすべきなのは単純明確だ。店内のオペレーションも『内税』になっていれば、あとは飲食などでの『持ち帰り(テイクアウト)』の税率適応ボタンを押すというだけの簡易な判断ですむ。
■よくばりすぎた『軽減税率』と『キャッシュレスポイント還元』
今回、10%への増税とそのエクスキューズの為の『軽減税率』を導入し、さらに、ついでに中小企業にキャッシュレスを促進する為の『キャッシュレスポイント還元』を複雑にしてしまったのが最大の誤算だ。しかも9ヶ月後にはまた戻さなくてはならない。
さらにキャッシュレス業者にとっては、政府がポイント負担を9ヶ月面倒を見たものだから、10月1日からは奇想天外な大々的なキャンペーンもはじめることだろう。増税とテイクアウトとポイント還元率の3大リスクがおりなす消費増税トラブルはもはや回避のしようがない。
政府はこれで失敗したらどんな対応をするのだろうか?『政府ポイント還元』は消費税の『軽減税率』の導入後にすべきだと筆者は考える。あまりにも、事業者側の負荷が高いからだ。もちろん、ポイント還元のキャンペーン企画は各社これだけでは終わらないだろう…。政府のポイント還元プラス、このチャンスにユーザーを抱え込みたいからだ。事業社と消費者の奔走は増税そのものを一旦中止宣言を出さなければならいような事態を招いてもおかしくない。
■PayPayはヤフー!を超えるのか?
キャッシュレス業者の中でも、後発ながらも100億円キャンペーンを2回打ち出したPayPayは、国内トップクラスの1,000万人近くのユーザー層をかかえようとしている(2019年8月で950万人獲得)。さらに、今後は、フリマアプリの『PayPayフリマ』ECモールの『PayPayモール』とでヤフーのサービスと協業していく。もしかすると、ヤフーは米国Yahoo!との売上の3%のライセンス料を捨てるために『PayPay』というサービスにヤフーの名前を変えようとしているとしか筆者には思えない(筆者の推測である)。
当然、PayPayは、さらに新たな1000万ユーザー感謝キャンペーンなどで、ECをベースにした新たな戦いにトライしてくることだろう。ビジネスモデルはAlibabaの『Alipay』を目指している。
■QRコード決済アプリの10月以降の動向
政府がキャッシュレスポイント還元で支える間に、各QRコード事業社がそれぞれのキャンペーンを打ち出すことだろう。
現在、フリマアプリのメルカリ系の『メルペイ』は双方に1000円分のポイントを付与する紹介キャンペーンを展開中であり、LINEのコミュニケーションを核とした『LINE Pay』は、Alibabaの『Alipay』に対して、テンセントの『WeChat Pay』のメッセンジャーのコミュニケーションを起点としたQRコード決済のビジネスモデルを目指している。2020年にはミニプログラムというアプリ内アプリでキャッシュレスの次を狙っている。
中小企業の店舗を抱え込んだ、政府ポイント還元+水面下で動いているだろうQRコード決済アプリ独自のポイントキャンペーンによって、日本の10月1日から大忙しな還元税率とポイント還元率を考えさせられる日々が展開される。ソフトランディングするためには、まずは政府は、『内税方式』を強く推奨する発表をするべきだろう。
■SMSでやってくる『SMS詐欺』にも警戒!
それと同時に、ポイント還元や税率の機会として、10月1日以降、SMSという便利な、電話番号で偽装URLを送れる便利なツールの詐欺も多く登場することだろう。まずは、SMSのリンクは一旦、すぐにはタッチしないという普段からの癖をつけておくことが最大の防御策となる。SMSのURL、しかも短縮URL先にはあなたの端末から反応されたという情報が把握されてしまう。
面倒なようだが、どうしてもSMSをクリックしたい場合は、一度そのSMSの文明をPCへ転送し、PC側でクリックするよう心がけてほしい。これによって、携帯電話番号を特定させないというカモフラージュが可能となる。
そして表示されたサイトのURLをよく確認しよう。サイトをそっくりにつくることはとても簡単だ。IDとパスワードを要求されたら、まずは詐欺として疑ってみるという癖をつけておいてほしい。