新型コロナに感染した後の宿泊施設・自宅での療養 用意するもの・注意点
★2022年7月28日記事改訂しています(URL:https://news.yahoo.co.jp/byline/kuraharayu/20220728-00306858)
無症状あるいは軽症の場合の療養期間
もしあなたが新型コロナに感染した場合、自治体によって細かい基準に差はありますが、無症状あるいは軽症であれば、入院ではなく自宅か宿泊施設での療養になります。
療養期間については「発症日(無症状者は陽性検体が採取された日)から10日間が経過し、かつ症状消失から72時間経過した場合」です。そのため、療養が解除となるのは最短で11日目となります。
コロナ病棟に入院した場合も軽症者はそのくらい入院していますので※、基本的に新型コロナに感染したら2週間は療養が必要になることを覚悟しておきましょう。
※筆者の病院のコロナ病棟における軽症例の平均在院日数は10日間。ちなみに中等症例では14日間。
宿泊施設での療養する場合に必要となるもの
自宅ではなく宿泊施設で療養することになった場合、持参すべきものは何でしょうか。通販や外部からの物品受け取りについては、感染拡大防止のために原則不可のところも多いですが、常用薬の補充や家族からの差し入れに関しては可能な施設が多いです。とはいえ、基本的に必要物資は療養開始時にすべて持参する必要があります。
宿泊施設に勤務する看護師にヒアリングさせていただきましたが、以下のものは最初に持参したほうがよいそうです(図1)。
- 熱でしんどい中、部屋まで荷物を運ばないといけないので、キャリーバッグがよさそうです。
- 体温計やパルスオキシメーターは宿泊施設で準備してもらえることが多いです。
- 入院が必要になることがあるため、保険証は必須です。
- 解熱鎮痛薬を持っている人は持参してもよいと思いますが、宿泊施設にも解熱鎮痛薬は常備されています。ただ、これを内服して解熱していても、症状軽快とはみなされないので注意してください。
- 使い慣れたシャンプーなどの衛生用品を持っていくことが望ましいです。宿泊施設に備え付けのものが置いてあることもありますが、肌に合わなくて10日間つらい思いをすることがあるそうです。
- 共用のコインランドリーなどがあるわけではなく、自室浴室等で、セルフで洗濯する必要があります。
- 衣服をたくさん持って行ってもかさばるため、最低限の部屋着くらいでよいそうです。
- 宿泊施設から出される弁当が合わないこともあるため、栄養補助食品・ゼリー・レトルト食品・カップ麺・菓子パンなどはある程度持っていきたいところです。ジュースやお菓子などもあったほうがよいと思います。宿泊施設にある自動販売機は使えませんが、ペットボトルでお茶は支給されることが多いです。
- 帰りは公共交通機関になるので、現金を持っていく必要があります。
自宅で療養する場合の注意点
まず宿泊施設での療養の場合と同じく、療養期間中の外出は禁止となります。
同居する家族などとも接触を最小限にするために、生活空間を分けるようにしましょう。ただ、家族全員陽性という場合もありますし、小さな子供がいる場合に親と空間を分けるというのは至難の業ですから、実際ケースバイケースです。病床が逼迫してくると、濃厚接触者になった寝たきり高齢者を、感染者が介護するという構図となることもありえます。
非感染者と同居することになった場合、まずは普段よりも換気をしっかりして、アルコール消毒と手洗いの頻度を増やしてもらう必要があります。タオルや歯磨き粉などの衛生用品は共用にならないよう注意が必要で、食器やリネンなども同様です。ドアノブやリモコンなども接触感染の元になるため注意が必要です。図2にまとめたので参考にしてください。
食料品の買い出しも禁止です。一定期間常温保存が可能な食事セットを自治体が届けてくれますが、届くのが遅くて困るケースが増えています。そのため、日ごろからストックの食材をストックしておくことをおすすめします。また、ネットで食材を注文できる体制を整えておくことも重要です。
感染してしまうと解熱剤などを簡単に処方してもらうことができませんので、アセトアミノフェンやロキソプロフェンなどのお薬を最低限常備しておくほうがよいかもしれません。
療養中の病状悪化に備えて注意しておくこと
万一療養中に症状が悪化した場合に備え、最後にその準備について書いておきます。
肺炎が顕在化するのは、発症から7~10日目が多いため、それよりも少し早めの発症後5~7日目あたりに注意してください。
入院が必要になるかどうかの観察ポイントとして、パルスオキシメーターによる酸素飽和度測定があります。保健所から支給されたものであれば大丈夫ですが、自宅でそのまま粗悪品を使っているケースもあるので、信頼性のある製品なのかどうかが重要です。また、酸素飽和度と脈拍の両方が表示されていますので、「SpO2」あるいは「酸素飽和度」と書いてあるほうの数字が93%を下回っていないか確認してください。健康な人でも93~96%になることはありえますので、このあたりの変動はあまり気にしなくてよいです。
■参考記事:新型コロナの療養中に測定する酸素飽和度は、何%あれば安心か?(URL: https://news.yahoo.co.jp/byline/kuraharayu/20210810-00252241)
症状の悪化で重要なのは、呼吸困難です。基礎疾患があるわけでもないのに、トイレにいくだけでフゥフゥと息がしんどくなり、酸素飽和度の低下(特に93%未満)を伴っている場合は、入院になる可能性が高いです。また、食事が摂れないなど、明らかに点滴治療が必要なケースでも入院が必要になります。
自宅療養の場合、こうした病状については保健所と連絡をとっていくことになりますが、感染者数が急増していくさなかでは、なかなか保健所と連絡がつかず救急車を呼んでしまうケースが増えます。
自宅および宿泊施設で療養している感染者の数は、東京都で約3.5万人、大阪府で約1万人と過去最高水準に到達しています。これだけ感染者が広がると、みなさんもいつ感染するか分かりません。気持ちの面でも、備えが必要です。
【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】