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新国王即位でさらに強まるデンマークとの絆 雅子さまとメアリー王妃の友情とは?

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
フレデリック新国王とメアリー王妃(写真:ロイター/アフロ)

欧州で最も古い歴史を誇るデンマーク王室に、1月14日、新国王が誕生した。それがハーバード大学卒のインテリとして名高い、55歳のフレデリック10世だ。雅子さまのハーバード大学の後輩でもある。

オランダのウィレムアレクサンダー国王よりも1歳年下であるが、スペイン国王フェリペ6世とは、同い年となる。働き盛りの50代半ばの国王がずらりと揃い、欧州に新時代到来の予感も感じさせる。

前国王は、1972年に即位して以来、存命している欧州の君主の中で最長となる52年もの間在位し、国民から敬愛されてきたマルグレーテ女王だった。83歳となり在位も半世紀を越え、長男であるフレデリック皇太子への譲位を決断、今回の即位と相成った。デンマークにおいて生前の王位継承は、約900年ぶりだという。

上皇さまが生前退位を決意され、国民にその胸の内を語りかけたように、マルグレーテ女王もまた、退位に先立って理解を求める演説を行ったという。国民にとって女王の退位に寂しさはあったものの、新国王のフレデリック10世も献身的に国民へ尽くしており、今回の即位はおおいに歓迎され期待も高まっているようだ。

◆150年以上の交流を持つ日本とデンマーク

皇室とデンマーク王室は、「大政奉還」があった1867年に修好通商条約を結んで以来、長きにわたる交流を続けてきた。上皇さまは19歳の時、エリザベス女王の戴冠式に出席した折、デンマークを訪問され、ご結婚後も美智子さまとともに1985年と1998年にデンマークを訪れている。

一方、マルグレーテ女王もまた、王女時代に2回、女王となってからも3回、来日しており、皇室とデンマーク王室はかなり親しい関係を築いているようだ。

1997年にはフレデリック皇太子が単独で来日し、東宮御所で天皇皇后両陛下(当時は皇太子ご夫妻)と昼食をともにして親交を深め、以来、幾度も訪日している。

天皇陛下も親密さをより深めるように、2004年にはフレデリック皇太子とメアリー妃の結婚式に出席された。

そして2011年の東日本大震災が発生した時には、震災後間もない同年6月に、フレデリック皇太子が急きょ来日。被災地の宮城県東松島市を訪れ、デンマーク企業の支援で改修された保育所や小学校を視察し、被災した人びとを激励した。

こうした両国の交流は、やがて両陛下とフレデリック国王夫妻との間に、国を越えた友情を育み、気の置けない友人関係へと発展していった。

◆皇后雅子さまとメアリー王妃

フレデリック国王は皇太子だった2017年にメアリー妃とともに訪日し、それに先立つ2013年のオランダ国王の即位式では、招かれた両陛下と和やかに交流したという。

雅子さま(写真:ロイター/アフロ)
雅子さま(写真:ロイター/アフロ)

特に雅子さまとメアリー妃は、2017年に来日した当時の映像を見ると、とても気が合う親友のような雰囲気を感じさせる。雅子さまはメアリー妃にフレンドリーに話され、その表情から打ち解けた関係であることが伝わってくるのだ。

メアリー妃はオーストラリア出身のビジネスエリートであったが、シドニー・オリンピックの時にフレデリック皇太子と出会い、恋に落ちて結婚したというエピソードの持ち主。どこか外務省出身の雅子さまと共通するものがあるのかもしれない。

メアリー妃
メアリー妃写真:ロイター/アフロ

2019年10月、「即位礼正殿の儀」が行われた翌日に、赤坂御所で催された茶会では、雅子さまとメアリー妃が親しいゆえの、こんなハプニングがあった。

メアリー妃は雅子さまにチークキスをした直後、慌てて膝を曲げて挨拶。この膝を曲げる挨拶は「カーテシー」と呼ばれ、目上の方に敬意を払う、ヨーロッパの伝統的な挨拶である。

これまでは同じ皇太子妃の立場だったため、「カーテシー」は必要なかったのだが、雅子さまが皇后になられたことにハッと気づいて、急いで「カーテシー」をしたようだ。

雅子さまは次の瞬間、「気にしなくていいのよ」とおっしゃるかのように、笑顔で立ち上がるように促されていたが、お二人の親しい関係が分かるシーンであった。

エリザベス女王にカーテシーをする女性(写真:REX/アフロ)
エリザベス女王にカーテシーをする女性(写真:REX/アフロ)

この時のことを、駐日デンマーク大使館のX(当時はTwitter)ではこう書かれていた。

「両カップルはこれまで何度もお会いされており、お互いに大変親しいので、むしろ顔を合わせた瞬間に緊張が解けてリラックスされてしまい、お二人が自然にチークキスとなってしまったので、妃殿下がカーテシーを忘れてすみません!という感じになったように見えました」

デンマークに新たな時代の到来を告げた新国王の即位は、国民に活気と希望を運んできたが、一方、日本では能登半島を震源とする大地震が起こり、甚大な被害をもたらした。実は、2017年にフレデリック皇太子とメアリー妃は訪日中、足を延ばして石川県金沢市も訪問している。

東日本大震災の時も、迅速に自ら被災地に赴いたように、今、フレデリック国王は、能登地方の被災者の人びとに深い同情を寄せ、何ができるのかを天皇陛下に密に連絡をしているのかもしれない。

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放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。西武文理大学非常勤講師。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)などがある。

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