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両陛下が召し上がる食材はどこから?自宅でもできる皇室秘伝のレシピ

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
天皇ご一家(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

■天皇皇后両陛下が召し上がる料理とは

 今年はコロナ禍の影響で、天皇皇后両陛下が毎年秋に出席されていた式典などが中止や延期となった。公務は皇居などで行われるものが中心となり、両陛下は三度のお食事を御所内で召し上がることが多くなるだろう。

 両陛下の日常のお食事は、宮内庁大膳課に所属するプロの料理人たちが作っている。いわゆる、「天皇の料理番」と言われる人たちだ。他にも大膳課の人たちは、国賓が来日した際の宮中晩さん会の料理なども作っており、一流の腕前を持っている。

 こうした料理に用いられる食材は、宮内庁直轄の農場、栃木県の御料牧場で作られている。ニンジンやタマネギ、キャベツなどの野菜だけでなく、羊、豚、牛などもここで丹精込めて育てられ、収穫されると新鮮なうちに宮内庁まで専用の車で運ばれる。

 それらの食材を用いて大膳課の料理人たちが腕を振るい、絶品の料理に仕上げるというわけだ。

■大膳課の料理人から教わった、皇室のレシピを公開

 普段、両陛下を始め天皇ご一家の方々はどのような料理を召し上がっているのかというと、意外と思うかもしれないが、私たちと変わりない家庭料理だ。

 そこで身近な食材で作れる、皇室のレシピをご紹介したいと思う。元宮内庁大膳課の料理人から教わった、昭和天皇がお好きだったという「バナナのベーコン巻き」だ。

 用意するのは、バナナとベーコン。調理の手順は以下の通り。

1、バナナを半分に切って、皮をむいて片栗粉を振る。

2、ベーコンにそのバナナを乗せて、しっかりと巻く。

3、フライパンにサラダ油を入れて温まったら、じっくりソテーする。

 元大膳課の方から「コツは、フライパンを回して、念入りにソテーすること。そのほうがバナナがとろっとして美味しくなる」と教えてもらった。

 さらに、出来上がった料理をお皿に盛り付けた時に、クッキングペーパーで丁寧に油を取るのがポイントだ。このひと手間で脂っこさが抑えられ、料理が美味しくなるのだ。

 昭和天皇はお肉料理の付け合わせとして、好んでこの一品を召し上がったという。

■バナナのベーコン巻き 食材はどこから?

 ここまで読んだ人は、一つ疑問が生じるかもしれない。天皇家の方々が召し上がる食材は御料牧場で栽培されているが、バナナもそこで育てているのかということだ。

 御料牧場で育てている以外の野菜や果物は、外の業者から買っている。バナナは御料牧場では育てていないので、八百屋さんなどから納入しているのだろう。

 また、御料牧場には田んぼはない。そのため、お米も外の業者から購入しているとか。魚ももちろん同様だ。

 味の決め手となるベーコンは、御料牧場で飼育された豚から本格的な製法で作られたものだが、市販のものを用いても近い味になるのではないかと思う。

 この「バナナのベーコン巻き」の話をすると、最初は誰もが本当に美味しいのだろうかと首をかしげるのだが、実際に作って食べてみると好評価が返って来る。わが家でも時々作るのだが、なかなか評判がいい。

 そして、もう一品。

■カレーライスの意外な薬味

 皇室の方々が召し上がる料理について調べていたところ、昭和天皇がお好きだった、カレーライスの意外な薬味を見つけた。

 元宮内庁大膳課に勤めていた板垣信久さんと伝統文化研究家の小西千鶴さんが書いた「昭和天皇のお食事」(旭屋出版)には、のしイカをオーブンで焼き、パリパリになったところをすり鉢ですって粉状態にしたものを、カレーライスにかけると紹介されている。

 すり鉢でするのは大変な作業なので、ミルミキサーを使えば簡単にできる。こののしイカの粉末には、魚介の旨味が濃縮されて深い味わいがある。

 いつものカレーライスにひと手間加えれば、ちょっぴりインペリアル気分になってグレードアップした味わいを堪能できることだろう。今年は自宅で料理を作る人が増えているので、食欲の秋に、皇室のレシピを試してみては、いかがだろうか。

放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。西武文理大学非常勤講師。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)などがある。

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