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【京都市】北区 大徳寺塔頭『孤篷庵』小堀遠州の茶室「忘筌席」が7年ぶり一般公開♪

高津商会RICALIFE&文化芸術☆プロデューサー/ジャーナリスト(京都市)

『大徳寺』といえば、織田信長や豊臣秀吉など戦国大名ゆかりの地であり、戦国武将に使えた茶人千利休ゆかりの寺でもあります。お茶を愛して止まなかった戦国武将たちの菩提寺が多く、また狩野派の作品などが多く残ることで知られています。

(以前にも掲載した記事に「大徳寺」さんと千利休に関しての記事があります→ https://creators.yahoo.co.jp/kozushokairica/0100203136

今回は、その大徳寺の塔頭で、7年ぶりに一般公開されている『孤篷庵(こほうあん)』さんを訪問しました。

特別公開の期間は、2022年5月24日~6月12日。

時間ごとに組まれた小さなツアーで中に入り、まずは荷物を預けます。初日から多くの人が訪れているとおっしゃってました。

『孤篷庵』は、大名茶の完成者、そして作庭家で建築にも造詣があった『小堀遠州』が江月宗玩を開祖として庵を建立したと言われています。

小堀遠州の最晩年に作られた『孤篷庵』は、1793年(寛政5)に一度、焼失してしまいます。その後、大名茶人で松江藩主の松平治郷(不昧)が、小堀遠州の残した古図に基づき再建し、遠州好みを再現したと説明を受けました。

遠州が自ら設計した重要文化財である茶室『忘筌席(ぼうせんせき)』には、直筆の書が掲げられ、「目的を達すれば道具の存在を忘れる(兎を捕えてワナを忘る)」という禅の教えの意味だそう。また外からの日の光が反射して波打つように天井に映ることを計算された「砂摺り天井」や、「舟入の構成」と言われる席入りの口など見所がいっぱいです。

露結(ろけつ)」と刻まれた蹲(つくばい)もあり、こちらは「露結耳」(うさぎの耳)の略。蹲から水が吹き出るのが、うさぎの耳から滴る汗のようだという意味からだと説明を受けました。

その後ろには「寄せ燈篭」があり、上から中国、韓国、インドからの石造物の残欠を集めつくられたそうです。なかなか、不思議な魅力を感じます。

近江長浜出身の小堀遠州は、琵琶湖や近江への強い思いをもとに作庭。「近江八景の庭」には、琵琶湖を模した枯山水に、瀬田の唐橋を模した平石、浮世堂を模した灯籠などが配置されてます。

重要文化財である『直入軒』(じきにゅうけん)は、書院座敷のこと。ここでは、狩野探幽筆の障壁画や「破墨八景図」の軸も特別展示されています。

近くにある「船岡山」を借景した、名勝庭園ですが、今では周囲の木々が大きく育ち、その姿は見えなくなってしまってます。ですが、その気配を感じることで庭自体が波打ち、船に乗っているような気分になります。

茶道を学び庭師としての一面もある私としては、小堀遠州の一大芸術家としての作品をここに見た、という気持ちにさせてもらいました。

この貴重な機会にぜひ「綺麗さび」の原点といわれる『大徳寺塔頭・孤篷庵』で茶と庭の世界をご堪能ください♪

大徳寺 孤篷庵

京都府京都市北区紫野大徳寺町66

URL:https://kyotoshunju.com/temple/koho-an/

拝観時間:9:30〜16:00(受付終了)

拝観料:大人1,000円・中高生500円・小学生以下入場不可

LIFE&文化芸術☆プロデューサー/ジャーナリスト(京都市)

京都で生まれ育つ。世界各地を周遊、欧米中心に20年ほど滞在し京都に帰還。日本のコアな伝統文化や芸能、神社仏閣や裏歴史、催事らを国内外の旅サイト・雑誌・新聞で執筆。経験に基づく“陰謀説”の電子書籍出版あり。フォトジャーナリスト、写真映像家、音楽・イベントプロデューサー、特殊ツアープロデュース・ガイドから日本庭園庭師までマルチに活躍。日本映画の発祥時より美術に携わってきた”ジャパニーズハリウッド”京都太秦にある老舗『髙津商会』にて映画・美術装飾・アート&エンタメ、海外事業に携わりつつ伝統文化・芸能などに関わる史実や古美術らについて勉強中。『京愛』や『日本愛』を深め世界進出を夢見る毎日。

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