元米軍海兵隊員「トランプ言いなりダメ」来日講演、戦争を知らない政治家による改憲を懸念
米国の元軍人による平和団体「ベテランズ・フォー・ピース(VFP)」のメンバーが来日、24日、都内で記者会見を行った。元海兵隊員で、イラク帰還兵のマイク・ヘインズさんは、本日25日から、12月上旬まで日本に滞在。各地で北朝鮮情勢の平和的解決や憲法9条を護ることの大切さ、沖縄の基地負担軽減を訴えるという。
〇「安倍首相はトランプの言いなり」「戦争知らない政治家が戦争を煽る」
ヘインズさんは、1994年に10月に入隊、翌1995年から1996年にかけ、沖縄の米軍基地に駐留した。一旦退役したのち、2000年に再入隊してイラクに海兵隊の特殊偵察部隊員として2003年に派遣される。だが、イラクでの経験から戦争や米国の外交軍事政策に疑問を持つようになり、除隊。VFPのメンバーになったという。来日は3回目で、過去に来日した際に元自衛官や沖縄の市民と交流した。今回の目的として、ヘインズさんは、「北朝鮮と米国の核戦争を防ぎたい。日本は重要なポジションにある。事態の平和的解決にむけて、働きかけてほしい」と語った。
米国ではドナルド・トランプ大統領が、北朝鮮との挑発合戦を繰り広げている一方、軍関係者には、実際に戦争になれば、韓国や日本の市民、米軍関係者にも甚大な被害が出ることが予想されることから、北朝鮮攻撃に否定的な声が多い。だが、日本では安倍晋三首相は「対話の時期ではない」とひたすら強硬な姿勢を取るよう、トランプ大統領を煽っている。こうした状況について、ヘインズさんは「とにもかくにも、安倍首相はトランプの言いなりですね」と指摘。「一般的に政治家達は、戦争を経験しておらず、自身でその恐ろしさを味わったことがありません。そのため、戦争を恐れませんが、その結果として犠牲になるのは、常に市民です」と、自分たちは安全な立場から、戦争を煽る政治家達を批判した。また、「政治家達は、軍需産業との関係が深いことが多く、その利益のために戦争をすることもあります。ディック・チェイニー副大統領が正にそうでした。彼がCEOもしていたこともあるなど関係の深い企業がイラク戦争で大儲けしたのです。政治家と軍需産業との癒着を市民は許してはいけません」と語った。今月初め来日の際にもトランプ大統領は「私の訪日は、偉大な米国に大きな利益をもたらすだろう。とんでもない額の武器やエネルギー関係の受注を得られた!」とツイッターに書き込んでいる。
〇自衛官たちが声をあげられるようになれば
ヘインズさんは、安倍政権が改憲を目指していることについても、「自衛隊が日本を守るというだけではなく、国外に派遣され、戦争を行うようなことにならないか、とても心配しています」と懸念する。「私は、大勢の兵士の思いを背負って来日しました。イラク戦争では、あまりにたくさんの仲間が亡くなりました。戦闘で死んだだけではなく、自分たちのしてしまったことの罪悪感に堪え切れなくて自ら命を絶つ、そんなことが今も続いているのです。私自身、戦争で受けたトラウマや葛藤を乗り越えるのに、10年もかかりました。イラクで『テロリストを拘束するため』として、私たちは一般家庭に押し入り、戦闘可能な年齢の男性たちを次々と拘束し、捕虜収容所に送りました。彼らのうち、無事に戻った者はほとんどいないでしょう。私たちの部隊はとても乱暴でした。ある家で年配の女性を我々が壁に押し付けて尋問していた際、6歳くらいの女の子が、泣き叫びました。あの女の子の叫び声は、今でも夢にみます。今回、私は各地で講演しますが、これから国外の戦争に派遣されるかもしれないことの理不尽さを感じながらも声をあげられないでいる、自衛官の皆さんに立ち上がる勇気を与えられたら、と願っています」(ヘインズさん)。
〇全国10か所で講演、沖縄の基地反対運動にも参加
ヘインズさんは、今日の午後13時半から、早稲田大学で元日本兵の谷口末廣さん、元自衛官の井筒高雄さん、形川健一さんと共に講演。明日以降も神奈川県、愛知県、兵庫県、大阪府、京都府、徳島県、愛媛県、広島県、長崎県をまわり、沖縄県での基地反対運動に参加するという。また関西以降の講演ツアーでは、VFPメンバーでアフガニスタン帰還兵のローリー・ファニングさんも参加する。詳しい日程は、ベテランズ・フォー・ピース・ジャパン(VFPジャパン)、不戦兵士・市民の会のフェイスブックページで告知される。VFPジャパン事務局の武井由起子弁護士は「貴重な機会ですので、是非、多くの人々にヘインズさん達の講演会にご参加いただければと願っていますし、メディアの方々にも是非報道していただければ、幸いです」と呼びかけた。
ベテランズ・フォー・ピース・ジャパン、不戦兵士・市民の会
https://www.facebook.com/VFP2016/
(了)