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厳しいスタートを切ったNBA 第1回PCR検査で48選手に陽性反応

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
レブロン・ジェームズ選手も今後のNBAのシーズン運営に関心を寄せている(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【第1回調査で48選手に陽性反応】

 NBAは現地時間の12月2日、2020-21シーズンに備えて全選手を対象に実施した、第1回PCR検査の結果を発表し、48選手の陽性反応者が確認されたことを明らかにした。

 今回の調査は12月1日から開始予定だったトレーニングキャンプ前の11月24~30日に、全546選手を検査したもの。陽性率は8.8%だった。

 ESPNなどが報じたところによれば、この値は全国平均(10.2%)を下回っているようだが、6月にフロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールドでシーズン再開する際に実施した事前調査の5.3%(302選手中16人)を上回る結果になった。

 12月22日のシーズン開幕を控え、厳しい船出を強いられることになった。

【ウォリアーズはトレーニング開始を延期】

 今回の検査結果に関しては、選手名や所属チームは明らかにされていないが、複数メディアによると、ウォリアーズとウィザースは、3選手の陽性反応者が確認されたことを明らかにしているようだ。またウォリアーズは検査結果を受け、個別練習実施を遅らせることも併せて発表している。

 陽性反応が確認された48選手は、CDC(米国疾病予防管理センター)のガイドラインに基づきNBAと選手会によって作成されたプロトコルに従い、隔離措置がとられることになる。

 隔離措置中は10日間練習が禁じられ、その後陰性が確認されれば、2日間の個別練習で心肺機能などを確認した後、全体練習に参加できるようになる。その分だけシーズン開幕への準備が遅れることになる。

 このプロトコルに従えば、今回の48選手の中には、12月11日から始まるプレシーズン試合に間に合わないケースも多数起こることになりそうだ。

【レブロン・ジェームズ選手も危惧】

 6月にシーズン再開した際は中立地による1箇所開催だったため、リーグの管理下で、選手やチーム関係者を一般社会から完全に隔離することができた。しかし今回は各チームがそれぞれの地でトレーニングキャンプを実施し、シーズン開幕の準備を進めることになる。

 NBAは今後も継続的に選手に対しPCR検査を実施していく予定だが、現在シーズン中のNFLや大学フットボールでは、連日のようにチーム内で陽性反応者が確認され、試合の延期や中止を余儀なくされている状況で、NBAもシーズン運営がかなり困難になることが予想される。

 しかもフットボールと違いバスケットの場合は所属選手が少ないため、陽性反応者が出た時のダメージは、より大きいものになってくる。

 同じく12月2日に、レイカーズから2年8500万ドル(約89.3億円)の契約延長が発表されたレブロン・ジェームズ選手は米メディアに対し、NBAのシーズン運営に関心を寄せる発言をしている。

 「プロトコルがどのように機能するのか、すごく注視している。これからもいろいろ協議していくことになるだろう。

 リーグとしては我々がシーズンを戦うことができるのかを確認したいのだろうが、これまでとはかなり違ったシーズンになることは確かだ」

 果たしてNBAは、どんな状態で12月22日を迎えることになるのだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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