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日銀は金融政策の現状維持を決定、次回利上げはいつなのか #専門家のまとめ

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 日銀は20日に開催された金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を全員一致で決定した。植田総裁は会見で「経済・物価の見通しが実現していくならば、引き続き、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と述べ、利上げを継続する姿勢を示した。金融市場の現状については、「引き続き、不安定な状況にあると認識している」と説明した。ただ「時間的な余裕はある」との発言もあった。

ココがポイント

市場では早期の利上げの可能性は低くなったのではないかという見方が出ています。
出典:NHK 2024/9/21(土)

金融市場の現状については、「引き続き、不安定な状況にあると認識している」と説明
出典:読売新聞 2024/9/20(金)

植田総裁は日銀の経済・物価見通しに大きな変化はないとしたものの、米経済を中心とした先行きリスクの拡大を指摘した形だ。
出典:ブルームバーグ 2024/9/20(金)

「すぐに利上げだとはならない」などと述べ、アメリカ経済の動向などを慎重に見極めていく姿勢を強調しました。
出典:NHK 2024/9/20(金)

エキスパートの補足・見解

 植田総裁は利上げを継続する姿勢を示しており、日銀の今回の決定内容のまとめでも「見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整」することを示していた。ではどうして今回は利上げを見送ったのか。

 これは植田総裁の「時間的な余裕はある」との発言にも現れている。

 植田総裁はスケジュール感を持って利上げをするわけではないとしているものの、過去の利上げを行った際の動向に加え、自民党総裁選などの政治日程などもみながら、慎重に利上げを進めようとしている。

 来年にかけて1%あたりまでの政策金利の引き上げを想定しているとみられ、年内はあと一回の利上げに止める可能性が高いとみている。そうであれば急ぐ必要もなく、米大統領選挙の結果も確認後の12月の金融政策決定会合での追加利上げという予想ができるのではなかろうか。

 早期の利上げはなくなったというよりも、今回は利上げそのものを想定していなかった。市場が不安定だから利上げしなかったわけでもなく、先行きリスクについても警戒しているから利上げを見送ったわけではないと思われる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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