2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

2022年10月にはロシア軍はミサイルとイラン政府が提供した標的に向かって突っ込んで行き爆発する、いわゆる神風ドローンの「シャハド136（Shahed136）」、「シャハド131（Shahed131）」で首都キーウを攻撃して、国際人道法（武力紛争法）の軍事目標主義を無視して軍事施設ではない民間の建物に攻撃を行っている。一般市民の犠牲者も出ていた。年が明けてからもロシア軍はイラン製軍事ドローンでウクライナの軍事施設や民間インフラに奇襲を行っている。

ロシア軍は昼夜を問わずにイラン製軍事ドローンでウクライナ領土を攻撃しているが深夜や早朝の攻撃が多い。昼間は明るくドローンの探知もしやすいので迎撃もしやすい。だが夜や悪天候時には視界不良で探知しても迎撃することが難しい。

そして夜は民間人（非戦闘員）も就寝しているので、攻撃側は夜に奇襲をしかけることによって物理的、精神的な打撃を与えやすい。防衛している兵士も24時間交代で行っているが、昼間の方が目も脳も体もよく動いている。たとえ昼間に寝ていても、夜に防衛している方が目や脳の動きも昼間よりも衰えている。そのため攻撃する側は昼間よりも夜や明け方に攻撃を行っている。そのためロシア軍によるミサイルや攻撃ドローンでの奇襲の多くは夜か明け方が多い。

視界不良な夜間のロシア軍のドローン攻撃に備えてウクライナ軍は「移動式ドローン迎撃車」にサーチライトを搭載したり、別の兵士がポータブルサーチライトを持ったりして、夜の空を照らして迎撃している。実際にウクライナ軍では深夜や早朝のイラン製軍事ドローンを迎撃して破壊している。

このような夜間に大量のイラン製軍事ドローンでの奇襲を迎撃するためには日ごろからの訓練が重要である。ウクライナ軍では深夜にイラン製軍事ドローンが迎撃してきたことを想定した訓練の様子の動画を公開していた。訓練なので、地上にいる兵士の様子にもゆとりがあるのが窺える。

この訓練をアピールしている動画にもあるように、ウクライナ軍では「移動式ドローン迎撃車」を作っている。警報（サイレン）が鳴ったらその場所にすぐに「移動式ドローン迎撃車」を飛ばして行き、ロシア軍の攻撃ドローンを迎撃して破壊している。訓練なので「移動式ドローン迎撃車」が広い草原のような場所で横一列に並んでいるが、実際にはこのように「移動式ドローン迎撃車」が横一列に並んで迎撃することはほとんどない。1台ずつでサイレンが鳴った場所に向かって迎撃している。

▼ウクライナ軍による深夜の神風ドローン奇襲の迎撃訓練