92%の人々が感じる社会貢献意識とその問題点とは
本日、各種ニュースメディアにて8月24日発表の内閣府の「NPO法人に関する世論調査」についての報道がありました。
僕も普段からNPO法人に関わることが多いので、データを見ながら少し解説をさせていただきます。
社会的課題に対して市民による自主的な取り組みを9割が「大切」と思っている。東日本大震災以降、この手の数字は8、9割はいきますよね。これは素晴らしいことだと思います。
そして、その市民活動の担い手、もしくは社会課題解決のプロフェッショナルとして存在するNPOを多くの人は知っていると。
この2つの数字だけ見れば、そしたら市民自ら活動することが大切と思う92%の多くの人は「NPOの活動に賛同し参画するぜっ!」ってなると思うのが妥当。しかーし、です。
「市民活動は大切だし、やったほうがいいと思うし、NPOの意義なんかも少なからずわかっている……。でも、自分はやりたくないでーす」って、おいおい。Youのアツい“大切な想い”はそんなものなのか?結局他人任せなのか?理由を聞こうじゃないか。
自分は忙しいし、きっかけもないし、時々関心がないから…といった反応でしょうか。確かに現代人は忙しい。デジタル・デバイスに囲まれて、情報が溢れる世界にいて、可処分時間が限りなく少なくなっているからね。
ジブンごとと社会課題
では、自分が将来、到底解決できない社会全体の課題がジブンごとになったとき、それでも、「忙しい」を理由にできるのだろうか。
例えば、今日帰宅時に交通事故を起こし、障害を背負ってしまったとしましょう。障害を持つと日常生活の中で、なぜ社会はこれほど不便なのだろう、と感じることが多々出てくる。
そんな時に、障害をもった人でも暮らしやすい社会を実現するために動いているNPOにもっとがんばって何とかしてよ! と言いたくなると思う。僕だったら絶対そう思う。
ジブンごととなって、初めて社会の矛盾や整備の悪さなどに気付くのだが、障害を背負うまで忙しいからといって、NPOを応援することはほぼなかった。そんな人ばかりの世の中なので、「障害をもった人でも暮らしやすい社会を実現」がなかなか進まなくても文句は言えないと思うんですよ。
上記の障害を背負う話はあくまでも例ですが、結局、社会貢献って誰のためにするかといったら、将来の自分が困らないためにするんですよ。ぜひそういった考え方もある、というのは読者のあなたには理解をしていただきたいです。
日本人の社会意識
今回の調査は、全般的に「社会貢献には賛成。でも、自分は社会貢献活動はしません」的なものになりました。これは、今回だけのデータなのか。それとも、以前からこの傾向があったのか。過去の調査、別の視点から見たデータを見てみましょう。
エシカル消費(社会貢献消費)の話ですが、これらの消費活動の意識レベルは相当上がっているようです。
先の調査にもある通り、国民の意識レベルはかなり高いまま維持、もしくは向上しているようですね。
このあたりも高い位置での一定層の意識が社会貢献的であることがうかがえます。
つまり僕が何を言いたいかというと、社会貢献意識は東日本大震災以降、多くの人が持っている、ということです。これは、今回の内閣府の「NPO法人に関する世論調査」だけじゃないってことです。
もちろん、これは企業活動にも影響していて、コーズ・マーケティングと呼ばれる寄付付き商品の販売やCSR(企業の社会的責任)理念の普及などが挙げられます。
社会貢献絡みのマーケティングについてもっと知りたい人は、コーズマーケティングの限界を超えられるか? ボルヴィック「1L for 10L」をご参照下さい。
「社会貢献意識は東日本大震災以降、多くの人が持っている」ということは今回の調査で改めてわかりました。このデータを見て、あなたは明日からどんな行動を取りますか?