高すぎる? 無印「iPad」6万8800円から
10月18日、アップルが第10世代となる「iPad」の新モデルを発表しました。最も廉価なシリーズにもかかわらず、米国での値上げと円安の影響により税込価格は6万8800円から。SNSでは「高すぎる」との声が上がっています。
第10世代iPad 米国でも値上げに
最も廉価なシリーズである無印のiPadは家庭や教育現場で活用されており、世界で最も売れているタブレットの1つといえます。
その第10世代モデルでは、ついにiPad Proのような全画面デザインを採用。本体前面に置かれていたホームボタンは廃止されました。
画面サイズはiPad Airと同じ10.9型、指紋認証のTouch IDは電源ボタンに統合され、LightningポートはUSB-Cに変更されるなど、iPad Airの廉価版のような印象を受けます。
ただ、驚いたのはペン入力用のApple Pencilが「第1世代」対応となっている点です。この第1世代ペンシルは、ペアリングと充電にLightning端子を用いています。
そこでアップルは、新たに「USB-C - Apple Pencilアダプタ」を開発。これから第1世代ペンシルを買うと付属品としてついてくるほか、アダプタ単品でも売られています。
さすがにこの展開は予想していませんでしたが、よく考えてみると、さまざまな要求を満たすアイデアという印象も受けます。
というのも、第10世代iPadのスペックはiPad Airに近づいており、プロセッサー以外の差別化ポイントがほとんどありません。
そこでキーボードとペンシルについて、iPad AirはiPad Proシリーズと共通化しているのに対し、iPadは専用品にするという差別化が図られています。
また、ユーザーにもメリットがあります。第1世代のペンシルはiPadユーザーに普及しています。もし第2世代のペンシルに買い替えるとなれば、約2万円の負担が生じることになるわけです。
追加のアダプタが必要になるというのはいかにも面倒で美しくありませんが、そこは実利を優先した感じが伝わってきます。
とはいえ、最も物議を醸しそうなのは税込で6万8800円からという価格でしょう。第9世代iPadの4万9800円から実に4割近く値上がりしています。
値上げの内訳は、米国での価格が329ドルから449ドルに上がっています。また、税抜価格で比べた為替レートも1ドル=約137円から約141円に円安が進んでいます。
このように「製品としての値上げ」と「円安」のダブルパンチに見舞われたことが、第10世代iPadの値上げの理由といえそうです。
旧モデルの価格は据え置きに
第10世代iPadの登場後も、これまでの第9世代iPadは販売を継続するようです。
第9世代のプロセッサーはA13 Bionic(iPhone 11などが搭載)で、第10世代iPadのA14 Bionic(iPhone 12などが搭載)より1世代古いものですが、基本的なiPad体験においてはまだまだ活躍できそうです。
注目すべきは、この第9世代iPadの価格が税込4万9800円からと、据え置かれている点です。
これとは対照的に、新型iPadの発表の裏でiPad AirやiPad miniは値上げされています。これは今年7月の値上げに続く、再値上げとなります。
アップルは何らかの理由で、5万円以下で買えるiPadを残しておきたかったことがうかがえます。これは粋な計らいといえるのではないでしょうか。