政治と文化は“別腹”か。『君の名は。』だけじゃない韓国の日本コンテンツ人気
「300万人を突破すれば、必ず再訪韓します」
映画『君の名は。』の新海誠監督が韓国で発表した“公約”がどうやら守られそうだ。韓国メディア『スポーツ東亜』によると、「新海誠監督が2月8日に再訪韓して記者会見を行う」という。
『君の名は。』は現在、韓国で累計観客動員数340万人を突破。これは、歴代日本映画興行ランキング1位、歴代海外アニメーション映画ランキング7位の快挙だ。
(参考記事:パロディーに“迷惑行為”まで…『君の名は。』が韓国で人気のワケは?)
『君の名は。』の効果なのだろうか。少女像問題などで日韓関係は冷え込んでいるものの、日本の文化コンテンツに対する韓国人の関心はかつてないほど高まっている。
それを物語るように、過去の映画作品が次々と公開される予定だ。
2月8日には是枝裕和監督の『誰も知らない』が再公開。続く16日には西川美和監督・本木雅弘主演の『永い言い訳』、28日には新海監督の過去作『雲のむこう、約束の場所』が公開を控えている。
他にも東出昌大主演の『クローズEXPLODE』や、YUI・塚本高史主演の『タイヨウのうた』(再公開)も2~3月中に公開を予定している。また、3月には庵野秀明が脚本・総監督を務めた『シン・ゴジラ』がついに韓国に上陸するそうだ。
それだけではない。日本映画のリメイク版も好調な興行を見せている。昨年10月に韓国で公開された『ラッキー』は、堺雅人・香川照之・広末涼子主演の『鍵泥棒のメソッド』のリメイク作。韓国では観客動員数690万人突破という大ヒットを記録した。
昨年“恋ダンス”で一世を風靡し、韓国の一部マニアたちの間でも話題になった『逃げるは恥だが役に立つ』韓国リメイクの情報はまだない。
ただ、橋本愛主演の『リトル・フォレスト』や、堺雅人主演の『ゴールデンスランバー』といった日本映画はリメイクを制作中だという。佐藤健・大原櫻子主演の『カノジョは嘘を愛しすぎてる』は、テレビドラマとして制作される予定でもある。
韓国ではこれまでもさまざまな日本のドラマや映画がリメイクされており、その流れがさらに加速しそうだ。
(参考記事:韓国でリメイクされた日本のドラマを一挙紹介。最近はあのドラマまで!?)
映画やドラマだけではない。
日本からは半年遅れのリリースとなった『ポケモンGO』は、リリース日(1月24日)だけで283万人がダウンロードする抜群のスタートを切ると、社会現象的なブームになっている。
現在にいたって『ポケモンGO』は700万ダウンロードを突破。“国民的ゲーム”となり、韓国のトレーナーたちを楽しませている。
(参考記事:半年遅れの『ポケモンGO』でも日本コンテンツに熱狂せざるを得ない韓国の事情)
日本コンテンツがここまで愛されるようになった理由について、文化評論家のチョン・ドクヒョン氏はこう分析している。
「以前は日本のコンテンツを消費することに対し、批判的な意見を示したり、オタクの占有物だと認識したりする傾向が強かったが、今は作品の中に軍国主義的な要素さえ無なければ、心を開いて受け入れる消費文化が定着しつつあります」
つまるところ、「政治・歴史と文化は別物」と考える人が以前より増えているという話だろう。自国コンテンツを見限る“オドック”たちが増えていることを以前指摘したことがあるが、今では一部のオタクだけではなく、幅広い韓国人が日本コンテンツを楽しんでいるというわけだ。
『君の名は。』の大ヒットでもはや疑うことができなくなった、韓国人の日本コンテンツに対する熱い思い。そこに矛盾はないようだ。