Yahoo!ニュース

『最高の教師』の隣クラスの『最高の生徒』で初主演の畑芽育。余命1年を生き抜く役で自身の行動も変化

斉藤貴志芸能ライター/編集者
日本テレビ提供

『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』で松岡茉優が担任するクラスの隣の組が舞台の『最高の生徒~余命1年のラストダンス~』。余命1年と告げられ、残された時間を最高のものにしようと奮闘する主人公を、畑芽育が演じている。映画『なのに、千輝くんが甘すぎる。』でヒロインを務め、連続ドラマに初主演。青春の煌めきが溢れているが、命の期限が徐々に迫る中、どう演じていくのか。

一番でいたい気持ちは持っていました

――主役をやりたい気持ちは強かったですか?

 いつかは、と思っていました。高みを目指していくからこそ、戦場みたいなこの世界で生き抜けると思うんです。私も小さい頃からやってきて、負けず嫌いなところもありますし、「一番でいたい」みたいな気持ちを根底には持っていました。

――子役からのキャリアがある中で、21歳での初主演は長くかかった感覚ですか?

 いえ、“やっと”ということはなくて、こんなに突然いただけるんだなと思いました。題材的にもプレッシャーはありますけど、任せていただけるなら、自分の精いっぱいを出し切る覚悟は持ち続けてきました。

――満を持して、という感じですね。

 『なのに、千輝くんが甘すぎる。』でヒロインを経験させてもらったり、ドラマにレギュラーで出演させていただいて、そういう立ち位置での振る舞いは考えてきました。今回は単独初主演で、地上波で毎週放送されるので、喜びと同時に責任の大きさを実感しています。

役者として生きていく覚悟ができて

――今出たように、昨年から映画のヒロインが続き、今年4月には写真集も発売。世の中で畑芽育さんへの注目が高まっています。

 街で声を掛けられたり、視線を感じることは多くなりました。私は特に変装したりせず、オーラゼロで普通に歩いてますけど(笑)。環境が変わって、役者を生業としていくんだと、最近改めて覚悟ができました。

――努力が実ってきた状況でもありますか?

 どうでしょう。私はタイミングが大きいと思っています。こうなるためにやってきたというより、「やりたい!」という欲求で動いていたのを、たまたま良いと思ってくれた方がいらっしゃったのかな……なんて。でも、「小さい頃から頑張っていたから見つけられた」と言っていただくこともあって。もうやめようと思ったことも諦めかけたこともありましたけど、続けてきて良かったとホッとしました。

――今回のポジティブ・モンスターと呼ばれる伴ひかり役も指名が掛かったそうですが、これまではわりと陰のある役が多かったですよね。

 最初にポジティブ・モンスターの役と聞いて、「私はネガティブ・モンスターですよ」と言ったら(笑)、プロデューサーさんたちはビックリされていました。私自身は明るく見られがちで、最近は『千輝くん』や去年の『純愛ディソナンス』とかハツラツとした役もあったので、自分の印象が変わりつつあるのを感じています。

――取材では昔から、芽育さんの笑顔はマンガなら“キラリン”と文字が付く感じでした(笑)。

 たぶん私はお仕事が大好きで、現場ではすごくテンションが上がるんです!

底抜けに明るい役に自分が助けられていて

――でも、普段はネガティブ・モンスターなんですか?

 心を開いた人にはたくさんしゃべりますし、楽しいことも大好きですけど、基本的に心配性なんです。今回も、対人関係が得意なほうではないので、学園もので7人で打ち解けられるのか、正直不安もありました。でも、撮影に入ったら、あっという間に1ヵ月が経って、「流れに任せておけば大丈夫かも」という自信が生まれました。

――ひかりを演じるにも、無理にテンションを上げる必要はなくて?

 朝早かったり連日の撮影だったりして、低めのテンションからスタートする日もあります。でも、底抜けに明るいひかりだから発せる台詞もあって、私自身が役に助けられることが多いです。周りのみんなも元気で、現役高校生の雰囲気で撮影しているので、活力をもらえています。

――たとえば、音楽を聴いて勢いを付けたりもします?

 最近はRIP SLYMEさんを聴くのがルーティンになりました。夏の音楽という感じのヒップホップで、気分をアゲてくれて。あと、ディズニーの音楽を聴いてキラキラしたり、音楽で元気を付けて撮影に挑んだりもしています。

――そうこうしてスイッチが入ると。

 スイッチは自然に入ります。役柄によって毎日でも性格が変わるので、陰のある役のときはどんよりしているかもしれません(笑)。かと言って、引きずることはなくて、家に帰ったらオン・オフは切り替えています。

10代から長生きできるように考えてきました(笑)

――撮影前に不安があったときは、夜に眠れなかったりもしました?

 お腹が痛くなりました。気持ちの問題だったかもしれませんけど……。

――余命1年の役ですが、21歳だと、普段は死について考えることはないですよね?

 私は考えるほうだと思います。心配性だから健康面も不安になるんです。10代の頃から、健康診断を欠かさず受けていました。ヘルスケアのサプリも大好きです。

――若い方には珍しいかもしれませんが、健康に無頓着よりいいですよね。

 今はひかりに引っ張られている部分があって、生きている間は最後まで、楽しい時間を味わっていたい想いがあります。私は食べることが大好きなので、死ぬギリギリ直前までサーロインステーキをおいしく食べるくらい元気でいたい、なんて考えたりもしています(笑)。

自分のやりたいリストには「ブラッド・ピットに会う」と

――余命1年を宣告されたら、ひかりみたいに残された時間を過ごしますか?

 あんなにハツラツとは生きられない気がします。私だったら、この世に未練だらけで、生きられる人たちが羨ましくて仕方ないでしょうし……。ひかりはすごく強いと思います。でも、私も残された時間でやりたいことをリストアップしてみたら、すごくワクワクしてスラスラ出てきました。

――そのリストに「北海道に1ヵ月住みたい」とあります。

 行ったことはなくて憧れです。北海道はゴキブリも花粉もないらしくて、最高じゃないですか(笑)。おいしい海鮮も食べ放題。スキーもしてみたい。私は暑いのは苦手ですけど寒いのは好きなので、一面の雪景色を見たらメンタルも回復しそう。

――「ハリウッドスターに会いたい」というのもあります。誰に会いたいんですか?

 ブラッド・ピットさんです! 大好き! 『オーシャンズ11』から入って、『ベンジャミン・バトン』とか『ジョー・ブラックをよろしく』とか、たくさん観ています。

――どんなところが良いと?

 色気がすごいですよね(笑)。骨々しい骨格も好きです。お顔の主張も強くて、ブラッド・ピットさんにしか出せない余裕もあって。いつかお会いしたいです! 本当に会えたら、私はどうなるのか(笑)。

――劇中でひかりがやっていて、芽育さんは経験済みだったことも?

 バッティングセンターはリアルで行ったことがあります。友だちとごはんを食べたあとで、何か動きたくなって。疲れ切っていましたけど、そのほうが当たるみたい。ボールに対する恐怖心がなくて、ノールックで打てて楽しかったです(笑)。

1人で意外と何でもできちゃいます

――他に追加で、やりたいリストに入れたいこともありますか?

 ここ最近だと、花火大会に行きたいなと思っています。撮影で手持ち花火はできたので、大きい花火を見たくて。人混みがすごいので、穴場を探してみます!

――普段、やりたくても恥ずかしくてできないことはないですか?

 私、意外と何でもできちゃうんです(笑)。1人でカラオケも行きますし、この前はサムギョプサルを1人で食べに行きました。ああいうお店は2人前からですけど、1人で2人分を残さず平らげて、友だちに話したらドン引きされました(笑)。ディズニーランドも友だちとスケジュールが合わなかったので、1人で行く計画を立てました。結局、私も仕事が入って行けなかったんですけど、恥ずかしいからできないということはないです。

ダンスでアイドルのすごさがわかりました

――ひかりは仲間たちとダンスをしています。もともと得意だったんですよね?

 ダンスは小さい頃から習っていて、大好きでした。アイドルやK-POPアーティストのダンスのコピーもしていました。

――撮影に入る前にダンス練習もあったそうですが、苦戦はしなかったわけですね。

 ただ、チームで踊ることはなかったので、フォーメーションの部分で壁は高かったです。ここで移動して、あそこに行かないといけない、とか。だから、モーニング娘。さんやAKB48さんのような大所帯のアイドルグループさんは本当にプロなんだなと、改めてすごさがわかりました。

――友だち役の齊藤なぎささんもそうでした。

 なぎさもアイドル(元=LOVE)でしたからね。ドラマの中では、私がダンスチームのリーダーとして立ち回るので、頑張ります。

――劇中でかけた安室奈美恵さんの『SWEET 19 BLUES』は知ってました?

 知っていました! 親や姉の影響か、自分の世代でない昔の曲も聴いています。

常に笑顔で率先して周りに話し掛けてます

――今回は座長ということで、現場で今までにない振る舞いもしていますか?

 全然そんなことなくて、名前だけの座長です(笑)。心掛けがちょっと普段と違うくらい。いつもよりは率先して周りに話し掛けています。今回、私が二番目に年上で、女の子では一番なんです。今まで年下の立ち位置が多かったので、自分がお姉さんという感じで挑むと、意識が若干変わるところはありました。

――会見では「恋バナをしている」という話がありました。

 みとゆなちゃんが彼氏さんがいることを公表されているので、みんな興味津々で話を聞いています。「いいなー」って憧れの的です(笑)。

――ドラマ前半の撮影で、特に印象深かったことはありますか?

 海で遊んだり、スイカ割りやバーベキューのシーンがあって。和気あいあいと「これはお仕事?」というくらい、純粋に楽しんでいます。私は夏は嫌いで、家にこもりっきりなので、普段できない経験をさせてもらっていて。これからひかりの病状が進行して辛いシーンがあるので、今が楽しい分、あとになって効いてきそうな感じもします。

最後まで変わらずキラキラしていると思います

――このドラマ、最後に視聴者はどうしても泣かされそうですね。

 意外とそうでないかもしれません。後半は強い感情が出るシーンが増えて、前半と違うアプローチは必要になっても、ひかりはあまりに輝いて、まぶしい女の子なので。それで観てくださる方は逆に切なく感じるとしても、しっとり終わるというより、ひかりは最後まで変わらずキラキラしているのかなと思います。

――言い換えると、芽育さんが輝き続けてないといけないと。

 そうですね。たくさん光合成して頑張ります(笑)。

――ひかりを演じて、自分の生き方にも影響はありますか?

 すごくあると思います。1日1日を大切にして、ひかりが言っていたように「最高を更新できない」と思える毎日を過ごしたいなと。簡単なことではないけど、そうしなきゃいけないと思っています。

――毎晩「今日も最高だった」と思いながら、眠りに就いていますか?

 最近は1日を振り返る時間もないくらい、溶けるようにパッと眠っています。それくらい熱量は使っています!

やりたいことはしようと行動力が上がりました

――普段の行動が変わったりもしていますか?

 お休みの日に何もしないことがなくなりました。今まではとにかく寝ていたんですけど、最近はアクティブにいろいろなところに出掛けたり、映画を観に行ったりしています。舞台やお笑いのライブも、すぐチケットを取るようになって。やっぱり、いつ何が起きるかわかりませんし、今この瞬間、やりたいことをしようと。本当に行動力が上がりました。

――どんな舞台を観たんですか?

 最近はミュージカルが多いです。事務所の先輩の山崎育三郎さんや明日海りおさんの舞台に行きました。演じている方々のエネルギーを間近で感じるので、映像で観るお芝居とは違いますし、私は音楽も好きなので、楽曲から力が湧き上がってきます。今どんな舞台がやっているか、探すのが趣味になりました。

――お笑いでは推しの芸人さんもいるんですか?

 もう中学生さんにハマっています。

――今ですか?

 今です! この前、ルミネtheよしもとに行ったときも、もう中さんは本当に面白くて。若手だとヨネダ2000さん、ママタルトさん、令和ロマンさん。オズワルドさんとヨネダ2000さんでやるライブがあって、行けるかどうかわからないけど、とりあえずチケットを調べています。

21年で最高の夏になるように過ごします

――夏は嫌いとのことですが、今年の夏は思い出深くなりそうですね。

 『最高の生徒』に加えて『ノッキンオン・ロックドドア』もあるので、2作品行ったり来たりで、毎日が刺激的です。自分のことが頭にないくらい、作品と役のことをずっと考えているかもしれません。

――スケジュール的にはタイトなんでしょうけど。

 ひかりのようにチェックリストがあって「あれをしなきゃ。これをしなきゃ」となっているほうが、自分の中では健康にもメンタルの維持にも繋がって、充実できると思います。

――モチベーションも上がると。

 今年の夏は、生きた証を残そうとするひかりと通じるところがあって。今まで21年生きてきた中で、最高のものになるように過ごしていきたいです。

Profile

畑芽育(はた・めい)

2002年4月10日生まれ、東京都出身。

2016年にドラマ『99.9-刑事専門弁護士-』で注目される。主な出演作はドラマ『荒ぶる季節の乙女どもよ。』、『青天を衝け』、『プロミス・シンデレラ』、『純愛ディソナンス』、映画『森の中のレストラン』、『なのに、千輝くんが甘すぎる。』など。ドラマ『最高の生徒~余命1年のラストダンス~』(日本テレビ系)、『ノッキンオン・ロックドドア』(テレビ朝日系)に出演中。1st写真集『残照』が発売中。

Zドラマ『最高の生徒~余命1年のラストダンス~』

日本テレビ/土曜14:30~

出演/畑芽育、山下幸輝、杢代和人、齊藤なぎさ、志田こはく、菊地姫奈、みとゆな他

公式HP

日本テレビ提供
日本テレビ提供

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

斉藤貴志の最近の記事