ユーロサトリを「武器展示会」と報じたメディアの誤報
16日からフランスのパリで開催されているセキュリティ分野の国際展示会「EUROSATORY2014(ユーロサトリ)」に日本ブースが設置され、多くの日本企業が出展している事が報道されておりますね。
ところで、このユーロサトリについて報道各社はどのように報道しているでしょうか。まずはユーロサトリを各社はどう呼んでいるかについて、比べてみましょう。
読売、朝日、毎日、産経の全国紙に東京新聞、共同通信とNHKの呼称を調べてみると、それぞれ微妙に異なります。
読売:陸上兵器・防衛装備品の展示会
朝日:陸上兵器の国際展示会
毎日:陸上兵器展示会
産経:防衛装備品やセキュリティー製品の国際展示会
東京:兵器や防衛装備品などの国際展示会
共同:兵器や防衛装備品、災害対策設備などの国際展示会
NHK:各国の武器や警察向けの装備などを集めた世界最大規模の見本市
呼び方を大別すると2グループに分かれ、読売、朝日、毎日、東京が兵器関連の展示会と説明しているのに対し、産経、共同、NHKは兵器に加えて、セキュリティや警察、災害対策設備の展示会である事を書いており、呼び方から受ける印象が大きく異なります。特に、東京新聞は記事からも明らかに否定的な文脈がにじみ出ており、出展は先に行われた武器輸出三原則改正を受けたものだと強調しています。
この東京新聞の報道に対し、ユーロサトリの日本総代理店のクライシスインテリジェンスが事実と異なると抗議しています。
セキュリティー・ディフェンスの展示会なのに「武器」を強調された点、そして新しい武器輸出三原則が発表される前から出展企業を募集しているので新三原則を受けての出展ではないということです。特に後者については、事前に東京新聞に説明していたにも関わらず、意図的に誤った報道をされたと非難しています。
東京新聞の記事の該当部を見てみると、明らかに武器輸出三原則改正を受けての出展とされています。
しかし、現実には11月から募集されており、改正があろうが無かろうが日本企業は出展していたでしょう。東京新聞以外にも、読売、朝日、毎日、産経、NHKも今回の日本企業の出展が4月の改正を受けたものだとしており、ほとんどの報道機関が誤報を流している事になります。
更に言うなら、毎日、東京、NHKは「日本企業の参加は初」と報じていますがこれも誤報で、過去のユーロサトリには日系企業も多く参加しており、前回の2012年には帝人、パナソニック、富士フィルムといった日本企業の現地法人が参加しています。少なくとも、「武器輸出三原則改正を受けて、日本企業が初めて参加した」という事実はありません。初めて設けられたのは日本ブースで、過去に日本企業が参加していなかった訳ではないのです。
今回の報道はあまりに各社とも杜撰で、一部に至っては自社のカラーを反映して意図的に誤報を流している節があります。せめて、最低限正確な事実を伝えてから、批判するなり賛同するなりをして欲しいものです。
※この記事は、dragoner.ねっと「ユーロサトリを「武器展示会」と呼んで、武器輸出三原則改正による出展とするのは印象操作でね?」のYahoo!ニュース向け配信版です。