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GWは「10年に一度の暑さ」に備えを…初夏だからこそ危ない熱中症の"落とし穴"を気象予報士が解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
5月1日~9日を対象とした早期天候情報(気象庁HPより)。ほぼ全国的にくなりそう

今年の大型連休は全般的に平年を上回る気温の日が多く、東北も含めて広い範囲で真夏日になるような暑さの日もありそうです。
まだ初夏なので真夏と比べ湿度は低く、すがすがしい暑さに感じるかもしれませんが、初夏ならではの暑さの"落とし穴"に注意が必要です。

「10年に一度の暑さ」とは

気象庁では、週間予報よりも先の期間について、その時期としては10年に1度程度しか起きないような著しい高温となる可能性がいつもより高まっている時に、注意を呼びかけるため「早期天候情報」という情報を出します。

今回、大型連休の後半を含む5月はじめの時期について、北海道を除く全国に「早期天候情報」が出されました。

一方、大型連休の前半は週間予報の範囲内なので「早期天候情報」は出ないものの、特に28日(日)には東海や関東、東北を中心に各地で30度以上の真夏日が続出するような暑さになりそうです。

大人と子どもの体感差が大きい初夏

晴れて気温が上がる時、もちろん太陽光が空気を直接温める部分もありますが、空気よりも地面の方が温まりやすいため、先に高温になった地面が地面付近の空気を温める、ということが起きます。
そのため、空気の温度は地面に近ければ近いほど高いという状況に。

つまり、大人が感じている温度よりも、背が低くくて地面に近い子どもや、ベビーカーの赤ちゃん、そしてペットなどが感じる温度のほうが、高くなってしまうのです。

真夏なら大人の高さも十分暑いため、自然に水分補給などの行動に結びつきそうですが、今の時期だと大人が「初夏のすがすがしい暑さ」を感じて油断している横で子どもだけが「真夏のような暑さ」の中にいる可能性が…。初夏ならではの体感差に注意が必要です。

効率よく温度が上がる場所がある

車の中の熱中症…と聞くと、真夏のイメージがあるかもしれませんが、たとえ外気温が20度台、つまり熱中症なんて思いもよらないような気温でも、車内温度は40度くらいまで上がってしまうことがあります。

特に近年はSUVタイプの乗用車の販売台数が伸びていて、コロナ禍をきっかけにシェアが拡大しています。
SUVは車体がやや大きめで車内が広く感じるので、あまり熱がこもらないのでは?と思いきや、そうではありません。
窓が広く取ってあるデザインのものが多いため、太陽光を多く取り入れることになり、効率的に車内温度が上がってしまうのです。

大型連休中は車での長時間移動も増えると思いますが、我慢せずエアコンを使ったり、喉が渇く前に水分補給をしたりして、車の中でも熱中症対策を心がけましょう。

気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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