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大阪桐蔭は春夏連覇経験校同士で興南と初戦! 強豪が待ち受ける最激戦ブロックを勝ち抜けるか?

森本栄浩毎日放送アナウンサー
いよいよ開幕する夏の甲子園。大阪桐蔭と興南は春夏連覇経験校同士の対戦(筆者撮影)

 甲子園誕生100年のメモリアルイヤー大会が7日に開幕する。組み合わせ抽選会が大阪市内で開かれ、3回戦までの対戦が決まった。センバツ優勝の健大高崎(群馬)と大阪桐蔭が同じブロックに入るなど、「激戦区」もあり、優勝争いは混沌としそうだ。

開幕戦に強い佐賀と滋賀が対戦

 開幕は有田工(佐賀)と滋賀学園の対戦。有田工は11年前の初出場時に開幕戦で、強豪の大垣日大(岐阜)を破っている。また佐賀勢は、30年前の佐賀商、17年前の佐賀北がともに開幕戦を制して、一気に優勝まで駆け上がった。一方の滋賀勢も38年前の甲西、7年前の彦根東がいずれも開幕戦で勝利している。どちらの強運が勝るか。両校とも投手力がしっかりしていて、締まった開幕戦になるだろう。

健大はエースの離脱に一致団結

 そして2試合目に健大が登場して、2年連続出場の英明(香川)と当たる。ここからが第1ブロックになる。群馬大会後、エース左腕の佐藤龍月(2年)のヒジの故障が判明して、治療に専念させるためベンチ外となった。青柳博文監督(52)は、「佐藤がいなければ甲子園に行けなかった。彼の思いも背負って、他の投手が束になるしかない」と、悲壮な決意で春夏連覇をめざす。第3試合には智弁学園(奈良)が登場して、岐阜城北と対戦する。左腕・田近楓雅(3年)が急成長し、ライバルの天理を圧倒した力を本番でも発揮したい。

大阪桐蔭は興南と初戦も、強豪ひしめくブロックに

 2日目にも強豪が相次いで登場する。注目は第1試合の大阪桐蔭と興南(沖縄)のビッグカードだ。ともに春夏連覇を経験していて、戦力もトップクラス。大阪桐蔭は2年生の中野大虎森陽樹をはじめ、力のある6投手が揃う豪華な布陣で、野手レベルも高い。興南の最速149キロ左腕・田崎颯士(3年)は、沖縄大会で36回を投げて41三振を奪っている。大阪桐蔭の攻撃陣もかなり手を焼くだろう。興南は、大阪桐蔭の投手交代機につけ込みたい。第2試合にも4年連続出場の明豊(大分)が登場して、石川大会で、センバツ出場の星稜と日本航空石川を倒した小松大谷と対戦する。健大、智弁、大阪桐蔭、興南、明豊などの有力校が入ったこのブロックは最激戦で、全く息が抜けない。

京都国際は強力左腕二枚、徳栄に大型遊撃手

 2日目第3試合から第2ブロックに入り、札幌日大(南北海道)と対戦する京都国際は、中崎琉生(3年)、西村一毅(2年)の強力左腕二枚を擁し、春の近畿大会で優勝した。このブロックも強豪が多く、3日目の第1試合に登場する花咲徳栄(埼玉)には、大型遊撃手の石塚裕惺(3年)がいる。「4番としてチャンスでしっかり貢献したい」と、新潟産大付との初戦での活躍を誓った。第2試合では、6年前に「カナノウ旋風」を巻き起こした金足農(秋田)が、優勝経験のある西日本短大付(福岡)と当たる好カード。金足農のエースは、6年前の準優勝の原動力となった吉田輝星(オリックス)の弟・大輝(2年)で、最速145キロの直球が武器。「兄を超えたい」と頂点を狙う。南陽工(山口)と菰野(三重)は公立同士。菰野はレギュラー全員が2年生の若いチームで勢いがある。ここまでが第2ブロックで、京都国際の投手力と、徳栄の野手陣が目を引く。

木更津総合の堅守と神村の強打の対決

 4日目からは一日4試合となり、それぞれが一つのブロックになる。第3ブロックの最初に登場するのが中京大中京(愛知)で、宮崎商と当たる。甲子園最多の136勝を誇る名門が、どこまで記録を伸ばせるか。第2試合の木更津総合(千葉)と神村学園(鹿児島)は注目カード。千葉の激戦を巧みな継投策と堅守で勝ち抜いた木更津総合に対し、今大会注目の強打者・正林輝大(3年)らを軸に、鹿児島大会のチーム打率.403の神村の打棒が火を噴くか。聖カタリナ(愛媛)は、190センチの右腕・有馬恵叶(3年)に注目で、岡山学芸館は、センバツで活躍した創志学園を破った実力校。熱戦が期待される。掛川西(静岡)と日本航空(山梨)は隣県対決となった。掛川西の大石卓哉監督(44)は「粘り強く、泥臭く」と話し、1975年センバツ以来、49年ぶりの甲子園勝利をめざす。

報徳は打線強化で夏こそ日本一を

 5日目の第4ブロックは鳴門渦潮(徳島)と早稲田実(西東京)の対戦から。早実は、甲子園で最初の開催となった100年前の10回大会にも出場していて、宇野真仁朗主将(3年)は、「偉大な先輩に感謝したい」と話していた。聖光学院(福島)と鶴岡東(山形)は、今大会唯一の初戦同一地区対決。練習試合もよくやっているようで、手の内はわかっているだろう。2年連続センバツ準優勝の報徳学園(兵庫)は、32年ぶり出場の大社(島根)との初戦。今朝丸裕喜間木歩(ともに3年)の強力右腕に、課題だった打線も迫力が増していて、福留希空主将(3年)は「センバツでは悔しい思いをした。夏こそ日本一を」と、意欲満々だ。2年連続出場の創成館(長崎)と白樺学園(北北海道)は、創成館の伝統でもある多彩な投手陣を、地方大会で好調だった白樺の打線がどう攻略するか。白樺は2年生が中軸に並び、勢いに乗せると怖い。日程的には5日目の登場が最も不利で、特に準々決勝以降は、疲労との戦いでもある。

東海大相模に198センチ左腕

 6日目から2回戦に入る。ここからは2勝すれば8強入りとなるので、有力校にとっては願ってもない日程運となる。第5ブロックとなる第1試合は、熊本工広陵(広島)の伝統校同士の好カード。1年時からエースとして広陵のマウンドを守る高尾響(3年)にとって最後の甲子園となるが、中井哲之監督(63)は「これまで高尾で始まり高尾で終わっていたが、他の投手が成長した」と、戦力アップに自信を深めている。2試合目が富山商東海大相模(神奈川)の対戦で、相模は大阪桐蔭と並ぶ選手層を誇る。とりわけ198センチの大型左腕・藤田琉生(3年)の存在感が際立ち、多彩かつ豊富な投手陣は、東日本を代表する優勝候補にふさわしい。昨年も3回戦で広陵と、同じ神奈川代表の慶応が当たり、タイブレークで慶応が勝った。このブロックの勝者が優勝争いのカギを握りそうだ。

北陸と関東一はハイレベルな攻防か

 第6ブロックに入る6日目第3試合は、鳥取城北と試合巧者の明徳義塾(高知)の対戦。よく練習試合もしている間柄で、明徳の平尾成歩主将(3年)は「まさか、と思った。勝つために何ができるか考えたい」と、やりにくそうな口ぶりだった。第4試合の北陸(福井)と関東一(東東京)は、ハイレベルな攻防になるだろう。北陸は竹田海士井黒晃佑(ともに3年)の好右腕を擁し、昨年の春夏初戦敗退の雪辱を狙う。関東一は右腕・坂井遼、左腕・畠中鉄心(ともに3年)がセンバツ初戦タイブレーク敗退の悔しさから発奮し、たくましくなった。4番の高橋徹平(3年=主将)らが、早めに援護したい。このブロックも混戦模様だ。

石橋は「実力」でセンバツ選出に恩返し

 第7ブロックとなる7日目第1試合に登場するのが、長野日大青森山田。山田はセンバツ8強で、広陵を倒した実力は本物。関浩一郎桜田朔(ともに3年)の両輪に、下山大昂(2年)も成長していて、投手陣は万全。攻撃陣も木のバットを自在に操る3番・対馬陸翔、5番・吉川勇大(ともに3年)が、青森大会でも打ちまくった。長野日大は変則左腕の山田羽琉(3年)の制球力に期待したい。昨春、センバツに21世紀枠で初出場し、「実力」で夏の甲子園切符をつかんだ石橋(栃木)と、春夏通じて初の甲子園となる聖和学園(宮城)は初勝利を懸けたフレッシュな顔合わせ。石橋の福田博之監督(58)は、「(21世紀枠で)選んでもらったことへの最大の恩返し」と喜び、「センバツでは完封負けだったので、まず1点、そして1勝」と目を輝かせた。聖和学園も県の決勝で仙台育英に勝っている。先制点がポイントになるか。

花巻東は強豪泣かせの49番クジ

 第3試合からが最終第8ブロックで、霞ケ浦(茨城)と智弁和歌山の一戦。智弁和歌山は、エース・渡辺颯人(2年)や大型右腕の中西琉輝矢(3年)ら、速球派右腕を揃える。伝統の強力打線ももちろん健在で、4番の花田悠月(3年)を中心に長打力がある。また新戦力の松本虎太郎(1年)が本塁打を放つなど、チームに活気をもたらした。辻旭陽主将(3年)が選手宣誓をすることも決まった。そして最後の49番目に登場するのが花巻東(岩手)で、開幕戦の勝者と戦う。昨夏8強で、今春の東北大会でも優勝し、実績は申し分ない。しかしこのクジは、相手が2試合目となるため、強豪校泣かせとなっている。5年前の智弁学園から、中止の大会を挟んで浦和学院(埼玉)、智弁和歌山、そして昨年の九州国際大付(福岡)まで、名だたる強豪が敗れ去っている。花巻東の村上太一主将(3年)は「いい準備をしたい」と、苦笑いしていた。

大阪桐蔭はこれまでで最も厳しい組み合わせか?

 ひとまずは8強入りが当面の目標となるが、有力校が固まった健大、大阪桐蔭の第1ブロックが最激戦で、第2ブロックでも京都国際や徳栄、金足農、西短付などが激しく8強を争う。第3ブロックも激戦で、特に木更津総合と神村の強豪対決が最注目だ。第4ブロックは報徳が中心で、勢いに乗ったチームが報徳を脅かすだろう。2回戦スタートのブロックはいずれも少数激戦で、1試合少ないアドバンテージが、終盤戦で生きてくる。優勝候補一番手の大阪桐蔭にとっては、かつてないほどの厳しい組み合わせとなった。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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