ついに来場者30万人超えた!東京オートサロンの人気上昇と変わりつつあるクルマ業界
2015年1月9日(金)〜11日(日)の3日間、千葉県の幕張メッセで開催されたチューニングカー&カスタムカーの祭典「東京オートサロン2015 with NAPAC」。3日間合計の来場者数は30万9649人と主催者が発表した。
「東京オートサロン」は昨年、惜しくも届かなかった30万人という大台(2014年は29万6714人)をついに超え、前年比で約4%増の観客を動員した。
「東京オートサロン2015 with NAPAC」来場者数
1月9日(金) 7万417人
1月10日(土) 11万160人
1月11日(日) 12万9072人
3日間合計 30万9649人
今年も私は東京オートサロンの見どころをレポートする公式放送「オートサロンTV」のキャスターとしてイベントに関わることになった。番組用の撮影などを通して会場を見て回って感じたことをまとめてみよう。
東京オートサロン人気の秘密
30万人の来場者数記録をついに更新した「東京オートサロン」。今年は900台近くのクルマが所狭しと並べられた。国内有数の展示場である幕張メッセの11ホールを全て使用するだけでなく、イベントホールや屋外の駐車場を使ったデモ走行を行うエリアを設けるなど年々その規模を拡大してきたが、今年は国際会議場のエリアも使用することになった。
実は幕張メッセで全てのホールを一度に使用するイベントはこの「東京オートサロン」だけ。つまりは幕張メッセ最大のイベントということになる。
会場内にはクルマを展示するだけではなく、イベントホールではTRFなどのアーティストがライブを展開したり、屋外走行エリアではスーパーフォーミュラやD1グランプリを戦うレーシングカーのデモ走行が行われる。さらに各ブースで来場者の目を楽しませる華やかなキャンギャルの数も尋常ではない。
また、幕張メッセから横断歩道をひとつ挟んだところにある「イオンモール幕張新都心」にも遊びに行くことができるので、ファミリー層もそれぞれに一日を通じて様々な楽しみ方があるのが今の人気の秘密であろう。
社会に浸透しつつあるカスタムカーの概念
かつて「東京オートサロン」といえば、いかついエアロパーツを装着し、ド派手なカラーリングを施したチューニングカーやカスタムカーの展示が主流だった。しかし、ここ数年はそういった車は徐々に減少し、カスタムを施すタネ車が実にバラエティに富んでいる。高級サルーンカーや外国製のスーパーカーはもちろん、ミニバンやワンボックスカー、さらには軽自動車まで本当に幅広い。
また、ここ最近は自動車メーカー本体の出展が増えており、今年はドイツのアウディ、BMWなどがブースを新たに出展した。自動車メーカーは「東京モーターショー」とは趣向の違う、もうひとつのモーターショーとして「東京オートサロン」を捉えており、自社のパーツや協同で取り組むサードパーティーのパーツメーカーと共に様々なプレゼンテーションを行っている。
そのプレゼンの内容も、かつてはニュルブルクリンクのタイムを競い合うような性能重視の提案が多く、メーカー間でそれを競い合うような傾向が強く見られたが、今年はそれよりもスズキ、ホンダ、ダイハツといった軽自動車を販売するメーカーが明るいイメージで新たなカスタムの楽しみを提案するプレゼンが目にとまった。観客は男性が圧倒的に多いものの、女性客が明るく楽しい雰囲気のプレゼンテーションに見入る姿も印象的だった。
クルマの性能にこだわるヘビーなファンだけでなく、今までクルマのカスタマイズに関して無頓着だったライトな層に向けた提案はここ数年の傾向ともいえるし、逆にエコカーの概念が社会に浸透した今は「エコ」な部分だけの強調はもはや時代遅れとなり、エコは当たり前で、その上でいかにクルマの楽しさを伝えるかに重点が置かれていると感じる。
いろいろあって、それぞれ楽しいクルマの時代
自動車メーカーのプレゼンテーションを見てもわかる通り、カスタムカーの概念は年々変わりつつある。2015年の「東京オートサロン」はまさにそんなバラエティ豊かなクルマをそれぞれに楽しむ時代の到来を予感させるイベントになった。
会場内には今年、多くの自動車大学校が出展し、自分たちが「東京オートサロン」のために製作したオリジナルのクルマが来場者の目を楽しませていた。学生たちがそのクルマの前に立ち、積極的に来場者に自分たちのクルマをアピールする姿は実に清々しく、頼もしい。彼らはクルマが好きで学校に入学した学生たちではあるが、話を聞いてみると今のクルマ事情にはそれぞれに疑念と確固たる意見を持っている。そして彼らは自由な発想で楽しくクルマを作り、それを披露している。素晴らしいことだ。
また、静岡県のサーキット「富士スピードウェイ」のブースではイメージガールの「クレインズ」がスーパーフォーミュラなどの開催レースをプレゼンテーションで熱く語っていたのが目にとまった。レースを知らない人にも分かりやすく、尚且つレース展開をしっかり把握した上で面白さを伝えるトークに思わず聞き入ってしまうほどで感心した。
「東京オートサロン」はクルマ業界、モータースポーツ業界の人たちの賀詞交換会とも言われ、多くの関係者が来場し、SNSでイベントの展示内容を発信しているが、意欲のある学生や若い女性が新しいデバイスを使い、自分たちのフィルターで自由に発信することで、また新たな楽しいクルマの時代がやってくると強く感じた2015年の「東京オートサロン」だった。