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Trello.comから個人情報がダダ漏れ…悪用の防ぎ方と情報が漏らされた時の対応方法は?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典: Trello 顧客データで検索するとパスポートや免許情報が漏洩中

KNNポール神田です。

(2021年4月5日)タスク管理ツール「Trello」上で、パスポートや免許証、住所などの個人情報が誰でも閲覧できる状態になっているケースが多数あることがわかった。Trelloの設定が「公開」になっていると、誰にでも検索・アクセスすることができてしまう。利用者は速やかに公開設定を確認してほしい。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f378e7b4ad44c30ff27af55137427ae7635844ff

良くも、悪くも、こんな時はGoogle検索で、Trello.com に絞り込みをかけ、site検索をかけ、適合キーワードを入れて検索してみる…。

すると…なんと、ずらりと個人情報のパスポートから運転免許、自宅の情報からLINEのアドレスまで、漏洩していたので、電話番号も漏洩している方には、失礼ながらひとつづつ、直接、お電話をさせていただいた…。

※現在は、Trello.com からの情報は非公開となっている(2021年4月6日14時〜)

■どんな人が情報漏えいされていたのか?

大阪にお住まいのKさん女性の場合…。

2021年3月、ジモティーの求人募集で高額の応募がありました。運転免許などが応募の条件で指定の情報を送りました。実際にはその仕事はセミナーを先に受けて有料だったので、応募はしなかったとのこと。応募した会社名を伺う。

何よりも、Kさんが驚いたのは、ボクがKさんの免許で住所も誕生日も電話番号を知っていることと、Googleで検索して電話してきたことにショックを受けておられた…。

消費者庁への相談『188』をアドバイスしておいた。

■Trello.comの『情報漏えい』ではなく利用事業者側が『情報公開設定』していただけ

Kさん、同様に明らかになってきたのが事業者側がタスク管理ツール『trello.com』を利用し、応募者やジョブ管理に使っていたことだ。しかも、それらが『公開』の設定になっていたことによって、Googleの検索にクロールされ登録されていたことが、今回の事件のすべてだ。

これは『情報漏えい』いではなく完全なる個人の応募情報の『情報公開』だった。

■消費者庁の電話番号『188』では20秒ごとに10円かかる

パスポートや運転免許証が公開されてしまうと、容易に悪用する手段は思いつく。

一番想像しやすい被害は、無人機によるサラ金だ。

運転免許だけで手軽に借りられてしまうからだ。

消費者庁の本局の電話番号はいつもこみあっていてつながらない。

そんな時にあるのが『188(いやや)』である。しかし、ナビダイヤルで、20秒とごに10円かかるのだ。しかも地域の消費者センターの自治体につながるだけだ。

であれば、地域の自治体に直接電話すれば、ナビダイヤルのコストはかからない。

しかし、この消費者庁の自治体リストのほとんどがリンク切れというお粗末な対応なのだ…。おいおい、日本の自治体行政はほんとに大丈夫か?

運転免許情報があると、無人窓口でサラ金が申し込めてしまうので、

消費者庁では、下記の団体で、自分にローンさせないように申し込んでみてくださいという…。

■自分名義でサラ金で借金されないよう申告するためには被害届と1000円の申告料で郵送で送る必要があるとは…(泣)

『JICC(日本信用情報機構)』0570-055-955

https://www.jicc.co.jp

※紛失盗難として申告料が1,000円かかる。

※警察への届け出が必要

『CIC』0570-666-414

https://www.cic.co.jp/cic/index.html

などへのリスト登録を紹介された。しかし、すんなりと担当部署へとはつながらないのが現状だ。

情報が漏洩しているので、自分に借金をさせない申告が郵送でしかできない時点で終わっていると思う。

そして警察への届け出なども試みたが、警察は事件が起きない限り積極的に操作などへ動きにくい状況だ。ひとつは、被害があったことを証明するために、警察署で免許証の情報などが、盗難にあったことを証明しておくことだ。

万一、被害にあった場合に、盗難届け、もしくは被害届けがでていれば、有利に動くはずだ。しかし、情報が漏洩されただけで、消費者庁や警察へと無駄な時間がかかる。

いったいこの責任は誰にあるのだろうか?

応募した利用者にないことは明確だが、運転免許まで気軽に本人確認で求めてくる事業者には、どのような管理責任があるのかまで証明してもらいたい時代となっている。

■いろんな団体あれど、情報漏えいされた方の立場によりそった団体がない!

内閣サイバーセキュリティセンター

https://www.nisc.go.jp

IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:情報セキュリティ

https://www.ipa.go.jp/security/

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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