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なぜ仕事ができない人は「情報収集」しすぎるのか? 情報収集と行動力低下の因果関係に迫る!

横山信弘経営コラムニスト
決断疲れを甘く見ないようにしよう!(提供:イメージマート)

先日、ある企業で次のような光景を目にした。

いま話題のAIツールを導入しようとして、担当者が情報収集に明け暮れていた。3か月という期限を設けて始めたプロジェクトだったのに、あまりにも情報が多すぎて、どれを選んでいいのかわからなくなったという。

「どれも一長一短で、まだベストな選択肢が見つかっていない」

そう責任者は言う。情報を集めれば集めるほど、かえって判断ができなくなっていた。なぜ、そんなことが起こるのか?

今回は「情報過多時代」に陥りがちな「決断疲れ」について解説する。情報収集に時間をかけすぎて、なかなか決断できない経営者、マネジャーはぜひ最後まで読んでもらいたい。

■情報を集めすぎると「決断疲れ」になる

情報過多の時代、多くの人が「決断疲れ」に陥っている。決断疲れとは、情報が多すぎることで、かえって選択が難しくなり、最終的には行動を起こせなくなる状態のこと。

たとえば、新しい商品を企画するシチュエーションを考えてみよう。

市場調査をし、競合他社の動向を分析し、顧客の声を集める。そこまでは必要な情報収集だ。しかし、さらに情報を集めようとすると、どうなるか? SNSでの評判を分析し、専門家の意見を聞き、海外の事例までも調べはじめる。そうしているうちに、どの情報を重視すべきか判断できなくなり、企画そのものが前に進まなくなる。

■決断疲れの3つの特徴とは?

決断疲れには次の3つの特徴がある。

(1)情報過多による混乱

(2)選択肢の増加によるストレス

(3)精神的な疲労の蓄積

まず情報過多による混乱だ。情報があまりにも多すぎると、どの情報が本当に重要なのかの判断が難しくなる。「もっと調べれば、もっといい選択肢が見つかるかもしれない」と考えはじめ、いつまでたっても決断できなくなる。

次に選択肢の増加によるストレスがある。選択肢が多いと、それぞれを比較検討する労力が必要になる。また、選んだ後の「もしかしたら、他の選択肢のほうが良かったかもしれない」という後悔の念も大きくなる。私もこういうことは、よくある。

最後に精神的な疲労の蓄積だ。情報を集め、選択肢を比較し続けることは、想像以上にエネルギーを消耗する。その結果、最後には「どうでもいい」という諦めの気持ちが出てきて、決断を先延ばしにしてしまう。

■決断疲れを防ぐための3つの対策

では、どうすれば決断疲れを防げるのか。3つの対策を紹介しよう。

(1)情報収集の期限を決める

(2)重要な判断基準を3つに絞る

(3)完璧を求めない

まず、情報収集の期限を必ず決めることだ。情報収集の撤退基準と言ってもいい。「1週間で決める」「今月中に結論を出す」など、明確な期限を設定する。期限を決めないと、いつまでも情報収集を続けてしまう。

次に、判断基準を3つに絞ることだ。たとえば新商品の企画なら「市場性」「収益性」「実現可能性」といった具合に、重要な基準を絞り込む。基準が多すぎると、どれを重視すべきか迷ってしまう(これも決断疲れの要因となってしまう)。

最後に、完璧を求めないことだ。どんなに情報を集めても、100%の確信は得られない。8割の確信が得られたら、そこで決断するぐらいの割り切りが必要だ。

■まとめ

情報化が進んだ現代では、誰でも簡単に大量の情報を手に入れることができる。しかし、情報が多すぎることで、かえって決断力が落ちてしまう。情報収集に時間をかけすぎて、なかなか行動に移せない人が増えているのだ。

情報収集には適度な「引き際」が必要だ。完璧な判断は存在しない。情報はほどほどに、決断は早めに、そして行動を素早く。コンサルタント業界でよく言われる――Quick&Dirty(完璧でなくてもいいから素早く)の精神が、情報収集するうえでも大事なポイントと言えるだろう。

<参考記事>

上司に「仕事を楽しめ」と言われて悩みを深めた新入社員の悲劇 ~情報収集スキルを鍛えて克服しよう!

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ありがとうございます。
経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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