「東大卒 → 営業成績最下位」起業するために「話す力」をつけようとしたエリートが落ちた甘い罠
「将来、必ず起業する!」
そういう希望をもって営業職に就いた東大生がいる。起業するには、資金調達するためにも、仕事の依頼をいただくためにも営業力が必要だ。とりわけ彼は「話す力」が足りないと自覚していた。
だから元アナウンサーが講師をする「話し方研修」に通い、徹底的にトレーニングをした。しかし話し方を磨けば磨くほど、先輩や上司、お客様にもそっぽを向かれた。営業1年目の成績は、同期45人の中で最下位。プライドはズタズタに打ち砕かれた。
彼の問題は、アナウンサー風、コンサル風の「話し方」に徹してしまったからだ。「話し方」を自分視点で考えてしまい、失敗した。
今回は、多くの人にこのような失敗をしないよう、相手に合わせて話し方を変える「話し方改革」について解説する。どのように従来の話し方を「180度」変えるのか? 話し方に悩んでいるすべてのビジネスパーソンに、ぜひ読んでいただきたい。
■「メタボな話し方」では伝わらない
――2分で終わる話を20分に膨らませて話す
先日、このようなことがあった。ある定例会議にて、営業部長からプロジェクトの進捗を聞いたのだが、いわゆる「メタボな話し方」が全開だった。
「それでは、私から新しい商品開発のプロジェクトの進捗について話したいと思います。この進捗状況を皆さんに、キチンと伝えることがリーダーである私の責任ですから、しっかりと聞いてほしいです」
「たまに、進捗状況なんて必要ないと言う人がいます。しかし私はそう思いません。いや、思いたくない、と言ったほうがいいでしょうか。進捗状況を定期的にお伝えすることが、どれほど大事なことなのか知ってほしいのです。プロジェクトがどのように進んでいるのか、どこで躓いているのか、メンバーはどんなことで悩んでいるのかを知ってもらえると、私は嬉しいですし、メンバーも励みになると思うんです」
脱線こそないものの、ぜい肉のついた言い回しがやたら多く、2分で終わりそうな話を20分ぐらいかけて話そうとする。まさにメタボ状態の話し方だ。
「プロジェクトがうまくいくかどうかは、もちろんメンバー次第ではあります。もちろんそれは分かっています。ですが、とはいえ、今日のこのプロジェクトに関係のないといったら変ですが、会議に出席されている皆さんにだって、もちろん無関係ではなことではないですから、先ほど言ったようにしっかりと私のプロジェクトの進捗状況を話す内容を聴いてもらいたいと思っています」
核心部分にたどり着くまで、ひたすら冗長なフレーズを重ねていく。聞き手は次第に思考停止状態となり、新入社員の一人は途中でうとうとしはじめていた。
私はコンサルタントとして同席していたが、話を聴きながら、どう要点をまとめればいいかばかり考えていた。
――メタボな話し方とは?――
「メタボな話し方」とは、言い回しがやたらと長く、聞き手にとってくどいと感じられる話し方だ。内容の流れは崩れていない。しかし前置きや、よけいなフレーズをいくつも重ねることで、かえって要点が見えにくくなる。
話し手自身は「丁寧に説明している」つもりであっても、聞き手からすると「なぜこんなに遠回りするのか」と感じ、集中力が徐々に削がれていく。
社内プレゼンテーションで考えてみよう。
プレゼンする人が自社製品の詳しく紹介しようとするあまり、長い背景説明や専門用語の解説を入れすぎてしまう。
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