Yahoo!ニュース

多くの人が分かっていない「問題と課題の違い」とは? 組織マネジャーが理解すべき用語解説

横山信弘経営コラムニスト
問題と課題の違いとは?(写真:イメージマート)

問題と課題の違いを分からない組織マネジャーがいる。

組織の問題を解決するには、問題と課題の違いを正しく捉えることが重要だ。意外と勘違いしている人が多いので、しっかりと確認しておこう。

■問題と課題の違い

問題と課題は違う。何が違うのか?

問題 → 理想と現実のギャップ

課題 → 問題を解決するために〝現実的に取り組めるテーマ〟

ポイントは、現実的に取り組める課題を設定することだ。その課題設定をして理想(あるべき姿)に近づけていく。そのためにも問題発見と、課題設定スキルが大事だ。

■問題解決に対する誤解

今回最も伝えたいこと。それが、あるべき姿と現実とのギャップを埋める唯一無二の解決策はない、ということだ。

たとえば、

「現在は60点しかとれない英語のテストで、80点をとるにはどうしたらいいか?」

と質問する人がいる。しかしたった一つの具体策で80点をとれるとは限らない。だから以下のように、課題を設定するのだ。

・課題(1):リスニングの強化

・課題(2):文法の勉強のやり直し

・課題(3):高1で習った単語の復習

このように、現実的にとり得るテーマ(課題)を設定し、一つ一つに期限と目標を設定して、課題解決していくのだ。

・課題(1):リスニングの強化 → 3カ月後までに毎朝20分の練習

・課題(2):文法の勉強のやり直し → 週に1回、文法のテキスト3ページ復習

・課題(3):高1で習った単語の復習 → 2カ月後までに毎日単語を10個暗記する

このように課題ごとに具体策を考え、PDCAサイクルを回していくのだ。

■課題設定がズレすぎると投資対効果が落ちる

問題解決するための課題をどう設定するか? 常に気を配らなければならない視点である。

課題設定は少しぐらいズレてもいい。だが、あまりにズレすぎると投資対効果が著しく落ちる。試行錯誤を繰り返し、いかにこのズレを減らすか。常に創意工夫が必要だ。

たとえば英語のテストで80点をとるために、

・課題(1):ハリウッド映画を日本語字幕なしで観る

・課題(2):英語を話す友人を作る

本当に効果が見込める課題を設定しているかどうか、しっかりと確認しよう。問題解決するための課題のはずなのに、そちらのほうが目的になってしまうケースがある。

とくにDX時代だ。情報システム化は気を付けたほうがいい。DX等の流行り言葉に振り回される前に、もっと解決しやすい課題はないか? と、常に自問自答するクセをつけよう。

■課題設定3つのポイント

問題解決するための課題は、以下3つのポイントを考慮しながら検証する。

(1)少しぐらいズレてもいい

(2)複数ある

(3)少しぐらい手段の目的化になってもいい

そして課題には設定しない部分も、細かな創意工夫が必要だということを忘れてはならない。

■マネジメントサイクルの回し方

問題解決するための課題設定をしたら、高速にマネジメントサイクルを回す。そして本当に「あるべき姿」に近づいているかを定期的に検証する(グラフ化を推奨する)。

そうでないと「自己満足の課題設定」「手段の目的化」を防げない。対策をしても、まるで問題解決しない人・組織は、この点を常にチェックすべきである。

<参考となる動画>

  • 7
  • 5
  • 2
ありがとうございます。
経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

横山塾~「絶対達成」の思考と戦略レポ~

税込330円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

累計40万部を超える著書「絶対達成シリーズ」。経営者、管理者が4万人以上購読する「メルマガ草創花伝」。6年で1000回を超える講演活動など、強い発信力を誇る「絶対達成させるコンサルタント」が、時代の潮流をとらえながら、ビジネスで結果を出す戦略と思考をお伝えします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

横山信弘の最近の記事