Amazonプライム値上げ でもまだ安すぎる?
8月24日から、アマゾンの会員制プログラム「Amazonプライム」の会費が値上げされることが話題になっています。
サービス内容に比べてまだ割安との声が多い一方で、「安すぎる」ことの影響は引き続き注目されそうです。
4年ぶりの値上げ、プライム会員の多様化も
日本でAmazonプライムが始まったのは2007年。当初の会費は年3900円(税込、以下同じ)でしたが、2019年4月に4900円に値上げされました。
そして今回、4年ぶりの価格改定として5900円に値上げされます。それでも米国の会費に比べると、物流コストなどの違いもあり、3分の1以下にとどまっています。
2014年以降、米国の会費は4年ごとに改定されています。日本でも、次の4年間はこの水準での据え置きを期待したいところです。
世界的に見ても日本でのAmazonプライムは割安であることが知られており、値上げに対してもあまりネガティブな声は上がっていないようです。
アマゾンで定期的に買い物をする人なら、プライムの会費は簡単に元を取ることができます。お急ぎ便を含めた配送料無料の特典に加えて、プライム会員向けのセールもたびたび開催されています。
7月には「プライムデー」が盛り上がったばかりですが、10月には同様のセールとして「プライム感謝祭」が予定されており、会費の値上げ分を取り戻せる機会になりそうです。
一方で、プライムについての反応として、値上げに対する反発ではなく、サービス自体に対する不満の声も増えているのは興味深いところです。
たとえば動画サービスの「Prime Video」では、当初はプライム会員ならどれでも見放題という印象があったものの、最近では別途料金のかかる動画ばかりが増えている、との声があります。
また、「Amazon Music」のプライム版は、曲数は少ないものの聞き放題のサービスでしたが、2022年11月に曲数を1億曲に増やす一方、シャッフル再生を基本にするという変更に不満の声が上がったことがあります。
プライム会費が月500円程度ということを考えれば、他の有料サブスクと比べても多くを望むことは難しいように感じるものの、こうした意見が増えてくることは、プライムの多様化を表しているようにも思います。
というのも、Amazonプライムは配送料が無料になるサービスとして始まったもので、その後に加わったコンテンツやセールの特典は、ある種のオマケのようなものと筆者は認識しています。
しかし、いまとなってはPrime Videoは国内の有料動画サービスでトップシェアとみられるほど広まっています。コンテンツを目当てにプライム会員になっている人も、相当数いるのではないでしょうか。
その場合、プライムの特典を他の有料サブスクと直接比較することで、良し悪しを判断する人が増えているのではないかと考えられます。
ほかにも、「プライムの特典の中で○○は不要なのでもっと安くしてほしい」といった意見も見かけました。いまのところプライムは1種類しかありませんが、プライムの内容や価格帯に多様化を求める声はこれから増えていくのかもしれません。
今回のプライム会費の値上げについて、アマゾンジャパンからの公式コメント全文はこちらです。
プライム「安すぎる」影響は続くか
Amazonプライムには多数の特典が含まれており、高いか安いかを判断することは難しいものの、絶対的な金額として「安すぎる」ことで、さまざまな影響が出ているとの指摘があります。
もちろん、消費者にとって安さはメリットです。財布を圧迫しないので、プライムで物足りない機能については、アマゾンによる上位プランや、他社サブスクを追加で契約する選択肢があります。
一方、アマゾンほどの大きなプレイヤーが、月に500円程度でこれほど多くの特典を提供していると、他のサブスクには厳しいものがあります。コスパでは確実に見劣りしてしまうからです。
プライムの特典の1つに、「Amazon Photos」の写真を無制限に保存できるというものがありますが、他社はよほどの付加価値をつけないと、アマゾンには対抗できません。
特典の多さから、プライム会員は他のサブスクに比べて解約率が低いとみられています。アマゾンと競争する楽天やヤフーにとっても、引き続き厄介な存在になるでしょう。