メルカリで仕事探し「スキマバイト」参入へ 他社にない強みとは?
11月13日、メルカリが単発・短時間のスキマバイト「スポットワーク」事業に参入することを発表しました。2024年初春に首都圏の一部地域でサービスを始めます。
国内のスポットワーカー登録者数は合計1000万人を超えるなど急増している中、メルカリは遅れて参入する形になります。他社にない強みはあるのでしょうか。
追記:
2024年3月6日、メルカリがサービスを提供開始しました。詳しくはこちらの記事もご参照ください。
メルカリのスポットワーク「1時間から働ける」「引き抜きOK」でタイミー対抗か(山口健太) - エキスパート - Yahoo!ニュース
評価システムを導入 メルカリの手数料は30%
フリマアプリで知られるメルカリは、スマホ決済やクレジットカードなどお金にまつわるサービスを展開することで、モノやお金の循環を増やそうとしています。
たとえば不要品をフリマに出品し、その売上金をクレジットカードの返済にあてる、といった使い方が増えているとのこと。メルカードは開始から1年弱で発行枚数が200万枚を突破したといいます。
そこに新たに加わるのがスポットワーク事業の「メルカリ ハロ(Hallo)」です。メルカリのアプリから単発・短時間のスキマバイトを探して働けるサービスとなっています。
アプリのサンプル画面には「梱包作業スタッフ」「カフェのホールスタッフ」といった求人が並び、「未経験者歓迎」といった表示も見てとれます。給与を最短で当日中に受け取れる仕組みも用意されるようです。
メルカリが新サービス導入の背景として挙げるのは、雇う側にとっては「人手不足」の深刻化、働く側にとっては副業や週休3日制の拡大による「スキマ時間」活用ニーズの高まりといった社会課題です。
こうしたスキマバイトに従事する「スポットワーカー」は大手4社の登録者数の合計で1070万人との調査があります。合計なので重複はあるとみられるものの、タイミーだけでも600万人が登録しています。
しかし、メルカリはまだ普及に向けた課題も多いとみており、雇う側からは「良い働き手が見つかるのか」、働く側からは「登録が面倒」「経験者のみなど、気軽に応募できない」といった声が上がっているといいます。
そこでメルカリが参入するにあたって強みとして挙げるのが、フリマアプリなどを利用する月間2260万人の顧客基盤を利用した日本全国でのマッチングです。
そのうち本人確認済みのユーザーは1395万人とのこと。すでにメルカリを利用していて本人確認を済ませている人なら、追加の確認は不要で働けるといいます。
雇う側と働く側、双方の評価を可視化する仕組みも導入します。過去に働いたことがある人を同じ企業内の別の店舗で共有など「リピーター」を増やす仕組みも提供する予定です。
メルカリ側の収益モデルは手数料によるもので、手数料率は「賃金と交通費の30%を予定している」(メルカリ 執行役員 VP of Workの太田麻未氏)とのこと。タイミーも30%となっています。
働き方は「単発・短時間の雇用契約を結ぶもので、業務委託とは異なる」(太田氏)とのこと。社会保険などの仕組みは「労働法規などに準じて制度、制限を設ける」(同)としています。タイミーにもいくつかの制限があります。
評価について、働き手のメルカリやメルペイでの利用実績などは雇う側からは見えない仕組みとのこと。「サービス開始時の評価は(雇う側、働く側ともに)ゼロからスタートする」(太田氏)としています。
賃金の支払いについては「給与デジタル払い」が4月に解禁されたものの、メルカリは厚生労働省への申請を準備中とのこと。将来的にはメルペイで給与を受け取れるようにすることで、相乗効果を生み出す構想を打ち出しています。
本人確認済みの利用者基盤と「エコシステム」が強みに
メルカリの強みとして注目したいのが、月間利用者2260万人のうち、1395万人に達しているという「本人確認済み」ユーザーの存在です。
3月に始めたビットコインの取引サービスでは、本人確認済みの人ならすぐに口座を持てる仕組みを導入。その結果、ユーザー数は7か月で100万人を突破し、国内市場で一定のシェアを占めるに至っています。
面倒な本人確認をクリアしたユーザーをメルカリは多数抱えており、アプリも広く普及しています。これを活用すれば、他社が開拓した市場に後から参入しても十分に追いつける余地があるというわけです。
それに加えて、メルカリのエコシステムでは「不要品を売ってお金を作る」習慣が定着しています。誰もが持っている「スキマ時間」をお金に換えられるサービスとの親和性も高そうです。