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GooglePlayで事前審査開始でユーザーへの影響は?

高橋暁子成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト
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3月18日、GooglePlayでもアプリの事前審査が行われると発表された。

危険なAndroidアプリ

実は、GooglePlayのアプリはご存じの通り、良い意味でも悪い意味でも自由度が高かった。App Storeでは厳しい事前審査があり、問題があるアプリはそもそも公開されない。ところがGooglePlayでは事前審査はなく、ユニークなアプリが公開される一方で、問題あるアプリが公開されてしまうことも多かった。

GooglePlayアプリのポリシーに関する良くある質問

トレンドマイクロによると、Android向け不正アプリの23%はGooglePlay経由で配布されているという。それらのアプリは、ユーザーの個人情報を不正に流出させるなどしていたことが確認されている。マルウェアも多く、人気アプリの偽アプリもあふれかえっている。このような状態故、Androidアプリは危険性が高く、セキュリティアプリなどを入れて自衛することが求められている。

[モバイル脅威の現状:Android向け不正アプリの23%がGoogle Play経由で提供 モバイル脅威の現状:Android向け不正アプリの23%がGoogle Play経由で提供(トレンドマイクロセキュリティブログ)]

そのような状態の中、ようやくGoogleが安全性の確保に力を入れ始めたのだ。

年齢別コンテンツ評価システム導入

Googleは、さらに年齢別コンテンツ評価システムを導入することも発表している。子ども向け大人向けなどの基準は国によって異なるため、Google Playで公開するアプリに関するアンケートに開発者側が答え、審査団体による評価を取得する仕組みを取る。評価は素早く自動で行われる。

既にGoogle Playにて公開されているアプリも対象となる。既存アプリも、当評価システム用のアンケートに答える必要があり、アンケートに答えていないアプリは「未評価」と表示され、特定のエリアでは公開されなくなる可能性があるという。なお、新しい評価は2015年の5月以降に表示される予定だ。

つまり、開発者側こそレーティングなどに配慮して開発する必要が出てくるものの、ユーザー側にはメリットが多い。これまでのように危険なアプリをつかまされる可能性が減り、子どもにも安心して利用させられるようになるはずだ。

安心安全にやっと興味を持ち始めたGoogle

近年、Googleは安心安全対策に力を入れている。たとえば、米Googleは2月23日、子どもが安全にYouTubeを閲覧するためのアプリ「YouTube Kids」をAndroidおよびiOS向けに米国でリリースしており、近々インターネットの安心安全を守るウェブレンジャープログラムなども実施される予定だ。

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YouTube Kids

インターネットの安心・安全を守るウェブレンジャー募集!(Googleブログ)

Googleのような大企業がこのような方面に興味関心を高めていることは、ユーザーにとって非常に望ましいことだ。ウェブサービスやアプリなどは新しいサービスであり、安心安全対策はまだまだ足りていない面が多い。今後、企業の対策がさらに広がることを期待したい。

成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。テレビ・ラジオ・雑誌等での解説等も行っている。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(日本実業出版社)等著作多数。教育出版令和3年度中学校国語の教科書にコラム掲載中。

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