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鮮やかなKOで決着がついたWBAライト級タイトルマッチ

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(C)Amanda Westcott/SHOWTIME

 第6ラウンド2分22秒、ロープを背にしたWBA王者、ジャーボンテイ・"タンク"・デービスの狙いすましたカウンターの左フックが、ローランド・ロメロの顎を捉える。指名挑戦者はロープに凭れながら、前のめりにキャンバスに沈んだ。

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 起き上がり、試合続行の意思を見せたロメロだったが、覚束ない足元を目にしたレフェリーが両腕を交差し、試合終了を宣言。

 25度目のKO勝ちを収めたデービスは、コーナーポストによじ登って 1万8570人のファンに勝利をアピールすると、ロメロに近付き「どうだ、見たか!」といった調子で両拳をかかげる。

 公式なノックアウトタイムは2分39秒。チャンピオンは27戦全勝25KO、挑戦者は14勝(12KO)1敗となり、舌戦を続けた両者は明暗を分けた。

(C)Amanda Westcott/SHOWTIME
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 勝者は言った。

 「神様、ありがとう。ニューヨーク、ありがとう! 最初のベルトを巻いたのもこの地だった。ニューヨークに戻って来て、またいい仕事が出来たぜ。

 ロメロも強かったよ。何発かいいパンチを喰らったが、ウォーミングアップ中だったからだ。ヤツと一緒にリングに沈む訳にはいかなかったし、どのタイミングで倒すかを考えていた」

(C)Amanda Westcott/SHOWTIME
(C)Amanda Westcott/SHOWTIME

 この一戦はSHOWTIMEがPPVで放送したが、全勝同士の両者がライバル心を剥き出しにして昨年初冬から罵り合ったことでも、注目を集めた。

 デービスは冷静に振り返った。

 「試合を決めたパンチは、そんなに強く打ったもんじゃない。ヤツは逃げ回っていたよな。マニー・パッキャオのノックアウトみたいにフィニッシュ出来たね。

 試合前は、鼻持ちならない男を演じていたんだ。でも、今はロメロに感謝している。あいつの未来が良いものとなることを祈るよ」

(C)Amanda Westcott/SHOWTIME
(C)Amanda Westcott/SHOWTIME

 1ラウンドでチャンピオンを倒してみせる! と豪語していたロメロも、試合後に話した。

 「もう一度戦いたい。毎ラウンド、タンクがどういう選手かを暴いていたつもりだったんだが、あんな一発をもらっちまった」

 予想以上に差があったチャンピオンと指名挑戦者。現在のボクシング界において、ライト級は好素材が多く、熱い。その頂点にいるのが、ジャーボンテイ・"タンク"・デービスだ。他のファイターたちは、いかに彼に絡んでいくか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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