Yahoo!ニュース

【アイスホッケー】日本人宇宙飛行士の金井宣茂氏と一緒に、宇宙へ飛び立った物は?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
ロシアのソユーズ宇宙船に乗船し宇宙へ旅立った日本人宇宙飛行士の金井宣茂氏(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 国際宇宙ステーションの第54次、55次の長期滞在クルーとして長期滞在する予定の日本人宇宙飛行士の金井宣茂(のりしげ)氏ら3人が乗ったロシアのソユーズ宇宙船が、昨日(現地時間)カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられました。

▼無用な(!?)スポーツグッズも宇宙へ

 これまでに打ち上げられた宇宙船には、宇宙飛行士の好物や宇宙空間での実験や研究などのために用いる様々な物が、積み込まれましたが、昨日飛び立ったソユーズには、どう見ても宇宙空間では無用に思えるスポーツグッズが、積み込まれていました。

 それは、アイスホッケーのパックです。

KHLの公式戦で使われるアイスホッケーパック(Courtesy:@wildberries_kup)
KHLの公式戦で使われるアイスホッケーパック(Courtesy:@wildberries_kup)

▼ガガーリンの功績を称えて

 アイスホッケーの試合で用いられるのは、ボールではなく硬質ゴム製のパック。

 直径7.62センチ(3インチ)、厚さ2.54センチ(1インチ)のパックを、プレーヤーが持つスティックでシュートを放ち、相手ゴールに入れると得点となります。

 今回の打ち上げは、日本(宇宙航空研究開発機構=JAXA)、アメリカ(航空宇宙局=NASA)とともに、ロシア国営宇宙企業のロスコスモス(Roscosmos)が参画していますが、ロシアと言えば、アイスホッケー強国。

 さらに加えて(旧ソビエト時代の)56年前に史上初めて有人宇宙飛行に成功したユーリイ・ガガーリンの祖国でもあります。

 その功績を称えて、2008年に始まったKHL(コンチネンタルホッケーリーグ=ロシアをはじめ7か国から27チームが集うヨーロッパ最大のホッケーリーグ)は、チャンピオンチームに手渡される優勝カップを、「ガガーリンカップ」と名付けました。

▼ガガーリンカップとパックが宇宙へ!

 本物のガガーリンカップは、さすがに宇宙空間には帯同できず、見送り(?)だけになったようですが、特製のミニチュア・ガガーリンカップとKHLのパックが、金井宣茂氏と一緒に、バイコヌール宇宙基地から宇宙へ旅立ちました。

 国際大会の開催に合わせ、今月11日を最後に中断していたKHLのレギュラーシーズンは、今夜から再開。

 昨季の覇者・スカサンクトペテルブルグが今季も独走し、イの一番でプレーオフ進出を決めていますが、残る15のプレーオフスポットを争うレギュラーシーズンは(ブレイク期間を挟みながら)来年3月1日まで続きます。

 創設10季目のメモリアルイヤーを制するのは、どのチームか?

 ガガーリンカップを目指す戦いは、これから激しさを増してきそうです。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

加藤じろうの最近の記事