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「吉本坂46」池田直人を突き動かす“あこがれの人”

中西正男芸能記者
「吉本坂46」のメンバーとして活動するお笑いコンビ「レインボー」の池田直人

 昨年12月に秋元康さんプロデュースでデビューした吉本興業のアイドルグループ「吉本坂46」。その中心メンバーとして活動するのがお笑いコンビ「レインボー」の池田直人さん(25)です。芸人としても日本テレビ系「ぐるナイ おもしろ荘」優勝や、テレビ朝日系「アメトーーク!」で注目されるなど人気急上昇中。芸人とアイドル、二足のわらじで猛進する池田さんですが、その原動力となっているのが小さな頃からあこがれ続けた先輩への思いだと言います。

絶対に受かりたい

 5月8日に「吉本坂46」のセカンドシングル「今夜はええやん」が出まして、今は主にそのプロモーションとして、いろいろな場所で歌わせてもらっています。

 去年の4月、吉本芸人がメンバーになるアイドルグループ「吉本坂46」のプロジェクトが発表されて、最初はよく分からないままに応募したところもあったんですけど、オーディション受ける中で「これは絶対に受かりたい!」という強い思いが出てきました。

 というのも、僕は芸人になるきっかけが藤井隆さんでして。小さい頃からお母さんに吉本新喜劇に連れて行ってもらって、そこから藤井さんが大好きになったんです。お笑いだけでなく、歌手として紅白歌合戦にも出る。ダンスもされる。お芝居もされる。声優もされる。すごいなと。純粋にこんな人になりたい。そう思って、藤井さんがいらっしゃる吉本興業に入ったんです。

 そんな中で「吉本坂46」のプロジェクトが始まって、芸人をやりながらも、歌って、踊ってということをこの上なく大きな舞台でやれるかもしれない流れがやってきた。自分が目指していたところを考えると、これは絶対に受かるしかない。そう思って、必死にオーディションを頑張りました。

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芸人とアイドル

 今も、もちろん、お笑いコンビ「レインボー」としての活動も全力でやっていますし、アイドルとしての活動も全力でやらせてもらっています。両方やることで、気づかなかったことに気づくというか、そういう部分も感じてもいるんです。

 例えば、握手ということ一つをとっても、芸人としてのアタマで考えると、もちろん、これもありがたい話なんですけど、好きでネタを劇場に見に来てくださった方が出待ちしてくださったりしていて、そこでコミュニケーションの一つとして握手をさせてもらう。

 今の「吉本坂46」では、自分と握手をするためだけに全国各地から握手会に来ていただく。ネタを見てもらって、そこで、ある意味、芸人としてお渡しするものはお渡しした上で、おまけというか、プラスアルファの握手ではなく、握手自体をメインとしてわざわざ来ていただく。

 芸人としての物の見方があるから余計に「これって、すごいことだなぁ…」と思いまして。この“わざわざ来ていただく”ということのすごさ。そして、それをしてくださることへの感謝。そういうことを「吉本坂46」をさせてもらってから日々感じています。

ネタでしくじれない

 なので、こちらもできることは全力でやらないといけない。わざわざ来ていただくことに、何かしらの形で応えられる自分でないといけない。そう思って、次は8月に握手会があるんですけど、そこに向けて、今、ネイルサロンに通うようになりました(笑)。

 皆さんに来てもらうに見合う握手をするためには、まず手をきれいにしておかないといけない。ただ、ネイルをガッチリやったりすると、さすがに芸人の仕事にも差し障りがあったりするので(笑)、爪の甘皮を取るとか、やりすぎにならないくらいに爪に光沢を出すとか、手のかさつきをケアするとか。そういうことを8月に向けてやっています。

 それと、コンビとしてのライブに来てくれるお客さんが変わりました。「初めてコントを見ました」と言ってくださる方がグッと増えまして。「吉本坂46」きっかけで僕を知ってくださって、コンビのネタを見に来てくださっている方がたくさんいらっしゃる。

 となると、これまで以上に絶対にネタでしくじれない。もちろん、これまでも思いっきりネタに力を入れてやってきたんですけど、今は相方とこれまでで一番ネタに力を入れています。

 「レインボー」を見に来てもらった時に「え、コント、面白くないじゃん…」と思われたくないですし、そこでそう思われたら「吉本坂46」の値打ちにすら影響してくるというか。逆に、そこで面白かったら、より一層「吉本坂46」が輝いて見えるんだろうなと。

 なので、今、僕らにとっては「レインボー」も「吉本坂46」も、どっちも全力ですし、この二つは相乗効果的に互いを引っ張っていくものだと実感してます。

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兄さん方のすごみ

 あと、これまでは直接的に体感はできなかった“兄さん方のすごみ”みたいなことも「吉本坂46」に入って、強く感じています。芸人として認められ、評価も実績もある方々の仕事へのスタンスをダイレクトに見て「僕なんか、もっと、もっとやらないといけないんだ」と思い知らされると言いますか。

 「ダイノジ」の大地さんしかり、「サバンナ」の八木さんしかり、「プラスマイナス」の岩橋さんしかり、皆さん、しっかりと自分の仕事を築いてらっしゃる方々は、例えばCDを売ったりする時でも、一枚一枚本当に丁寧に手売りをされるし、ファンの方に対してもどこまでも親切なんです。

 それぞれ、別のコンビとしてお笑いをしている時は、そこまで深くやり方を見せてもらうことはなかったですけど、同じグループという、同じ土俵に立つと、名前を残されている方々がいかにしっかりとしたお仕事の仕方をされているかが分かる。そんなところを見せていただけたのも、ありがたいことでしたね。

母への思い

 …それと、これは非常に個人的なことになりますけど、お母さんが「吉本坂46」になったことをめちゃめちゃ喜んでくれてます。

 先月の「アメトーーク!」で“お母さん大好き芸人”の回に出していただいたくらい、僕、お母さんが大好きなんですけど(笑)、そのお母さんが喜んでくれているというのが、何よりうれしいことではあります。

 CDやグッズも買ってくれてますし、「吉本坂46」のイベント終わりで出待ちをしてくれたりもしていますし…。ま、出待ちをしなくても、その後、すぐに家で会うんですけどね(笑)。

 そこまで応援してくれる母親への恩返しとして、まずはお母さんが大ファンの近藤真彦さんに会わせてあげること。なんとかして、これを頑張りたいです!

 …そして、いつになるか分かりませんが、大きな家をプレゼントすることですね。これまで部屋も少ない、小さなマンションに住んできたので、お母さんが自由に暮らせる家を建ててあげたい。それはずっと思っています。

 これまでも母親のことはいろいろ思ってきましたけど、これも「吉本坂46」というものを通じて、より母親のありがたみも分かったし、だからこそ、なんとかして親孝行をしないといけないとも思いました。

 となると「吉本坂46」にあらゆることを教わっているというか、大きな影響を受けているんだなと思いますね。

 そして、もう一つ戻って、歌や踊りということへの思いを持つ原点となった藤井さんへの思い。ここも、今、改めて大きくなってきています。

 藤井さんと、この前、お仕事でお会いすることがあって、その時にお話をさせてもらったんです。

 「小さな頃から大好きですし、今、藤井さんのおかげで人生が大きく変わりました!」とこの上なく、思いを込めてお伝えしました。それに対して、藤井さんはテレビで見ていた通りの笑顔で「そっかー、小さな頃から見てくれてたんだ!ありがと!」と。…いや、あの、間違いなく、その「ありがと!」以上に僕は藤井さんのことが大好きだし、思いも強いと思ったんですけど(笑)、もっとこの話が出力高くできるくらい、もっと、もっと、もっと、頑張っていきたいと思っています!

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(撮影・中西正男)

■池田直人(いけだ・なおと)

1993年9月19日生まれ。大阪府出身。高校卒業後、日本映画大学進学と同時にNSC東京校へ入学。別のコンビを経て、2016年にジャンボたかおとお笑いコンビ「レインボー」を結成する。ネタはコントが中心で、池田が女性役を演じることが多い。18年の元日に放送された日本テレビ系「ぐるナイ おもしろ荘」でコンビとして優勝。また、母親と非常に仲が良く、先月放送されたテレビ朝日系「アメトーーク!」の“お母さん大好き芸人”にも出演した。また、昨年からは秋元康氏プロデュースのアイドルグループ「吉本坂46」のメンバーとして活動。同グループ内の若手中心のユニット「RED」ではセンターを務めている。「吉本坂46」のセカンドシングル「今夜はええやん」が発売中。映画「メン・イン・ブラック:インターナショナル」(6月14日公開)のPRを「吉本坂46」が担当している。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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