元国税職員で現役東大生のピン芸人・さんきゅう倉田が語る東大に行った理由と東大に入って分かったこと
元国税職員のピン芸人・さんきゅう倉田さん(39)。経歴を生かしたメディア出演や講演活動などで注目を集めていましたが、昨春、東京大学文科二類に入学し現役東大生芸人という肩書も得ました。6月21日には監修した児童書「マンガでわかる!小学生のくらしと税金&社会保険」も出版されました。幅広く活動する倉田さんが語る東大に行った理由とは。
東大に行こうと思った理由はたくさんあるんですけど、一つは芸人としての今後を考えてということでした。
ありがたい話、僕は経歴もあいまってお金に関する講演会などはたくさんやらせていただいているんですけど、お笑い芸人としてピンのネタをガンガンやっているわけではないですし、そもそも、すごく売れようとは思っていないんです。
すごく能力が高くて若くから売れていた人でも徐々に歳を取っていく中で仕事量が減っていく。若い頃は引っ張りだこだったけど、ベテランになってからアルバイトをせざるを得ない状況になる。明らかに才能がある人でも、普通にそんなことが起こってしまうくらい、お笑いの世界は厳しい世界だということをこれまで見てきました。
そこで自分の芸人としての能力を考えた時に、お笑いというすごく楽しい仕事を少しでも長く続けていたい。そうなると、誰もやっていないこと、例えば、東大に行くとか、そこで学んだことを生かすとか、そういうことがないとダメなんだろうなと思ったんです。
とんでもなく面白くて、ずっとテレビの第一線で活躍していて60代になっている。そんな方は本当に僅かですから。そうでない形ででも、芸人を続ける。それを考えて選んだ道が東大だったんです。
あと、これもよく言っているのが「友達が欲しかった」ということですね。
大人になると友達ができない。知り合いや仕事仲間はできるかもしれないけど、友達って本当に難しいなと思ったんです。友達というのは学生時代に一緒だった人が圧倒的に多いし、だったらもう一回学生時代に戻るといいんじゃないかなと。さらに、芸人なので何か面白いことがあったほうが当然いいと考えて、行くなら東大だなとなったんです。
高学歴の芸人もたくさんいる時代なんですけど、現役東大生という人はいないと思って、それが具現化できたら面白いなと思って。ただ、もちろん簡単に入れるものではないので、4年ほど前から計画を立てて勉強してきました。
入ってみて驚いたのが、僕が思っていた東大生のイメージと全く違うということでした。18歳で現役合格して入ってくる人が多いんですけど、僕がこれまで出会った大人よりも本当にしっかりしてるんです。
東大生って勉強しかできないというか、早口で、こちらの会話と嚙み合わず一方的に話してきて、身だしなみも整っていない。本当に僕の勝手な考えでもあるんですけど、そういうイメージだったところ、全く違いまして。本もたくさん読んでいるからか、勉強と全然関係ない知識も持っているし、説明も上手だし、オシャレだし、コミュニケーション能力も高い。これは入って痛感しました。
あと、リアルな話であり、うれしい話なんですけど、お仕事は増えました。
「東大のことを話してほしい」というストレートな依頼も増えましたし、これまで僕がやってきたことはお金や税金に関する講演会などが多かったんですけど、そこに東大という要素が加わったことでこれまでの仕事がさらに補強されるというか。
今まで依頼がなかった分野からもお話をいただいていますし、東大が乗っかったことの広がりは強く感じています。
友達ですか?実際にできましたよ。周りは19歳くらいの人が多いので、年齢差は20くらいあるんですけど、壁は感じないです。ま、向こうは感じてるかもしれませんけど(笑)、僕としては楽しくやっています。
■さんきゅう倉田(さんきゅうくらた)
1985年2月11日生まれ。神奈川県出身。東京NSC15期生。ファイナンシャルプランナー。日本大学理工学部建築学科卒業後、国税専門官試験を受けて合格し、東京国税局に入局。約2年、税務調査などを行い、NSC東京校に入学。経歴を生かしたメディア出演や講演が殺到している。税金を通じて社会の仕組みや矛盾について考えられる児童書「マンガでわかる!小学生のくらしと税金&社会保険」を6月21日に上梓。吉本興業とジブラルタ生命保険株式会社が展開している金融教育プログラムの監修も手掛けている。