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ウクライナ軍、世界中からの寄付で調達したドローンを戦場へ:副首相「ドローンで勝利を」BBC報道

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民用品ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。

ウクライナ政府はウクライナ軍が監視・偵察、攻撃で使用するためのドローンを調達するために、政府が運営しているメディアを通じて世界中に寄付を呼びかけている。「drone(ドローン)」と「donation(寄付)」を掛け合わせて「dronation(ドロネーション)」という造語も作っている。

そして世界中から集められた寄付金でウクライナ製のドローンや中国メーカーDJI製のドローンなどを大量に調達して戦場の最前線に導入している。調達されたドローンで監視・偵察をする様子、ドローン操縦トレーニング、ドローンによる攻撃などの様子を英国のメディアBBCが報じていた。

BBCによるとウクライナ軍は既に3000機以上のドローンを寄付金で調達した。また400機以上のドローンが直接寄付された。ミハイロ・フェドロフ副首相もインタビューに答えて「ウクライナ軍はロシア領土を攻撃できるドローンを持っており、それらはウクライナ軍を勝利に導きます。ロシア軍はウクライナに侵入してきて、多くのウクライナ人市民やウクライナ兵を殺害しました。そのようなロシアの暴挙をすぐに止める必要があります」と語っていた。

ウクライナ軍では市民からの支援金で調達された小型民生品ドローンに爆弾を搭載してロシア軍に投下したり、ロシア軍に突っ込んでいき爆発させている。このように民生品ドローンと軍事ドローンの境目がなくなったのもウクライナ紛争の特徴の1つである。

ウクライナ軍だけでなくロシア軍も多くの監視・偵察ドローン、攻撃ドローンを使用している。これだけ多くのドローンが戦場で使用されたのは歴史のなかでも初めてである。そして監視・偵察ドローンも攻撃ドローンも探知したらすぐに迎撃されて破壊されてしまう。そのためドローンは何機あっても足りない。

そしてウクライナ軍は2023年3月からは「神風ドローン」と呼ばれている標的に突っ込んでいき爆発するタイプのドローンを調達するために世界中の市民に寄付を呼びかけている。「神風ドローン」は標的を探知したらすぐに突っ込んでいき爆発して破壊させることができるので効率が良くダメージも大きい。効果的な兵器の1つである。

▼ウクライナ政府が世界中からの支援金でドローンを調達して最前線に導入していることを伝える英国メディアBBCのニュース

▼「神風ドローン」と呼ばれている標的に突っ込んでいき爆発するタイプのドローンを調達するために世界中の市民に寄付を呼びかけているウクライナ政府

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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