神戸市はeスポーツで高齢者のコミュニケーションの活性化と健康増進を目指す
今年7月17日に神戸市・NTT西日本・PACkageの3者によって締結した「withコロナ時代におけるeスポーツによる地域課題解決に向けた連携協定」の取り組みの一環として、コミュニケーションの活性化と健康増進を目指した高齢者向けeスポーツ実証事業がスタートしました。
コロナ禍において、高齢者施設ではコミュニケーションイベントの開催もできず、心身への影響も懸念されています。そこでeスポーツ(ゲーム)を使用することで、コミュニケーションの活性化と健康増進の可能性を実証実験によって検証するものです。
実施期間は2020年12月3日~2022年3月31日。スミリンケアライフの有料老人ホーム・サービス付高齢者向け住宅の利用者約750名、PLASTのデイサービス・予防リハビリ施設の利用者約500名、訪問看護利用者約100名が対象となっています。
まずはタブレットやパソコンに慣れる
実証内容としては、まずゲームをプレイするための端末に慣れるところから開始し、タブレットやパソコン自体に触れてもらいます。そのため、この段階では高齢者に親和性が高い囲碁や将棋のソフトが選定されました。また、運転技術が反映される『グランツーリスモSPORT』もプレイタイトルとして予定しています。
端末やコントローラーの操作に慣れた段階で、eスポーツ入門として、よりテレビゲームらしいゲームをプレイしてもらいます。アクションゲームの『ANARCUTE』や横スクロールシューティングゲームの『R-TYPE LEO』を予定。
さらに、最終的には本格的なeスポーツタイトルである、落ちものパズルゲームや対戦格闘ゲーム、FPS(ファーストパーソンシューティングゲーム)などのプレイを考えています。
テレビゲームがフレイル予防に役立つか実証実験を開始
ゲームをプレイすることで、プレイヤー同士のコミュニケーションの活性化やフレイル(虚弱)など重症化する前の段階での健康維持、健康増進などを目的としています。
eスポーツ(ゲーム)を使用する大きな要因としては、施設内で自由に楽しめる環境を作ることだけでなく、他の施設や利用者の家族とオンライン対戦をすることで、お互いに出向くことなく、コミュニケーションをとれることです。さらにウェアラブル端末や睡眠マットセンサーを使用したバイタルデータの収集が可能で、今後の指針に役立てていきます。
昨今のテレビゲームは複雑化し、高齢者には難しいと思われる側面もありますが、高齢者によるゲーム実況配信や上級者顔負けのテクニックを披露するやり込みプレイヤーもいます。身体的な衰えのある中、運動もままならない人にとっては、指先など身体の一部のみを使用するゲームはより多くの人がプレイできます。また、オンライン化により、物理的に集まらなくてもコミュニティを形成でき、対戦型ゲームは思いのほか仲間とコミュニケーションをとりながらプレイしていきます。まさに、高齢者施設の健康増進、脳の活性化などが見込めるのではないでしょうか。今回の実証実験の結果に期待したいところです。