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デジタル遺産管理人とは?あのSNSアカウントは死んだらどうなる

高橋暁子成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト

12日、Facebookはユーザーが死後に自分のFacebookプロフィールを一部管理する遺産管理人(legacy contact) を選定できる制度をスタートさせた。日本ではまだ対応は始まっていないが、今後どうなるのか、他のSNSではどうなるのかについて見ていこう。

デジタル遺産管理人とは何ですか。(Facebookヘルプページ)

Adding a Legacy Contact(米Facebookリリース、英語)

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デジタル遺産管理人とは何か?

そもそも、デジタル遺産管理人とは何だろうか。

従来、ユーザーが亡くなった場合、友人・家族などが規定のページからFacebookに連絡し、追悼アカウントとしていた。

Facebook:追悼アカウント申請ページ

追悼アカウントになった場合、アカウント名の隣に「追悼」と表示され、追悼タイムラインで故人について想い出を語ることができる。故人が投稿したコンテンツはそのまま残り、アカウントには相続人がいない場合は誰もログインできないようになる。故人の投稿したコンテンツの削除も可能だが、申請は家族に限られている。

Facebookに登録されている亡くなった方のアカウントについて質問をするにはどうすればよいですか。(Facebookヘルプページ)

ただし、故人の遺志が反映される保証はなかった。家族の考えが故人の遺志と異なっていた場合、不本意なコンテンツが残り続けたり、逆に残したいコンテンツを削除されてしまう可能性があり、家族などの再投稿や編集なども難しい。

たとえばぞっとする話だが、ハロウィーンなどのふざけたプロフィール写真に変更した後に亡くなった場合、不本意ながら永遠にそのプロフィール写真のまま…ということもあり得るわけだ。

そこで今回、ユーザー自身の意志を尊重し、死ぬ前にコンテンツをどうしたいか決められるようになったのだ。具体的には、

'''○あらかじめ遺産管理人を選定しておくことで、その人がプロフィールのトップに逝去の事実・葬儀の日時場所を掲載できる。

○プロフィール写真を適切なものに更新し、友達リクエストを処理することもできるようになる。

○死後にFacebookプロフィールを一切残したくない場合は、Facebookに連絡しておくと死後削除してもらえる。'''

ことになる。

死後のことなど考えずにアップロードしていた多くのユーザーにとっては、ほっとする話なのではないだろうか。

他のSNSでは死んだらアカウントはどうなる?

では、他のアカウントは、ユーザーが死んだらどうなるのだろうか。

○Twitter

ユーザーが亡くなった場合、権限のある遺産管理人または故人の家族がアカウント停止を要請できる。故人の家族の意志により、特定の条件の下で故人の画像・動画等が削除される可能性がある。

亡くなられたユーザーおよびそのユーザーの画像/動画に関するご連絡(Twitterヘルプページ)

○mixiなど

公式のヘルプページ等はないが、問い合わせれば対処してくれる可能性がある。

○Gmail、YouTube、Google Drive、Google+など

Googleでは、Inactive Account Manager(休眠アカウントマネージャー)が用意されている。これを利用すると、ユーザーが死亡したりアカウントの利用を止めた後、アカウントや投稿したコンテンツなどをどう処分してもらいたいかGoogleに指示することができる。Gmail、YouTube、Google Drive、Google+などのアカウントや投稿コンテンツなどが対象となる。

まず、3、6、9、12ヶ月からタイムアウト期間を選択しておく。その期間が過ぎた後、全データを削除するか、信頼できる相手にアクセス権を譲り渡すかを選ぶことができる仕組みだ。つまり、死亡以外でも一定期間アクセスしなかった場合はこの対象となる。

Plan your digital afterlife with Inactive Account Manager (Googleブログ・英語)

死後のことも考えた利用を

SNSを使って誰でも好きなことを自由に投稿できる時代。しかし、生きている間は楽しいだけで良くても、万一亡くなった場合はそのまま残したくないというケースも多いだろう。

亡くなった後に遺族を困惑させたりすることがないよう、死後のことも考えたデジタル資産管理が必要なのかもしれない。今回ご紹介した方法などを使い、信頼できる家族や友人に管理を託したり、自分の意志を明文化させておくのもありなのではないだろうか。

成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。テレビ・ラジオ・雑誌等での解説等も行っている。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(日本実業出版社)等著作多数。教育出版令和3年度中学校国語の教科書にコラム掲載中。

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