鉛筆の軸の材料ってなんの木?知っていると楽しい文房具豆知識を紹介します
「鉛筆の軸って何の木から出来ているんですか?」こんな素朴で素敵な質問を、文房具ネタでインスタライブをしていたら視聴者の方からいただきました。とてもありがたい話です。なかなか自分では、こういう部分に考えが及びませんものね。
とても良い質問だったので、自分の知識に加えてもう一度調べ直したものをこの場でアップしていきます。子供たちのこういう疑問に素早く答えてあげられる父親になりたかったし、こんな話を家族で共有して夕食時の話題に出来たら素敵ですよね。
そんなきっかけをいただきましたので、今回は「鉛筆」についての話をさせていただきます。このスタンダードな文房具の歴史的な成り立ちの話を楽しく出来たら良いなぁと思います。よろしくお付合いください。
まず、鉛筆の軸の材料についてです
鉛筆の軸はいったいどんな木から出来ているのでしょうか?簡単にいえば「ひのき」です。日本のメーカーは北米産(カナダやカリフォルニア)のインセンスシダーというひのき種の木材を輸入して使っています。この木の質感、つまり柔らかさが一番鉛筆に適していたのでしょう。
直径は1m、高さは30mにもなる大きな木です。樹齢はなんと70年から80年だそうです。鉛筆の芯を挟み込んで作る加工に向いているんでしょうね。柔らかくて人の手で削り出すのは良いですが、建築材料には不向きなのだそうですよ。
こんな木が使われていること、みなさん知ってましたか?僕は、日本の間伐材などを上手に利用しているのかな?って思ってました。今日は、ここを起点にして鉛筆の材料について調べて行ってみましょう。身近な鉛筆のことなのですが、知らないことだらけだということがよくわかりますよ。
鉛筆の芯は、どうやって作られるの?
では次に、鉛筆の芯の話をしますね。作り方は、こんな感じです。
- 黒鉛と粘土に水を加えてよく練り込む(気泡をなくすため)
- 作りたい芯径の大きさの穴から圧力をかけて押し出す
- 適当な長さに切りそろえ、乾燥させる
- その乾燥させたものを1000度以上の加熱して焼き固める
- 滑らかに書き続けることが出来るように含油する
- 変形しないようゆっくりと冷ましていく
こんな工程を取りながら鉛筆の芯は製造されていきます。黒鉛(=グラファイト)自体はとても結合力の弱いもので、このように加工せざるを得ないことはよくわかります。さらには、この配合比率によって鉛筆の濃さと硬さが産み出せるようになっているのです。
鉛筆の芯の濃さと硬さは、主成分の黒鉛と粘土の割合によって決定されるのは有名な話です。黒鉛の割合が高いほど柔らかくて濃い芯になり、粘土の割合が高いほど硬くて薄い芯になるのです。一番濃い10Bを持ってますが書いたことはありません。
こういう鉛筆の濃さや硬度に着目して書き比べをしても面白いと思います。夏休みの自由研究課題などにいかがでしょうか?
それじゃあ、その黒鉛と粘土はどこから来るの?
黒鉛は、天然に産出する石墨を使っています。これは同じ種類の仲間の石炭とは異なり、層状構造をしてます。これが筆記時の滑らかさを感じる要因となっています。黒鉛は人工でも作ることが出来ますが、まだまだ天然鉱物の価格に勝てず、主に中国から輸入しています。
粘土はドイツ産のものを使うのが一般的です。従来からこの国の粘土は質がよいとされていて、比較的低い温度で結晶化が進み、焼いた時に強く、不純物が少ないという理由から採用されているそうです。粘土なら何でも良いというものではないのですね。
こうして深堀してみますと、日本の鉛筆製造も主原料はほとんど輸入に頼っていることがよくわかります。日本に工場があっても、原料となる部分はすべて輸入品なのです。これからもずっと作っていける文房具なのかどうかは不安ですね。
鉛筆の芯の種類はどうなってるの?
鉛筆の芯は、黒鉛と粘土の配合割合によって、硬いものから軟らかいものまであります。僕たちはこれを用途と好みによって使い分けています。例えばHBは、黒鉛65%に対して粘土35%です。僕は高校生の頃は好んでFを使っていました。
日本工業規格(JIS)で調べてみますと、鉛筆の芯の硬度は6Bから9Hまであります。つまり、17種類の硬度を規定しているのです。硬い芯はHardの頭文字Hを使い、軟らかい芯はBlack の頭文字Bで表されます。僕が好きだったFはその中間品です。これはFirm(ひきしまった)の頭文字を使っています。
三菱鉛筆は独自で10Bから10Hまでの幅をもたせた商品を販売していますが、いずれはこれがスタンダードになっていくと僕は思います。
今日は「鉛筆」についてでした。文房具が好きな方は、僕のブログも読んでみてくださいね。