お受験した幼稚園で子どものできないことばかり指摘される。親としてどう対応する?
こんにちは!保育士ごんちゃんです。
現在、子育て支援保育士として地域の公民館や療育教室で親子遊び講座をしたり、地域の保健師さんと一緒に子育て講座にまわったりするような働き方をしながら、子育てに関する情報発信をしています。
そしてわたしも現役の子育て世代で、2人姉弟の育児に日々奮闘しています。
今回は、通っている幼稚園での過ごし方や先生との対応に関する、こんなご相談をいただきました。
【ペンネーム/Ringoさんより】
3才の息子のことで、毎日悩んでいます、相談させてください。
4月からお受験で合格をいただいた私立幼稚園に入り、とても楽しい幼稚園生活を送れると親子とも楽しみにしていたのですが、段々と担任の先生から息子のできないことを指摘されるようになり、落ち込む毎日です。
これまで幼稚園に入るまでは、息子は1歳後半くらいからインターナショナルスクールと保育園を併用し、平日ほぼ集団での体験はさせてきました。
そこでは、先生から息子の問題行動を指摘されたことはなく、いつも今日は何々を楽しそうにいていましたとか、お友達にこんな声かけをしていました、優しいですねとか、運動神経いいですねとかほめてくれることが多く、家では親の言うことを聞かない息子でも、園では頑張って先生のことも聞いて、友達とも仲良くできているものと思っておりました。
そのため幼稚園に入ってから担任先生から、毎日のように息子のできないこと(今日は制服から体操着にお着換えしませんでした、お友達のおもちゃをとってしまう、注意したら怒って外に飛び出してしまう、すねる、おもちゃを投げる、先生の頭をたたいた、笑ってごまかす)を聞きびっくりしていました。
そしてこないだとうとう昼食中、隣にいたお友達がトイレに行った間にお弁当をつまみ食いしたと聞いて大変ショックを受けました。
先生に言われたことは、帰ってから息子には理由を説明しながら言い聞かせるようにしております。(この年齢の子どもは後から園であったことを注意しても、その場でしか効かないということを先生もおっしゃっており、家庭では同じようなシチュエーションになったとき、二度としないよう注意したり、どんな言い方が効果的なのか試行錯誤しているところです)
今は毎日先生に何を言われるかお迎えに行くのが憂鬱で、朝幼稚園に連れていくも憂鬱に感じるようになりました。
夫婦話をした結果、息子が幼稚園に入って変わったのかどうかわかりませんが、多分今までの先生方はそういうことがあっても、言わなかっただけ(理由はわかりませんが、この年齢の子にはよくあることなので、年齢とともに改善することとして問題にせず言わなかっただけ?)
という結論に至りました。
そして今までの園は、着替えがなかったり、遊ぶ時間も長く、初めて色々縛りがある中で、息子は他の子よりもできていないのかなと話に至りました。(午前保育の日などは、9時登園、11時すぎ降園で遊ぶ時間がほとんどないと思います)
主人は、褒めてちやほやする先生よりしっかり指摘してくれる先生のほうが良いし、ありがたいと言っていました。それは私もそのように思いますが、毎日息子の様子を聞くたびに、落ち込み、親子ともに自己肯定感が下がっているように思います。
もちろん躾はダメなことはダメとその場でしっかり伝えるようにしてきましたが、周りの子と比べて手を焼いているようです。先生は事実を伝えてくれて下さっているのはわかりますが息子は早生まれでもう少し見守って下さるといいのにと思ったりすることもありますが、甘えでしょうか?
正直息子はこの幼稚園に合っていないと思いますか?
幼稚園の先生が指摘してくださることを、どのように消化していけば良いのか分かりません。そして、毎回申し訳ありませんでした、お手数おかけしましたと謝罪するような形で先生と話をして終わるのですが、しゃーごんさんならどの様に先生に対応しますか?
息子の態度は年長くらいまでには治ると信じていますが、息子の将来とこれからの園生活を不安に思い、何かアドバイスや他のママさんからの体験談をお聞かせいただきますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
今回のご相談では「幼稚園で息子のできないことばかり指摘されている」というお悩みを話してくださいました。
そして私にご質問として3点いただいていますので、順にお話していきますね。
【1】「もう少し見守ってくださるといいのに」と思う気持ちは甘え?
【2】お子さんはこの幼稚園に合っていないのだろうか?
【3】しゃーごん(私)なら、この状況でどう対応するか?
【1】「もう少し見守ってくださるといいのに」と思う気持ちは甘え?
幼稚園でお子さんのできないことばかりを毎日報告されると、親としては心配になりますよね。「もう少し見守ってほしい」というお気持ちになるのも当然で、甘えだとは思いません。
仮に甘えだとすると、できないことや望ましくない行動を厳しく叱る必要があるということになります。
しかし、そもそも乳幼児期というのは、できないことに目を向けるのではなく、できること、できたことに目を向けていくのがとても大切です。
子どもはほとんど何もできない状態で生まれてきますよね。できるといえば泣くことと排泄することくらいです。生理現象のほかはほとんど何もできません。
そこから日々の成長とともに、個人差はありますができることが少しずつ増えていきます。でもできることが増えたといっても、何十年も生きている大人が感覚的にできることや当たり前にこなしていることができなくても普通です。
ですから、できないことに目を向けてしまうと、「あれができていない」「これができていない」と無限に数えていくことができます。
そしてこれは自己肯定感を育む視点から言っても、あまり好ましいことではありません。実際にご相談者さんも「毎日息子の様子を聞くたびに、落ち込み、親子ともに自己肯定感が下がっているように思います。」とおっしゃっていますよね。
そのため、私たち大人が子どもの育ちを支えるうえでできることは「子どものできたことに目を向けていく」ということになります。
【2】お子さんはこの幼稚園に合っていないのだろうか?
子育てに各家庭で正解があるのと同じように、教育施設や保育施設によってもそれぞれ決めている正解というものがあります。また、個々人の先生によっても、保育観や教育観というものは異なります。
そのため、まずは保護者さんの「子どもをどう育てていきたいか」という視点がとても大切になってきます。
ご相談の中で、ご相談者さんは「主人は、褒めてちやほやする先生よりしっかり指摘してくれる先生のほうが良いし、ありがたいと言っていました。それは私もそのように思います」とおっしゃっています。
おそらく受験される際にも、園の教育方針がいいと思って選択されたのだと思います。
ですから、園の方針は大きくは保護者さんが望んで選んでいらっしゃるものからずれていないと感じました。
しかし一方で、もう一つ大切な視点があります。それは「通っているお子さんがどんな気持ちか」という点です。
私たち親というのは、子どものためを思ってよかれと思って「将来苦労しないように良い教育を受けさせたい」と願いますよね。
しかし大人が考える「良い教育や良い環境」と子どもが感じる「良い教育や良い環境」は違っている場合があります。
子どもは、認めてもらうこと、できることを一緒に喜んでくれることを望んでいます。日々の子育てでも、子どもが「見て見て!」と嬉しそうに何かを見せてきたり、「ママ!ママ!」と自分に注目してほしそうにする場面って多々ありますよね。
ですから、こちらの幼稚園の場合は、同年代のお子さんと比べてできることが多いお子さんなら楽しく通う可能性が高まりますが、同年代の子に比べてできないことが多い場合は辛くなる可能性があります。
その子その子でできることは違いますので、できないことを指摘されてばかりいると、子どもも「自分はだめなんだ、できないんだ」と感じてしまいます。できることもたくさんあるはずなのに、それに気づくことができないまま、人生の土台となる幼児期を過ごしてしまうのはとても悲しいことです。
結論として、お子さんがこの幼稚園に合っているかどうか、でいうと「今は苦痛のほうが大きいけれど、できることが増えれば楽しめる可能性もある」と考えます。
【3】保育士ごんちゃん(私)なら、この状況でどう対応するか
わたしも3歳の娘がおりますが、ご相談者さんと同じように早生まれです。もしご相談のケースと同じ状況だとしたらどうするか考えてみました。
大きな方針としては、家でできる関わりを最大限すると思います。
以前、「幼稚園や学校と家庭の教育方針が合わない場合、親はどうする?」という記事でもお伝えしているのですが、園や学校の方針と親の方針が合わないことは、今後近い将来に起こり得ます。
同じ園や学校だとしても、担任の先生が変わるだけで合わなくなることは安易に想定できます。
そしてむしろ今通っている保育園や幼稚園に、小さな不満がひとつもなく「自分の方針とバッチリ合う!」というケースは稀だと思いますが、みなさんはいかがですか?
そんな時に「園や学校に相談して対応を変えてもらう」ということもできるのですが、それ以上に強力で、唯一変わらず持っておくことができる対応策が、「家庭でできる最大限の関わりをする」ということだと思っています。
家庭での関わりで大切にしたいのは次の3点です。
①できないことよりできることに注目する
②子どもの存在そのものを認めて肯定する
③家庭では頑張らせずどこよりも安心できる環境にする
①できないことよりできることに注目する
冒頭でもお伝えした通り、子どもにはできないことがあって当然です。3歳という年齢だと、できることよりできないことのほうが物理的に多いので、できることを数えるよりも、できないことを数えるほうが簡単だと思います。
そして、子どもはできるようになることが増えることを望んでいます。できることが増えるのは、親にとっても嬉しいことではありますが、子どもにとっても嬉しいことなのです。
しかし、できないことばかり指摘されるのはきっと望んでいません。「自分はできていない」「自分はダメなんだ」と思って生きていきたい子どもはいません。
ですからできることやできたことに親子で注目していく頻度を高めるのがとても大切だと思っています。
子どもには、たくさんのいいところがあります。短所だって見方を変えれば長所になることも多々あります。
「〇〇(子どもの名前)は、こんないいところがあるよね」「あんなこと、こんなことができるようになって嬉しいね」と、できないことよりもできることに目を向けていくことが大事だと思います。
②子どもの存在そのものを認めて肯定する
子どもに対して「いてくれるだけでいい。そのままのあなたが大事なんだ。」と伝えることは、私が育児で大切にしていることのひとつです。
できることが多いから価値があるわけでもなく、できないことがあるからダメなわけでもなく、そのあなたという存在自体が尊いものなんだということを伝えたいのです。
できることが多い、少ない、周りの人に比べてできる、できない、などの指標で生きていると、本当の意味での自己肯定感は育まれません。
自己肯定感というのは「自分は自分でいい」という感覚です。ここには「できない自分も含めてそれでいい」という大切なポイントがあります。
できる、できない、が自分の価値を決めるポイントになっていたら、その自信はいつか絶対に崩れます。どんなに優等生で生きていけたとしても、上には上がいますし、全ての面で誰よりも勝るというのは無理です。
そのため、私は自分自身に対してもそうですが、子どもに対しても「誰かと比べて」という評価軸はなるべく無くしていきたいと思っています。
クラスのみんなができているけど、自分はできていないからダメ。など、そういうことはないのです。
「できるから素晴らしい」「できないからダメ」という価値観も捨てていきたいです。ありのままの自分で、ありのままの子どもで、それでいて価値がある。そこにいてくれるだけでいいんだ。ということが子どもに伝わっていたらいいなと思います。
③家庭では頑張らせずどこよりも安心できる環境にする
幼稚園や保育園でできないことを指摘されたとしても、家でそれを克服させるように頑張らせるようなことはしたくありません。
なぜなら、そうしてしまうと子どもの逃げ場や心を落ち着かせられる場所がなくなってしまうからです。
これは私の幼少期の体験も大きく影響しています。私はHSC(Highly Sensitive Child)であったと自覚しています。もちろん当時はその自覚はありませんでしたが、振り返るとそう思います。
些細なことにも傷つきやすく、特に小学校では気づかないうちにがんばっていることが多かったです。ですから家が落ち着ける空間だったことが救いでした。当時は当たり前と思っていた環境は、両親が努力して作ってくれていたものだと大人になって気づきました。
ですから、私もわが子に対しては、家ではのんびりくつろげるような環境にすることを心がけています。
保育園でできないことを言われても、それを叱って克服させるようなことはしません。するとしたら、できるようになるためのサポートをしてそれができたときに喜ぶという関わりです。
例えば、園でお友達を叩いてしまうという問題行動が出ているとします。その場合は、家でそれが見られた時は「叩くと痛いし悲しいからやめてね」ということを怒らずに伝えます。
そして、おもちゃが欲しくて叩いた場合なら「貸してって言えばいいんだからね」と言ったり、かまってほしくて叩いた場合なら「遊ぼうって言おうか」と言ったり、してほしい具体的な言動を実際にやりながら伝えます。
そして叩かずにそれができている場面に遭遇したら、スルーせずに「できたね!嬉しい!ありがとう!」と叩いた場合よりもオーバーなくらいのリアクションで反応します。
そうすることで、子どもは悪い行動よりも良い行動をしたときの方が良いことがある!と思ってくれるので、行動が変わる可能性があります。
数回の関わりですぐに変わらないとしても、関わり続けることで変わると信じています。
▼ご家庭の方針を大切にして後悔のない選択を
子どもにとって、乳幼児期というのは人生の基盤ですが、大人になるための準備段階として今があるわけではありません。
今は辛くても将来のために…と子どもに辛い環境を与えることが良いことなのか、それはご家庭の方針が決めることです。
私の考えに賛同していただける部分は取り入れていただけたら嬉しいですが、「ここは違うな」と思われたら、それもご自身が大切にしたいことを大切にしてほしいと思います。
今回のお話が、少しでも参考になっていれば嬉しいです。
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今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう!